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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第五章 氷雨の夜に
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深緑の夢



 目の前に、幼い子供がいた。


茶色い髪に深緑色の瞳をした小柄な少女は、手で何かを掴んでは、引きちぎって口に運んでいる。その表情は、至福のひと時を楽しんでいるようで、満面の笑みを浮かべて絶えず何かを咀嚼そしゃくしている。


私はその少女に強烈な嫌悪を覚えた。全身に鳥肌が立ち、今すぐにでもその場から離れたい。しかし、体が動かない。



少女は手と口のまわりを赤く染めながら何かを貪り食う。まるで獣のように食らい続ける。


何を食べているのだろうか? それは知っている。忘れたい。しかし、忘れられない。



 違う。これは私ではない──



◇◇◆◆◇◇




[2022年 8/13]


 目覚まし時計のアラームがうるさい音を鳴らす。その音で二条紗由理は目覚めた。目覚めた彼女は汗をかいており、何か悪い夢でもみたのか、寝覚めが悪かったようだ。


「......また、あの夢か」


紗由理は階下へ降りる。

すると美味しそうな香りが鼻をくすぐった。どうやら妹の昏が朝早く起きて朝食の準備をしていたようだ。


「おはよう、お姉ちゃん」

「おはよう」

昏の快活な声に、紗由理は眠気を帯びた声で返した。


昏は少量のツナとキャベツを炒めた野菜炒めを食卓に運んだ。二人は食卓に並び、朝食を食べ始めた。

「いただきます!」


二人が和やかに会話をしながらご飯を食べていた時、昏がリモコンに手を伸ばし、テレビの電源を付けた。


テレビには一人のアナウンサーが映っており、今まさにトピックについて話し始めるところだった。


「昨日未明、C県墓山町の樹林近くで男性の白骨遺体が発見されました.....死後数十年は経過しており......また、骨に残っていた多数の爪痕から野生動物に襲われた.......」とアナウンサーが話していた。


紗由理が突然、箸を落とした。彼女の表情は青ざめ、まるで何かに怯えているようだった。姉の様子の変化に、昏は心配そうに声をかけた。


すると正気に戻ったのか、紗由理はハッとしたような表情で昏にぎこちない笑顔を見せた。

「大丈夫......でも、少し気分が悪いから部屋に戻るね」

紗由理は箸を拾って机に置き、ご飯を残したまま食卓を去った。


昏は部屋を出ようとする紗由理を制止しようと思ったが、今は話しかけない方がいいように感じてそれをやめた。


テレビのニュースを見た瞬間に姉の様子が変化したことから、昏はニュースの詳細をよく見てみた。その時、あることに気づいた。


「C県墓山町......昔、お姉ちゃんが住んでいたところだ」



◇◇◆◆◇◇




一方、智也は朝霧と共に魔術連にいた。この日は魔術連幹部の会議があり、招集された朝霧に智也も同行していた。


智也と朝霧が魔術連の地下、広い空間へとやって来ると、突如として円卓のある会議室へと転移した。そこは音の神リディアロスの世界であり、重要な会議などは決まってここで行われている。



円卓には既に二人の男の幹部が隣り合って座っており、楽しそうに談笑していた。


一人は屈強な体つきをした大男で名は"ハイパー・ストロング"魔術連の戦闘部隊のトップを務めている。ただ脳筋であるが故に作戦無しで部下を敵地に突っ込ませようとする。


もう一人は糸目をした中肉中背の男で、名は"クラーク・スマート"魔術連の戦闘部隊の参謀役であり、脳筋のハイパーにかわって作戦を立案している。


「おう、朝霧の姉貴にその弟子か! 久しぶりだな!」ハイパーが少し耳障りなほど大きな声を出した。


「久しぶり。相変わらずだねー。クラークも元気そうで」


「そこの智也くんのお陰ですよ。深淵教団の連中はすぐに厄介ごと起こすから、幹部メンバー倒して、更に情報を持って来てくれて感謝してる」


智也は照れくさそうな顔をした。二人は軽く挨拶をして席に着いた。




その次に入って来たのは目隠しをつけた背丈の小さい女性の幹部だった。名はレミシア・アルバタイン。魔術連の魔術開発部門を担当している研究者兼管理者だ。


そして十人の幹部のうち八人が揃い、九人目にファング・オーガーがやって来た。


ファングは智也と顔を見合わせるやいなや少々気まずそうな顔をした。智也は夏祭りで紗由理に対して鋭い殺気を浴びせた理由を後で教えてくれと頼み、ファングはそれを了承した。


