第五章【4】
ショウ、夕食どうするんだろう……
ワタシ、いつまでここに居てていいんだろう……
そんなことを思い始めたちょうどその頃、ショウが話しかけてきた。
「実は、3ヶ月くらい手がけていたプロジェクトが昨日、終わってさ」
ショウは、そういってソファーに座っているワタシの隣に座った。
「それで、1週間ほど、有給休暇出たんだよ。」
「え?……」
驚く私を他所に、ショウは、続けた。
「よければ、会社始まるまで、ずっといていいよ。
まあ、よければだけど……」
思わず、ショウに抱きつく。
そして、素早く首に手を廻し、キスをしようと顔を近づける。
ヤタ!時間だけは、たっぷりあるんだ。
しばらくずっとショウと一緒だ。
一緒にいられるんだ!
「ちょ、ちょっと待ってよ。」
そういって、ショウは、ワタシの唇を人差し指でそっと制した。
「昨日から、一度も、家のほうに連絡入れてないんじゃないの?
それがけっこう気になっているんだけど……」
「あ!ウチなら大丈夫ですよ。あとで、メール入れますし……」
「やっぱ、すぐに、電話した方がよくないかな?
そろそろ夕食時だし、絶対、ママ、心配しているって」
「ん~ウチのママは、外泊したくらいで、怒らないんだけど……」
そうは、いったものの、ショウに、念を押されて、やや、心配になってくる。
確かに、昨日も外泊するって連絡入れてなかった。
こんな夢心地なショウとのひとときを、ワタシの方から進んで現実に戻さなくてもいいじゃんという思いの方がまさっていたから……
ショウは、さっきから、心配そうに、ずっとワタシを見ている。
ワタシは、バックに手を伸ばし、携帯を取った。
そして、家の短縮を探す。
「あ!ママ?」
呼び出し音も聞こえないうちにすぐに回線が繋がった。
嫌な予感がする。
「ちょっと、どうしたの?
大丈夫なの?
なんで連絡くれないの?
お父さんも、ずっと心配してたのよ」
大きなヒステリックな声が、携帯から聞こえてきた。
「チッ」
ワタシは、舌打ちしてすぐに立ち上がり、洗面所のドアへと向った。
ショウに聞こえちゃったかもしれない……
急いでドアを閉め、携帯に話しかける。
「いきなりなんなのよ。ひどいじゃない?おっきな声で……」
出来るだけ感情を抑えているが、ワタシの方も、声がおっきくなってくる。
「いったい、どこにいるの?外泊する時は、連絡するって約束したじゃないの?」
「だから、今、こうして連絡しているんですけど……」
ワタシは、憮然としていった。
なんなんだ。このヒトは?
「ちょっと、今どこにいるの?
なにしてるの!」
「どこだっていいでしょう?
友達のところよ……」
「今すぐ帰ってきなさい。
お父さんだって、ずっと心配しているのよ」
「ハァ?嫌よ。
なんで、帰らなきゃならないのよ。
つーか、まだしばらく帰らないから」
「ちょっと、ダメよ。そんなの!」
あーあ、ホントおっきな声だ。
「もう、携帯、切るよ!
別に、子供じゃないんだし、いいからほっといてよ!!」
「………」
急に、静かになった。
また、泣いてるんだ……
マジで、嫌になる。
「メールで連絡はするから、それでいいでしょう……」
「………」
まだ、無言だ。
「はぁ……」
ワタシは、大きなため息をついた。
「じゃ、切るね。
元気だから、心配しないでね」
「…………メールだけは……
してちょうだいよ。約束よ。」
やっぱり、ママは、泣いていた。
あ~気分悪い。
ホント気分悪い。
ワタシは、しばらく洗面所で腕を組みながら、このイライラした気分が収まるのを待たなければならなかった。
このこと、ショウにどう取り繕おう………




