はじまりの一言で
4月の下旬、中学1年生のマミはクラスに馴染めないでいた。
初めての中学校生活。私の中学校では付近の小学校が3つ集まり構成されている。
だが、このクラスには私の出身校、緑野小学校の生徒が3人しかいない。
かつ、そいつは幼稚園から一緒の仲の悪い隣人だ。
もう1人は友達のサオリ。話せるのはサオリしかいない。
そんな状況の中、5月になってしまった。
「ゴールデンウィーク中の日曜、皆んなで遊ぼうぜ?」
私の家の隣人であり、大嫌いなカズマが声をはりそういった。
「賛成」「賛成」「賛成」とクラスの大半が賛成する中、そんな雰囲気に馴染めないマミだった。
そんな仲の悪いマミとカズマだが、ある一言で関係が変わる…?
はじまりの一言で
作・九ノ瀬ハコベ
4月の下旬、中学1年生のマミはクラスに馴染めないでいた。
初めての中学校生活。私の中学校では付近の小学校が3つ集まり構成されている。
だが、このクラスには私の出身校、緑野小学校の生徒が3人しかいない。
かつ、そいつは幼稚園から一緒の仲の悪い隣人だ。
もう1人は友達のサオリ。話せるのはサオリしかいない。
そんな状況の中、5月になってしまった。
「ゴールデンウィーク中の日曜、皆んなで遊ぼうぜ?」
私の家の隣人であり、大嫌いなカズマが声をはりそういった。
「賛成」「賛成」「賛成」とクラスの大半が賛成する中、そんな雰囲気に馴染めないマミだった。
賛成していないのは、私と友達のサオリだけだった。
次は楽しみな体育だったのに、空が曇ってきた。
(今日はついていないな)私はそう思った。
結局空の機嫌は悪くなる一方で、体育は保健になってしまった。
保健の授業は嫌いだ。保健の授業をするならいっそ室内で体育をしたい。
そんな気分で、私は嘘をつきお手洗いに行った。
空はどんどん雨が強くなった。
暇するのも飽き、お手洗いを出ようとしたその時、正面からカズマが向かってきた。
思わず「わっ」と驚いてしまった
「お前、サボりかよ。先生に報告してもいいか?」カズマは性格が悪く、すぐそんなことを言う。
私は焦りながら走り出した。先生に叱られたらどうしよう。そんな気分で教室に戻った。
結局保健が終わっても、あのことをカズマは先生に報告しなかった。
なぜだろう、と考えながら次の授業の理科に行った。
家庭科の授業は、まさかのカズマと同じ班だ。なんてついていないのだろう。
しかも班のメンバーはカズマの友達。私はこぼれ落ちたイクラのように1人でぽつんといた。
結局授業もまともに受けず、そのまま家庭科は終わった。
(次は給食だ)とウキウキ気分で教室に戻っていたら、急にカズマが話しかけてきた。
「お前、本当に体調悪いのか?」
私は驚いた。カズマがこんな事を話してくるのは初めてだ。
「う、うん…ちょっと朝食べたカツが当たったみたいで…」
「えっ俺も今日朝カツ食べたんだけど」
私は困惑しながら話に乗った。
「え?本当に?すごいね…」
「まぁ、とりあえず体調に気をつけろよ。無理しないでな」
幼稚園から関わってきて、初めてこんな優しい言葉をかけてもらった。
と言うか、今年度男子に話しかけられたのなんか初めてだ。
外も晴れてきた。次の授業は楽しみの理科の外学習だ。少し心が明るくなった気がする。
あれから3日が経ち、明日はゴールデンウィーク初日だ。
ゴールデンウィークだからと言って、別に休日なわけでは無い。塾もあるし、家に帰ったら宿題もしないと行けない。空いてるのは月曜日くらいだ。
私は帰学活の準備をしながら、お手洗いに行くために廊下に出た。そしたら急に、カズマが話しかけてきた。
「ゴールデンウィーク、空いてない?」
「えっ…空いているけど、どうした?」
「緑野公園で遊ぼうよ。一緒に」
私はまた心の中で困惑した。なんで急に遊びの誘いに?と思いながらも、思わず私は「うん」と言ってしまった。
「じゃあ決定な!月曜日、緑野公園で一時集合!絶対来いよ!」
私は何故か、自然と笑顔になっていた。理由は分からない、けど、心の中のモヤが晴れた気がする。
(月曜日、楽しみだな)私はそう思った。
何故かは自分でも分からないけど、友達のサオリは誘わなかった。
私はその日を楽しみに、お手洗いに向かった。空は雲ひとつない晴れの日だった。
お読みいただきありがとうございました。
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