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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第4章 忘却の彼方
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地獄の亡者

 智慧の魔女が智也の体に触れた。


魔女は智也の魂にある"神の力"に干渉し、その力を"奪い取る"。


 智也の体の内側が痛み出し、周囲には虹色の光が溢れ出す。体の内から外に、何かが引っ張られている。


智也は激痛に顔を歪ませるが、動くことが出来ない。

グリフィンはもう少しで自身の悲願が叶うことに歓喜し、大笑いする。



 その時、智慧の魔女の腕から何かが突き出し血が流れた。


腕から突き出した何かは、まるで樹木の枝のようだが、その枝の表面は宇宙のような星空が浮かび上がっていた。


 智慧の魔女はその枝を視界に捉えた瞬間酷い頭痛に襲われた。


次の瞬間、腕から突き出た枝が腕でさらに枝分かれし、宇宙のような外見だった枝は漆黒に変わった。


「これは......まさか......!」智慧の魔女にも想定外の出来事だったのか、彼女は初めて動揺を見せ、力を奪い取るのを中断し、智也から距離を取った。



 漆黒の枝の影響か、呪縛の鎖は破壊されて智也も自由に動けるようになった。


「どうしたのですか、智慧の魔女さん! 力を剥ぎ取ることは出来たのですか?」とグリフィンが叫んだ。


「残念だが、彼から神の力を奪うことは出来ない。無理に奪おうとすれば、かえって私の方が力を失くす」と魔女は言った。


「それはつまり、前兆を魔物化させることは出来ないということですか......? どうしても出来ないのですか?」グリフィンはまさかといった表情で言った。


「残念だが、無理だ」魔女は一言告げた。


それを聴いたグリフィンは絶望の表情で地面に倒れ伏した。


「.......ああ、なぜ追い求めるほど願いは遠ざかり、追いつけないのか! これではアキレスと亀だ! なぜ、世界は私を絶望させる......これが、我が贖罪だとでも言うのですか神よ! そうですか、ならばいいでしょう! 私は貴方の神託に従い、今この場でこの憎き少年を殺し、神に贈りましょう!」とグリフィンは独り言を上に向かって叫んだ。


(何を言っているんだ、こいつは......)智也はグリフィンの取り乱す様子に困惑した。



突然、グリフィンは自身の右手を頭の側面に当て、魔術を発動させて頭を吹き飛ばした。


(何をしているんだ.......)智也はグリフィンの唐突な自傷に驚いた。


「やはり、頭に血が上るのはいけませんね。こうやって血抜きしなければ」グリフィンは一瞬前とは打って変わって冷静な様子になった。




「前兆よ、貴方はすでに美の外の醜悪な存在、ならばこそ、貴方を我が全霊の"美"をもって殺します」グリフィンは叫んだ。


「それなら、私も協力しましょう」と智慧の魔女が言った。




再び、地面にゲートが現れて三人はゲートの向こう側へ飛ばされた。



──その場所は地上の広い更地だった。近くには先ほどいたであろう屋敷が見え、月光が地面に差し込み、三者さんしゃを照らす。



「本来なら、ここで鑑賞をする予定でした。しかし、それが不可能な以上、ここが私たちの決戦の場です!」とグリフィンは目を血走らせ叫んだ。


「そうだな、ここで全部、終わりにしよう」智也は冷徹な感情を目に宿した。


グリフィンは夜空を見上げ言った。


「芸術とは深淵しんえん。深く、深く、人を堕とし、その最奥は誰にも覗くことが出来ない.......私は浅はかでした。この程度で深淵の一端を垣間見えると思っていた。ですが、違う。深淵とは常に求め続けるから存在する。故に、私は探求を続ける。我が魂と貴方の魂を持って、私は更なる深淵を垣間見る!」


 グリフィンの周囲に無数の魔術陣が現れ、そこから異形の魔物達が這い出るように現れる。

その光景はまるで地獄から這い出ようとする亡者のようだった──


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