そして十人目、最後の幹部、魔術連の財政を担当する幹部アッシュ・ゴルドーと呼ばれる人物が入って来た。


魔術連は大きく分けて二つの組織で構成されており、魔術に関する隠蔽、研究等を主とする魔術派閥、そして魔術連の運営に関与する運営派閥に分かれており、魔術派閥の長がレミシア、運営派閥の長がアッシュである。


その他の幹部メンバーは戦闘員や隠蔽等の指示、実行をするリーダー格の人物たちであり魔術連の持つ軍隊の長とも言える。ただ朝霧は例外として部下を持っていない。なぜなら彼女自身が部下を拒んだことと、その戦力が単身で魔術連の軍隊に匹敵するからである。



アッシュ・ゴルドーは席に座り、足を組んだ。



「では、進行は私クラークが務めさせていただきます。まず......」


議題は大きく分けてニつ。

まず深淵教団についての今後の対策の話となり、結果としては12月25日のロンドンでの大規模テロに備えて魔術連の強化、そしてイギリス政府により避難指示を出してもらうことに決まった。


また『使徒の目』の能力も、一部ではあるが判明しているためそれも全体で伝えられることになった。



そして二つ目、今度は音の神の契約者についての話になった。


二日前、音の神の契約者であったメゾルガという老魔術師が息を引き取った。そして、その後無事に音の神の契約は継続された。


そして昨日、各地で同時に魔術師が襲われる事件が発生し、五名が死亡。その全員が音の神の契約者候補だった。


「現在の音の神の契約者は襲撃者から身を守るために潜伏してもらっています」


幹部レミシアがニヤリと笑った。

「これは深淵教団の仕業だろうね。音の神の契約を断ちたいのだろう。あと、ここらは私の勘だが、奴らはすぐにでも我々幹部メンバーに対して攻撃を仕掛けて来るだろう。だから、死ぬなよ。これ以上駒が消えると困る」




 そして、会議は終了し、音の神の領域から、全員元いた地下の空間へと戻った。


智也は会議が終わるとすぐさま、ファングに話しかけに行った。


ファングも智也に話したいことがあったようで、少し二人で話そうと、場所を移した。



近くにあった部屋の中に入り、ファングと智也は向かい合って椅子に腰掛けた。座っても智也より大きなファングの体躯は威圧感を感じさせる。


二人きりになったところで、ファングから切り出した。

「あの祭りにいた彼女、紗由理、と言ったか、彼女は本当に人間なのか?」


「......どういうことですか?」

智也はよくわからないという表情を浮かべた。


「彼女から感じた気配はまるで、魔物のようだった。正確には魔物ともまた違う感じで、何か混ざっているような独特の気配がした。彼女の出生について何か知っているか?」


「待ってください、紗由理さんが魔物と疑っているんですか? 違いますよ、あの人は人間です」

智也は少し怒った口調だった。



「............すまない、とは言え、私は魔物狩り。魔物の気配にはすぐ気づける......これは、憶測の域を出ないことだが、もしかすると彼女は───」




智也はそれを聞いて混乱した。

紗由理は二条家の養子であり、引き取られる前のことについては詳しく無い。出生、一体、どこから......



疑念が生まれる中、智也はファングに別れを告げて二条家へと向かった──







登場人物の名前が多すぎる...名前はまだ覚え切れなくて大丈夫です。


久々に投稿したので書き方が少し変わっているかもしれません。とりあえず、3月中は毎日投稿目指してみます。(出来なかったらすみません)


今後ともよろしくお願いします!


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