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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第1章 禁忌への入り口
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新たな魔術

楽しんでいただけたら嬉しいです。

 蒼白の化け物との戦いが終わり、夜になった頃、昏と智也は智也の家に入り、机に向かい合って座った


「......智也、本当に大丈夫? 怪我は無いの?」と昏が心配そうに語りかけた。


「大丈夫。でもなんか変だよな、致命傷だと思ったのに、こんなにピンピンしてる......」智也は不思議そうに言った。


その時、昏が真剣な顔つきになって言った。

「......ねえ智也、人は死んだらどうなると思う?」


「唐突だな......まあ、無になるんじゃないか? 死後生き返ったやつなんていないからわからないが......」智也は言った。


「......もし天国も地獄も無くて、死んだらそのまま意識も何も無い『無』の状態になるんだったら、今生きる意味って何だと思う?」昏は言った。


智也はその答えに悩んだ。

「............人生一度きりなんだし、せっかく『有る』状態なんなったら楽しむことが生きる意味なんじゃないかな」智也は言った。


昏はハッとし、自身の言葉を笑ってごまかした。

「......ごめん、何か変なこと聞いちゃった......忘れて」


「お、おう......まあ、今日は色々あったしな。じゃあ、また明日」智也は言った。


「うん。また明日」昏はそう言ってから家へと帰った──


◇◇◆◆◇◇


 その日の夢はとても寂しいと感じるものだった。


 夢の中は辺り一面が真っ黒の空間で、その空間の中心にあの時の夢で見た宇宙のような大樹があった。


しかしその大樹の半分以上は黒く染まっており、物音もしない夢の中ではとても寂しいものに感じられた。


 

 静寂──これが帰って不気味に感じさせた。まるで世界が終わったあの日のような恐ろしさを感じる。



 それからしばらくの間、ずっとこの夢の中にいた。孤独感と不気味さが襲い、早く目覚めることを望んだ。


 すると次第に真っ黒な空間が明るくなっていき、ハッと目が覚めた──


◇◇◆◆◇◇


 次の日、智也は高校へ行くため家を出た。そして昏の家に行き、一緒に登校した。



 しかし昏と会話している間もなぜか今朝の夢が鮮明に思い浮かんでしまった。


「どうしたの智也、ずっとうわのそらって感じだけど......」勘づいたのか昏が尋ねて来た。


「いや、なんでも無いんだけど昨日やられた時に見た夢を今朝も見て、それがずっと頭に残ってるんだ......まあ気にしないでくれ」智也は言った。


「......そっか」


 この時、昏は小さく呟いた。

「ごめん......」


「ん? 何か言ったか?」と智也は言った。


「いや、何でも無い! さ、早く学校行こう!」昏は突然走り出した。




 入学して二日目、明日から授業が始まるのが、今日は簡単な話をして係や委員会を決めた。


ちなみにだが、智也は新聞委員だ。なぜなら高一の時にほとんど活動していないので楽だったのを知っているからだ。


 ズルとは言うまい。



「おはよう彩島あやしまくん」と一人の男子生徒が話しかけてきた。


「おはよう遠野とおのくん。あと智也でいいよ」


「了解。俺も健吾でいいぞ」


「オッケー」



 それから他愛の無い会話をしていると妙な話になった。

「そう言えば知ってるか、深無町で相次あいつぐ不可解な都市伝説の話」


「と、都市伝説......」


(健吾は都市伝説とか好きだしな)と智也は思った。



「昨日の夜に隣町の神社の近くで地面がえぐれてたらしい。おかしいだろ、地震とかも起きてないのに......」


「ははは、まさかそんな......」


「いやそれだけじゃ無い! 一ヶ月前くらいにも金属製の標識が穴あけられて倒れていたり、謎の蒼白いふよふよしたのを見たって話もあるんだ!」健吾は自信満々に言った。



(あれ、それ僕のせいじゃ......)と智也は勘づいたが口をつぐんだ。



 それから、他愛もない話をしばらくして、午前中には帰ることになった。帰り際、校門のところでたまたま昏と会ったので智也は一緒に帰ることにした。

 


「そう言えば、昨日帰る時に魔術がどうとか言ってなかったか?」智也はふと思い出したので聞いた。


「え、ああ............」昏は少し迷っていたが、覚悟を決めて話すことにした。



「実は、私の家って"魔術の研究"をしてるの」


「え......えー!」


 魔術を知っているとは思っていたが家ぐるみだったとは......


「え、紗由理さんも知ってんの......?」智也が聞くと昏はこくりとうなずいた。



「まじか、結構付き合い長いのに気づかなかったなんて......」


「ははは、魔術は秘密にしないといけないからね。知ってたら逆に怖いよ......」


少しの沈黙のあと、昏は少しうつむいた表情で言った。


「智也は魔術が使えるなら魔力の大きさとかもわかるよね?」


「まあ、おおよそなら......」


 その時、智也は気がついた。昨日、昏の魔力量を見た時に感じた違和感に。



「私ね、"魔力が無い"の」


 昨日感じた疑念が確信に変わった。昏に魔力を感じなかったのは気のせいでは無く、実際に無かったのだ。


「......私は魔力が無いから魔術は使えない。だからお姉ちゃんが魔術の研究をしているんだ」


紗由理さゆりさんが......」


「そう。私も力に成りたかったけど、出来ることは少ない......それで何と言うか、私に魔力があれば良かったなって思う時もあって......」


「......まあ、僕も魔術について教わってるし、昏の手伝いたいって気持ちもわかるけど、紗由理さんは危険なことに昏を関わらせたく無いじゃないか」


「そう、だね......ありがとう。魔術の話は人に話せないからスッキリしたよ」と言って昏は微笑ほほえんだ。



 やはり疑問を感じる。


朝霧さんはどんな人間にも魔力はあると言っていた。しかし昏は魔力が無い。加えて蒼白の化け物はなぜか僕では無く昏を狙った。


それだけでは無い。昏には生きている人間全てに付いている【眼】が無い。これらの違和感が少しの不審感ふしんかんを感じさせた。


(て、僕は何を考えてるんだ!)


