第九章【1】
ワタシは、中世ヨーロッパのお城の地下室を模した部屋にいた。
その部屋の中央にある大きな十字架にウエディングドレス姿で磔にされていた。
ウエディングドレスは、見るからに高級品で、サイズもワタシにあつらえられたように、ピッタリだった。
衣装ケースから、取り出された時、さすがにときめいたが、ドレスが素敵すぎるだけに、その後のことを思うと、散々な気分になった。
『なぜ、見ず知らずの男に、よりによって、こんな格好で犯されなきゃならないのか?』
ワタシは、心から滲みでてきたこの疑問を何度も、心の奥底に押しやらなければならなかった。
しかし、いくら押しやっても、心のヒビから、溢れてくる。
やがて、その思いは、もっともタチの悪い希望へと変わってゆく。
『これが、ショウだったら、ショウだったらどんなに……』
ワタシは、はらってもはらっても現れるこの思いを抱いたまま、客の前へと引きずり出された。
今や、頭にかぶっていた細やかなレースの美しいベールは、剥ぎ取られ、石畳を思わせる床に投げ捨てられていた。
下着は、早い段階でむしりとられた。
不意に、内股を生暖かくドロっとした体液が流れ落ちてゆくのがわかった。
つい、さっきまで、客が執拗に腰を動かしていた。
そのおぞましい感覚が、否が応でも思い起こされる。
両腕を大の字に縛られたままだったので、手首がヒリヒリと傷んでいた。
客は、ウエディングドレスを脱がすことなく、ワタシの腰を抱きかかえながら、果てた。
その名残が、今になって、ワタシの太ももを、けがしてゆく。
客がドアから姿を消して、どれくらい経ったろうか?
いつもなら、もうとっくに、男たちが入ってきて、ワタシをシャワーへと促しているはずだ。
こんな格好で、いつまでこの部屋に閉じ込めておくのだろう?
腕も、足も、もう、限界に近かった。
縛られた手首が余りにも痛いので、人を呼ぼうかと、思い始めた頃だった。
私は、ふと、ドアの向うに人の気配を感じた。




