第4話 冒険者ギルドと少女
「ここだ」
鎧の男に連れられてやって来たのは大きな建物だった。看板には――冒険者ギルドと書かれている。中に入ると、ざわついた空気が流れていた。
酒の匂い、武器の音、荒い笑い声、いかにも「そういう場所」だ。
「新人か?」
受付の女性が顔を上げる。
「さっきの騒ぎのやつだ」
男がそう言った瞬間空気が変わった。
周囲の視線が一斉に集まる。
「おい、あいつか?」
「素手で魔物倒したって……」
「なんで生きてんだよ……」
ひそひそと声が広がる。
(もう広まってるのか)
少し面倒だが悪くない。
「とりあえず登録だ」
受付が書類を差し出す、名前、年齢、簡単な情報を書く。
「これで登録完了です」
あっさり終わった。
「ランクはEです」
「まあ、最初はそんなもんだ」
鎧の男が肩をすくめる。
「だが――すぐ上がるだろうな」
ニヤリと笑った、その時だった。
「ちょっといい?」
別の声が聞こえた、振り向く。そこにいたのは一人の少女だった。
長い髪に軽装の装備。腰には短剣。
鋭い目で真っ直ぐこちらを見ている。
「あなた、さっきの人でしょ?」
「ああ、そうだけど」
少女はじっと俺を見て少しだけ笑った。
「やっぱり」
「何がだよ」
「強いでしょ、あなた」
ストレートすぎる言葉、少しだけ間を置いて答える。
「まあ……死なないくらいにはな」
少女の目が細くなる。
「いいね、それ」
明らかに興味を持たれている。
「私はリナ」
手を差し出してきた。
「パーティ、組まない?」
「……いきなりだな」
普通はもっと段階があるだろ、だがリナは気にしない。
「直感」
あっさり言い切る。
「あなた、面白いから」
(面白い、か)
悪い気はしない。
それに――
(悪くない話だ)
この世界では一人より複数の方が有利だ。
「……いいのか?俺で」
「むしろ、あなたがいい」
即答だった、迷いがない。
俺は少しだけ考えて――
「分かった。組む」
そう答えた、リナは満足そうに笑う。
「決まりね」
差し出された手を握る。
その瞬間――
(流れ、来てるな)
底辺だった俺がここにいる。
力もある。仲間もできた。
だったら――
「ここからだな」
成り上がりの道は、もう止まらない。