智也は自分の両頬りょうほほを手で引っ叩いた。昏はそれを見てビクッとした。


 智也は少しでも昏を疑ってしまったことを反省した。【眼】のことを唯一信じてくれた昏を自身が疑ってしうのは恩を仇で返すことだ。



「だ、大丈夫? ほっぺに蚊でもいたの?」と昏が心配そうに聞いて来た。


「あ、悪い。何でもない」



(今は、考えるのをそう)智也はそう思うのだった──


◇◇◆◆◇◇


 それから数日後、智也は探偵事務所に向かうことにした。今日は新しく魔術を教えてもらうことになったのだ。


いつも通り事務所の扉を開き、中へ入る。すると朝霧さんがめずらしく起きていた。


「おお、智也くんおはよう!」


「おはようございます......なんか珍しいですね、起きてるなんて......明日はヤリイカの雨かな」智也はぼそっと呟いた。


「ヤリイカって......そこは槍の雨とかでしょう......」と朝霧は言った。


 智也は突然真剣な顔つきになって言った。

「実は、この前蒼白いミイラみたいな化け物に襲われたんです」


「ミイラみたいな化け物......魔物みたいなもの?」と朝霧は言った。


「それは分かりません。でもそいつは強かった......僕はやられてしまって、友達に怪我をさせてしまったんです。だから、どうすれば良いのか相談したくて......」




 それから、少し話をした後に、智也は新しく魔術を教えてもらうことになった。教えて貰うのは攻撃魔術の基礎的なもので、名前は【不可視の衝撃】だ。


その効果は見えない魔力のかたまりを放つものなのだが、原理はとても簡単で、元から不可視の魔力に指向性を与えて勢いよく放つというものだ。


いわゆる魔力弾である。


 『不可視の衝撃』の魔術陣を教わっている時にあることに気づいた。この魔術陣の術式は蒼白の化け物が廃教会で使っていたものと同じだったのだ。





あの化け物『不可視の衝撃』よりも威力の高い蒼白い光を飛ばす魔術を使っていたが、それは朝霧も未知の魔術とのことだった。



 そして最も重要な化け物の体をすり抜けることについては、魔術というよりも何らかの魔法に近いものだと言われたが、対処法はわからなかった。



「なるほど、そんなことがね......それに関してはあまり力にはなれそうに無くてすまない」朝霧は言った。


「いえ、色々と教えてくれてありがとうございます......」



(ただ、未だに化け物への対処法がわからないのは問題だな......)と智也は不安を感じた──



 その後、丸一日かけて『不可視の衝撃』を習得し試し打ちをすることになった。


朝霧はここではまずいからという理由で椅子から立ち上がり魔術を発動させる。


そして朝霧が「空門ゲート」と唱えると、突然目の前の空間に穴ができた。その向こう側を見ると広い荒地が広がっていた。



 智也は朝霧に連れられその空間の穴を通り広い荒地に着いた。


「すごい! 一瞬でこんな場所に!」智也は驚きと共に興奮を感じた。


「これは【空門ゲート】という魔術で、空間魔術の一種なんだ。智也くんにも後々教えるから期待しててね」と朝霧は言った。


「はい!」



 そして、広大な荒地を見渡してみると数人ほど人がいるのが見えた。


「あの人たちも魔術師なんですか?」智也は聞いた。


「そうだよ。ここは魔術連の管理する魔術の特訓場でね、魔術の試し撃ちにはもってこいの場所だよ」と朝霧は言った。


 それから智也たちはその場を少し離れてから立ち止まった。


「ここらでいいかな」朝霧はそう言うと何も無いところから奇妙な道具を取り出して地面に放り投げた。 


すると地面に魔術陣が描かれそこから人型のゴーレムのようなものが現れた。


「そのゴーレムは動かないけど、かなり頑丈だから試しに撃ってみて」


朝霧がそう言ったので、智也は空中に魔術陣を展開し狙いを定め「不可視の衝撃」と唱えた。


 その瞬間、巨大な不可視の魔力が魔術陣から放たれ、地面を大きくえぐりながらそのゴーレムに向かって進んだ。


そして一瞬にしてゴーレムに到達し、跡形あとかたも無く消し飛ばした。


「えっ......!」その威力に智也は空いた口が塞がらなかった。


「いやー、やっぱりすごいね。智也くんは魔力が多い分、一発に込める魔力も多いから威力が通常よりもかなり高くなるね」と朝霧は言った。



 そして、朝霧は続けて言った。

「智也くんはまだ力加減がわかっていない。もしこれを人間に撃っていたら大惨事だったろうね」


「確かに......」


「だから、今ここで力加減を学んでほしい。不用意に人を殺しては欲しく無いからね」


「......はい!」 


──そして小一時間ほど『不可視の衝撃』を撃ち続け、ついに力加減がわかった。


「オッケー。これで心配いらないね」


 気づくと、朝霧の隣には見知らぬ少年がいた。


「その人、誰ですか?」と智也は尋ねた。


「この子は魔術連の人間だよ。それじゃあ、練習も終わったし、模擬戦といこう」と朝霧は告げるのだった──


読んでいただきありがとうございます。

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