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第九章【2】
静かに、
静かに、
ドアが開く。
ほんの少しの隙間から、素早く中に入ってくる影があった。
すぐに、ドアが閉められる。
ショウだった。
ショウが、ドアを背にして、立っていた。
「ショウ!」
私は、叫びそうになって、思わず息をのみ、そのショウの姿に目を見張った。
軽くカールの掛かっていた栗色の髪は、ぼさぼさで、頬は、痩せこけ、口が切れて、殴られたのか左の目尻が腫れ上がっていた。
「ど、どうしたの!その顔……」
ショウは、なにも答えず、ただ、ワタシをずっと見ていた。
光の届かない海底の深淵のような瞳だった。
ワタシは、混乱していた。
やっと、再会出来たショウは、無残な姿でワタシに近づこうともせず、ずっとドアのそばで立ち尽くしている。
不意にショウは、視線を下に落とした。
「ゴメン……」
ショウの痛ましい格好と、その言葉で、
ワタシは、すべてを理解した。
そうか……
ダメだったんだ……




