第四章【1】
ワタシ達は、食事を終え、エレベーターに乗り込んだ。
乗客は、ワタシとショウだけだ。
ドアが音もなく閉まり、雲の世界から、いっきに地上へと向う。
表示は、68階の次は、5階となっていた。
途中の階には、止まらないみたいだ。
すぐに、キーンとこめかみの辺りが痛くなってきた。
きっと、もの凄い速度で、下っているのだろう。
「ああ、頭、痛くなったの?」
ワタシは、コクリと頷いた。
「僕、治す方法知ってるよ。やってあげようか?」
「ん。お願いし……」
急にショウの顔が近付き、素早くワタシの唇を奪った。
車の時よりも、濃厚なキス………
「もう、大丈夫だよ……ね?」
ショウが少し顔を離し、ワタシを覗き込んだ。
本当に、ショウに見つめられると、ヤバイ。
顔が、たちまちに赤くなってくる。
「痛みどころじゃ、なくなりました……」
もう、ショウの顔を見てられない。
外に出ると、ショウは、私の腕を自然な感じで組んできた。
車道側に立ち、しっかりとエスコートしてくれている。
「あっちのホテルにさ、部屋をとってあるんだ……」
ショウは、海の方にやや突き出たように建っている建物を指差して言った。
「港の夜景を一緒に見たいんだけど………いいかな?」
ワタシは、黙ってショウの腕を強く掴んだ。