再会
智慧の魔女が去り、棺が置かれた部屋には静寂が残った。
彼はその部屋にあるとある棺が気になり、そこへ近寄った。その棺には特段変わった様子は無かったが、なぜか彼はそれに引き寄せられた。
その棺には最近になって開けられた形跡があり、智也はその棺に書かれていたネームプレートを見た。
「彩島.......礼治!」
その棺には確かに彼の名字である『彩島』と書かれていた。隣の棺を見てみると、それにも彩島姓の名前が書かれている。
彼は恐る恐る、棺を開いた。
そこには、"首の無い"白骨死体があった。
「そうか、こんな暗い場所に............二人とも、やっと、見つけられた」
その白骨死体は智也の両親だった──
グリフィンとの因縁も終わり、智也は魔導具を使って朝霧をグリフィンの屋敷へ呼んだ。
智也の近くにゲートが現れ、警戒しつつ朝霧がやって来た。
「智也くん、無事?」朝霧が張りのある声で言った。
「無事です!」智也は言った。
朝霧はこの場の状況を見て何かを察した。
「......そうか、どうやら全て終わった後のようだね」
「はい......」
そう頷く智也の目には涙の跡があった。
「.......よく頑張ったね」朝霧は智也の頭を優しく撫でた。
それから、智也はそれまでの経緯を話した。
グリフィンのこと、智慧の魔女のこと、白骨化した両親のこと......
朝霧は念のためと魔術で白骨化した遺体を鑑定した。その結果、智也の両親であることが確定した。
「紛れもなく、このご遺体は智也くんの両親のようだ......」
智也は無言で見つめていた。
「......とりあえず、この棺の中の者たち含め、屋敷から持ち帰って、遺族の者たちに返すよ。智也くん、君はもう疲れているだろうから、今日は帰りなさい。ご両親のご遺体は、私が必ず持ち帰る」と朝霧は言った。
「よろしくお願いします......」智也は頭を下げると朝霧の開いたゲートを通って帰宅した──
◇◇◆◆◇◇
智也は家の中に入り、汚れている服を着替えるとベッドに横になった。
先ほどいたグリフィンの屋敷は夜だったが、智也の家のある日本はまだ正午ごろで部屋が明るい。
智也はベッドの上で亡き両親の顔を思い浮かべた。
表情は少し朧げで、声や背丈などを記憶の中から思い起こし、二人の面影を探った。
自然と涙が流れ、服の裾でそれを拭った。
仇は取った。復讐と言えば聞こえは悪いが、智也は復讐のみで戦ったわけではない。己の怒りで力を振るうのでは無く、誰かを守るために力を使うと智也は昏に誓ったのだから。
だからこそ、智也の心は晴れ晴れとしていた。彼は自分なりの信念と正義を貫き、誰かを守るために戦ったからだ。
「眠いな......」
疲れからか、段々と眠くなってくる。やがて、彼は泥のように眠ってしまった──




