第16話 6秒の沈黙。
スマホから漏れ出る琴葉の声を聞いた俺。
マンションの玄関からやや離れた場所に移動し、近藤が出てくるのをヤキモキした気持ちを抱えながら待った。
──バタン。
マンションの共有玄関。
琴葉と近藤が連れ立って現れた。
「……琴葉、また明日来るわ……。すげー気持ち良かったぜ」
「はい。先輩とまたやれるの、楽しみに待ってます」
──ピキッ、
こころの血管が切れる音を自ら感じつつ、俺はふたりの前に躍り出た。
「ん……キミは……誰だったかな?」
「俺は同じ学校の二年、西村です。近藤先輩」
気持ちを落ち着かせるためにも、丁寧に答える。
「あ~! キミ、未姫に金魚の糞みたいにひっついてた、童貞野郎だな? いや〜、彼女の処女の味は極上だったぞ? ただ、外でしようとすると嫌がるから、苛ついてたんだよなー。
琴葉のほうは、生理中だってのに俺とヤリたくて溜まらないらしくって、生で何度もヤッたし、いい子だよなあ〜〜」
──プチン。
未姫のこと、
琴葉のこと。
ふたりのことを軽視するその態度に、頭の血管が切れる音が脳内に響いた。
「────すぅぅ…………、、」
6秒の沈黙……。
アンガーコントロール、、
殴りつけてやりたいところだったが、必死に耐えた。
その代わりに──、
「──琴葉……、来て」
近藤先輩のかたわらに立つ琴葉の手を取ると。
俺は歩きだす。
「……はくとさん……、」
小さな口から、ひとりごとのように漏れた俺の名前……。




