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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第五章 氷雨の夜に
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往時


 空間の穴に吸い込まれた二人は、まるで水の中を流されているような感覚に陥った。


見失わないようにお互いに手を強く握る。

お互いの熱だけが唯一のわかる情報。視界には流れる時間の映像が断片的でありながら、連続して見え、星の外の宇宙の光景すら見える。


鼓膜には悲鳴や笑い声、未知の世界の言語や星の砕ける音が聞こえる。


狂気的な時空間の激流に呑まれ、二人はどこまでも流されていく。そんな時、声がした。



「しばらくは合わないと言ったんだけどな、そっちから来るなら仕方が無いか」


◇◇◆◆◆◇◇


 智也は誰かに手を掴まれた気がして、目を覚ますと智也は濡れた状態で河川敷に打ち上げられていた。


手を握っている感覚がある方を向くと、同じく全身が濡れた状態の昏が隣で眠っていた。


空一面に青空が広がり、鬱蒼とした樹海とはまるで景色が変わっていた。心なしか空気も澄んでいて心地がいい。


辺りを見渡すと木造建築が多く、長屋のようだったがかなり質素に見えた。


智也が昏を揺さぶると、彼女も目を覚ました。


「はっ! お姉ちゃんは?」


「......連れ去られた」


昏の顔が青白くなった。

「そっか、夢じゃ、なかったんだ......ところで、ここは?」


「わからない。ゲートが暴走して空間に穴を造ってしまったから、多分原因はそれだと思う......ごめん」


「......謝るのは後にしよう、とりあえず、早くお姉ちゃんを探さないと!」


昏はスマホを見てみるが濡れて壊れていた。


智也の方は防水だったため、かろうじて生き残っていた。

電源をつけると、スマホの通信は"圏外"と表示されていた。


「あの湖に繋がる川に流されてかなり田舎の方に来たとか......?」


「ただ、これは田舎というより......だめだ、わからない」


二人は肌寒さに襲われた。

濡れた服を着ているから当然だろう。


背に腹は変えられないと思った智也は服を脱ぐことにした。上半身の服だけ脱いで水を絞った。


彼は細身にしては筋肉質な体つきをしており、体には回復しきれなかった、月の神に負わされた傷跡が僅かに残っていた。


昏は少し頬を赤くしていた。

「急に脱がないで......」


「一緒にプール行ったことくらいあるから、今更だろ......!」


「それ、中一までの話じゃん! というか、その傷跡どうしたの? って聞いてる?」


周囲を見渡して、人目につかなさそうな場所を探すと、近くに時代劇で見るような木製の橋があるのが見えた。

一旦、昏の話を無視し、智也と昏は橋の下に移動してから、彼は防御魔術を昏にかけた。

そして、朝霧から教わっていた少しだけ空気を暖める魔術を使った。


防御魔術を使って気化冷却を防いで服だけ乾かそうという戦法である。まだ二つ同時には使えないので、昏の服を乾かし終えてから自分の分も乾かしていた。


その時、一人の少年が河川敷に現れた。魔術を使っているところを人に見られるのはまずいと思った智也は咄嗟に魔術を止めた。


少年はこちらに気づくと、勢いよく走って二人の元までやって来た。内心焦っている智也をよそに、少年は二人を見つめた。


少年は黒髪に黒い目をした、整った顔つきの容姿で、これは智也にはわからないことだが、朝霧の一番初めの弟子、グレイスト・リーストとそっくりだった。


「あんた、妖術が使えるんだろ!」


謎の少年は目を輝かせていた──


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