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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第4章 忘却の彼方
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楓の魔女

[2022年 8月6日]



 流楽の体に入っている智慧の魔女、もとい楓は再び智也の前に姿を現した。  


「......『疑問に答える』か......また前みたいに、はぐらかすんじゃ無いよな」智也は言った。


「まあ、多少は言えないことがあるけど、ある程度は答えてあげるよ」魔女は言った。



 智也は一度現状を振り返ることにした。


つい先程、智也は忘れていた両親の死に際に関する記憶を思い出した。それと同時に、もう一つの忘れていた記憶、タイムリープ前の記憶も思い出してしまった。


 その記憶の中では世界が終わる直前の時間に、昏と紗由理が殺されていた。


昏の体には刃物で刺された痕があり、その後現れた救世団のリーダー【ノックス=ドーム】が手に血のついた短剣を持っていたことから、昏を殺したのはおそらくノックスだろう。


加えて、ノックスの背後にいた誰か。黒い影のようなもので覆われて姿がわからないが、手は人間だった。


その人物が智也に手を伸ばし、記憶を消す魔術を使った。その後、智也は無意識状態で操られ昏の家から黒戸神社への道のりを戻らされていた。


 そして、意識が戻った直後、昏の家の方向から"何か"が現れ、世界が滅亡した。



「まず聞きたいのは、なぜノックス=ドームは昏と紗由理さんを殺した?」智也は訊ねた。


楓は言った。

「さあ?」


「まさか、また答えないつもりか!?」


「いや、違うんだよ。私は君がタイムリープしていることは知っているけれど、知っているのはあくまでこの時間軸のことだけなんだよ」と楓は言った。


「......お前、智慧の魔女なんだよな? 向こうのやつは自称でも全知ぜんちって言ってたぞ」智也は言った。


「そんなこと言われてもねー」楓はやれやれと言う表情をした。



「............そもそも、どうしてお前たちは僕のタイムリープのことを知っている? 僕はタイムリープを知られたら消される契約だから、お前たちが知っているのはおかしいはずだ」智也は言った。


楓は言った。

「......それは我々、魔女が全知の智慧を共有する者だからだよ。魔女は全知と繋がり、智慧を得る。故に我々は君がタイムリープをしたことも知っている。けれど、それは我々が君を調べて知ったものでは無く、知っていたもの。それ故にその契約の例外となったんだろうね。もし我々もその対象になれば、君は契約後に即消滅するから」



智也はこの説明に混乱した。

「......つまり、お前らは僕が神と契約したことを、全知の智慧とやらで知っているから対象外ってことか?」


「そう。我々は全知である以上、君の契約が我々に知られているという理由で消え無いように例外となっているんだ」


「なら、もし僕がタイムリーパーだと他の人間に伝えられたら、僕は消えるのか?」


「おそらく、それはない。第一、我々はそんなつまらない手段は取らないし、それは不可能だ」と楓は言った。


(不可能......? 魔女達はタイムリープについて伝えることは出来ないのか)智也は考えた。




「じゃあ、どうして僕はあの記憶を今思い出したんだ? 魔術によって消された記憶を催眠術紛いのことで思い出せるのか?」


「まあ、偶然だろうね。まあ、強いて言うなら、君自身の成長も関わっているのだろうね。少し前まではそんな記憶を思い出したいとも思わなかったはずだろうけど、今の君は凄惨な過去の記憶を受け止められるくらいには強くなったということだ。まあ、精神的負荷は大きかったみたいだけど......」

楓は境内を掃除している祖父をちらっと見て言った。


「......まあ、それはいいとして、僕の記憶を消した人物について心当たりはあるか?」智也は訊ねた。


楓は答えた。

「......考えられる人物としては、我々『魔女』や『朝霧 黎』などの記憶魔術を扱える人物、あとは『深淵教団』にも記憶に干渉する力を持つ者がいる」


「その、深淵教団の奴は誰なんだ?」智也は言った。



「彼女は深淵教団幹部である『使徒の目』の一人、【忘却の目(オブリビオンアイ)】アリス・アーメント。見た者の記憶を忘れさせる力を持っている」


「そんな奴もいるのか......」


 智也の記憶を消した人物、そしてノックス=ドーム。この二人の人物によって昏と紗由理が殺害されてしまう。世界滅亡を阻止する前に、この二人による襲撃を回避しなければ、どちらにせよ二人は死んでしまう。


しかし、わからないことがある。それはノックスの目的だ。


智也があの男に会ったのは一度だけだが、少なくとも一般人に危害を与えるような人物では無いことはわかっている。


それならば、操られていたと言う可能性や、紗由理が次元の神の招来を行おうとしたことが原因かもしれない。


しかし、何か引っかかる。けれど、その正体はわからなかった。




「そろそろ君の祖父が戻ってきそうだし、次が最後の問答にしよう」と楓は言った。



 智也は、ここ一週間で最も疑問に思っていたことを訊ねた。

「タイムリープ前の世界では、僕はグリフィンと遭遇しなかった。けど、この時間軸では遭遇した.......その理由を、ここしばらく考えていた.......その時、爺ちゃんの話を思い出した」



智也がグリフィンに襲われたあの日の深夜に起きたこととして、彼の祖父は『夢の中で、家族に危機が迫っていると伝えられ、目覚めた』と語っていた。



「智慧の魔女、お前には『夢に干渉する力』があるだろう。今回の件、お前が裏で手を引いていたんじゃないか?」智也は言った。


魔女はニヤリと笑う。

「......さて、それはどうだろうね? 私なら君の家族全員が助かるようにしただろうし、こんな世界だ、私以外にも夢に干渉出来る者はいるだろう」


「............まあ、あくまで憶測だ。それに、何であれ爺ちゃんが助かったのは間違いなくお前のお陰だからな、そこは感謝してる」


魔女は一瞬だけ驚いたような表情をした後、いつものニヤケ顔に戻った。



「おっと、そろそろ戻らないといけないね」と楓が言う。


「じゃあな」智也は告げた。


「ああ、そうそう。私は多分しばらく出てこないから、それじゃあ」楓がそう言うと、流楽の瞳の色が黒色に戻った。


「......ちょ、待て......どういうことだよ」智也が止める間もなく楓はどこかへ去った──





今週で終わらせる予定でしたが、思いのほか忙しくなりそうなので、明日は投稿でき無いです...四章完結は来週になると思います。

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