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異世界転移した呂布、魔王になる  作者: 麻莉亜
第0章 人中の呂布
1/1

呂布、死す

後漢末期、下邳。

呂布が籠っている城を曹操軍が囲む。城が落ちるのも時間の問題である。総大将の曹操が馬上から城を見つめている。

「戦鬼呂布もここまでか。丁原を裏切り、董卓も裏切り、最後は己も部下に裏切られて終わるのか。あれほど暴れ回った呂布も最後は呆気ないものだな。」


呂布奉先。

最強という名をほしいままに戦乱の時代を暴れに暴れ回った武将。劉備、関羽、張飛の3人と同時に戦い互角以上の争いをしたほどの武力を持っていた。その最強呂布が最強の馬、赤兎に跨るのだからまさに敵無しであった。そんな呂布が今まさに曹操軍に敗れる寸前である。丁原と董卓という2人の義父を続けて裏切った呂布が、最後は自分の部下に裏切られて窮地に立たされている。


「この俺がこんなところで終わってしまうのか。」

曹操との最終決戦を前にして、呂布は自分に最後まで付いてきた兵たちをまとめていた。その数300。もはや軍とは言えない数にまで減ってしまった。宋憲と魏続が曹操軍に寝返った時に大多数の兵がそれに着いて行ってしまった。残ったのは陳宮と高順の配下の一部だけであった。この300でこれから曹操軍と戦わなければならない。結果は目に見えていた。戦う前から勝敗が決まっているような戦になる。愛馬赤兎に跨り、兵たちの姿を見回す。こんな状況でも兵たちに申し訳ないというような感情はなく、どうしてこの俺がという自分本位の考えしか出てこない。呂布は最後まで呂布だった。


「だから私が何度も忠告したではありませんか。もっと部下を信用しなさい、と。まあ裏切りが信条のようなあなたにとっては、無理な注文でしたね。」

腹心の陳宮が呂布の横につき、皮肉を言う。呂布が鋭い目つきで睨むが、もう最後だと腹を括っている陳宮は怯えもしない。丁原、董卓と立て続けに裏切ってきた呂布は自分も裏切られるのではないかと疑心暗鬼になり、自分の配下を信用することが出来なくなっていた。そのことが原因で配下の武将たちも不満を持っていた。自分が仕えている将軍が自分を信用してくれないのなら、それも致し方ないことであった。その不満が募りに募って爆発してしまった宋憲や魏続が多くの兵を連れて呂布を裏切り、曹操へと裏切ってしまっていた。今の呂布に残されているのは、昔から自分についてきた兵たちのみ。


「陳宮よ。今のこの状況を招いたのは俺自身だと言いたいのか。」

「ええ。今はっきりとそう申しました。」

方天戟を握っている右手に力が入り、思わず陳宮を斬ってしまいそうになるのをなんとか抑えた。

「以前ならこの場で殺していたが、見逃してやる。」

「それはどうも。まあ殿も私も今日ここまででしょうな。」

「俺は呂布奉先だ。これまでも自分の力で生きていた。そしてそれはこれからも続くのだ。曹操なんぞ、俺の敵ではない。」

よくもこの現状で言えたものだ。陳宮はそのように思ったが、自分が呂布に従ってきたことに後悔はしていないかった。元は今自分たちを囲っている曹操に仕えていた。曹操は有能な者を冷遇することがなく、ことごとく登用することで力をつけてきた。陳宮も例に漏れず曹操にそれなりの役を与えられていた。しかし陳宮は曹操から呂布へと鞍替えした。自分でも明確な理由はわかっておらず、その結果が今の現状だった。


決着はあっという間だった。兵たちが次々と倒れていき、瞬く間に曹操の大軍勢に取り囲まれる。高順が捕えられ、陳宮も捕えられた。陳宮の顔には諦めしかない。

「ぬおおお!この俺が!この呂布奉先が!曹操なんぞに負けるはずがないんだ!」

右手に持つ方天戟を振るう。曹操の兵2、3人の首が一度に吹き飛び、返す刀でさらに首が吹き飛ぶ。人数など関係ないと言わんばかりに、呂布の周りの兵の首が次々と吹き飛んでいく。しかし呂布も無事ではない。背後の兵に斬りつけられ、その兵の首を飛ばす。その間にまた背後の兵に斬りつけられる。それを何度も繰り返し、遂に呂布の片膝が地に着いた。呂布が戦で片膝を着いたのは生まれて初めてである。

「今だ!」

敵将の合図で同時に捕縛の縄が何本も呂布の体に巻き付く。何本もの縄が巻き付き、さすがの呂布も身動きが取れなくなっていた。

「呂布を捕らえよ!」

曹操の号令がかかる。遂に呂布が捕えられ、曹操と呂布の戦いの決着がつく。幼少期の喧嘩も負け知らずで、戦乱の中に身を置いて以後も負け知らずだった

呂布が生まれて初めて敗北というものを経験した。


呂布、陳宮、高順の3人が後ろ手で縛られて跪かされているところへ曹操が歩み寄る。

「呂布よ。よくもまあここまで世を乱しに乱してくれおったな。」

「曹操!俺はお前などに負けてはおらん!あいつらが俺を裏切らなければ!縄を解け!そして曹操!俺と一騎打ちで決着をつけるぞ!」

「お主の負けだ、呂布。お主は所詮ここまでの男だったというわけだ。恨むなら自分自身を恨むがいい。」

曹操が右手を挙げ、それを合図に呂布の後ろにいた兵が剣を大きく振りかぶる。

「さらばだ、呂布。」

曹操が右手を下ろすと同時に、兵が呂布の首を目掛けて剣を振り下ろす。血飛沫と共に呂布の首が転がって


いない!


首どころか呂布の姿が消えてなくなっている。

「呂布はどこへ行った!なぜ急に消えおった!夏侯惇!今すぐ呂布を探せ!」

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