第1話 ゴミスキルの価値
「おい、それ0円でも売れねぇぞ」
市場の男が笑った。
俺の手には、一枚のスキルカード。
《微弱強化》
誰がどう見てもハズレ。
この世界では、人はスキルを持って生まれる。
そして、そのスキルは売ることができる。
強いスキルは高値で取引され、
弱いスキルは――ゴミ扱いだ。
「……やっぱりダメか」
最後の望みだったがは厳しい。
金がなければ生きていけない。
スキルが弱ければ稼げない。
この世界はそういう仕組みだ。
「次、来い」
商人に追い払われ俺は市場を後にした。
そのとき――
視界に、違和感が走った、目の前にある別のスキルカード。
《劣化再生》
表示の横に何かが見える。
(……なんだこれ)
小さく文字が浮かんでいた。
《真価:不死級》
「……は?」
思わず足を止める。
今の表示今まで見たことがない、もう一度そのカードを見る、やはり同じだ。
《劣化再生》
《真価:不死級》
周囲の誰も気づいていない、俺だけが見えている。
「……もしかして」
心臓がドクンと鳴る、俺はそのカードを手に取った。
「それ?安いぞ、ゴミだしな」
店主が適当に言う。
「いくらだ?」
「100ゴールド」
破格だった、いや、この世界では妥当だ。
でも――
(違う)
これはゴミじゃない、確信があった。
「……買う」
俺は即決した、この瞬間俺の人生は変わる。
ゴミだと思われていたものが、
本当は価値を持っている。
そしてそれが見えるのは――
俺だけだ。
成り上がる。
この世界で、必ず。




