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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第4章 忘却の彼方
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前日

 智也はゲートで家に帰宅した。久々に帰宅した智也は明日に備えて寝ることにした。


ベットに横になった瞬間、玄関のチャイムが鳴った。智也は起き上がり、覗き穴から誰がいるのか確認して扉を開いた。


扉を開けると、そこには朝霧がいた。


「朝霧さん、どうかしたんですか?」智也は言った。



「明日のことで、話したいことがあったから来たんだ」と朝霧が言った。


「わざわざありがとうございます。どうぞ、中へ」


「失礼するよ」




 朝霧は智也の家に入った。


「ここが、智也くんの家か......ちゃんと片付いている」朝霧がぼそっと呟いた。


「朝霧さんの部屋が汚すぎるんですよ」智也が言った。


「まあ、それは置いといて、まずはお疲れ様。ファングから話を聞いたけれど、ゴブリンのことや純也君の呪いの件で色々あったみたいだね」と朝霧が言った。


「そうですね、流石に疲れました。でも、確実に収穫はありました」と智也は言った。


「良かった。今は、疲労とかある?」朝霧が訊ねた。


「今は無いです。明日に備えて準備は万端ですよ」と智也は言った。


「......ついに、明日だね」


「はい......あと、爺ちゃんや昏のこと、よろしくお願いします」


智也は万が一のため、朝霧に祖父や二条家の者たちの護衛を頼んでいた。


「それは任せてくれ。もしあの男が狙って来ても、指一本触れさせないと誓おう」朝霧は言った。



「あと、これを渡しに来たんだ」朝霧はそう言うと布で包まれた金属製の何かを机の上に置いた。


朝霧が布をはがすと、刀身に奇妙な幾何学模様が刻まれた短剣が姿を現した。


「これが、智也くんに頼まれていた"記憶を取り出す"魔導具、これは刺した対象の記憶を複写し、溜められる。十数回刺せればおそらく全ての記憶を複写できる」と朝霧は言った。


「こんな凄い物、ありがとうございます」智也はその短剣を受け取った。


智也がその短剣を見つめる時、瞳の中に冷徹な色が見えた。


「智也くん、もしもの時は誰かを頼ってもいい。何かあったら、私を呼びなさい。すぐにでも駆けつけるから」と朝霧は言った。


「......はい」





──朝霧が帰宅して数時間後、今度は昏がやって来た。


「久しぶり、智也」昏はあまり浮かない様子だった。


「......どうかしたのか?」


昏は紗由理の行った招来の儀式について話そうか迷っていたが、伝えなければいけないと腹をくくった。

「実は......」





「それじゃあ、あの時僕たちを襲った蒼白の化け物は、紗由理さんが呼び出したってことか......?」智也は唖然とした表情を浮かべた。


昏はそれに頷いた。

「うん......本当に、ごめん」


智也としては、昏もそれで怪我をしているうえに、自分も一度殺されてかけている。故に、智也は紗由理に対して怒りが湧いていた。


「別に、昏が謝ることは無い............紗由理さんは、どうしてそのことを黙っていたんだ。蒼白の化け物については話したことがあるだろ」と智也は言った。


「私にも、よくはわからないんだけど、お姉ちゃんは招来の儀式をしようとした"動機"を話せない状態なの。だから、これ以上のことを聞きづらくて」と昏は言った。


(......仮に、その呪いが動機の核心を推察しただけで発動するなら、聞くのはリスクが高いか......)


「それでも、本人の口から聞きたい」智也は家を飛び出して紗由理のいる二条邸へ向かった。




 二条邸にて、昏と智也は紗由理と話した。


「あの時の会話を聞いていたのね、昏............二人とも、本当に、ごめんなさい」紗由理は暗い表情で謝罪した。


「どうして、言ってくれなかったんですか」智也は言った。


「......蒼白の眷属は、どうしても悪い存在には思えなかった。だから、何か裏があって動いているんじゃ無いかと思ったの。だからこそ、私が無闇に話すのは何か良く無いことが起きると思ったの。それこそタイムパラドックスのような何かが......」


紗由理は回想した。


 呪いをかけられた直後、異形の存在である蒼白の化け物が見せた"涙"を。


昏は大きな声で言った。

「......確かに、次元の神様の眷属なら未来や過去に干渉する力を持っていると思うし、お姉ちゃんが話すことで何か影響が起こるかもしれない。けど、言ってよ。一人で招来の儀式なんて危ないことして、呪いなんて掛けられて、そんなの怖いよ、心配だよ! 一人で抱え込まないで、家族なんだから!」



紗由理は苦虫を噛み潰すような、何か堪えるような表情をした。

「......ごめんね、心配かけて。これからは、昏にも相談させて」


 昏も智也も、紗由理がまだ何か隠しているようなことを感じ取った。しかし、それ以上は聞けなかった。


紗由理の泣きそうな表情を見てしまったから──



◇◇◆◆◇◇



 とある屋敷、グリフィン・ヒューラーは数人の同じ顔をした執事たちと廊下を歩いている。


その屋敷には不気味な生物を模したような絵画がいくつも飾られており、屋敷全体に微かに腐臭がしている。


グリフィンは懐から鍵を取り出した。その鍵の持ち手には眼の模様があり、黒目の部分に赤い宝石がついている。


そして、グリフィンが目のマークのある扉の鍵穴にその鍵を差し込んで開いた。


 扉の向こうは円卓のある暗い空間で、天井には赤い目のシンボルがある。深赤色の蝋燭の炎が壁や円卓の上で揺らめいている。


円卓の席には六人の男女が座っており、その中には【炎の目(フレイムアイ)】と呼ばれる女やグリフィンの兄が座っていた。


「遅いぞ、【魔の目(イビルアイ)】集合時間よりも13分37秒01遅刻だ」と仮面をつけた男が言った。


「あなたは毎度細かいですね。それに、私より遅い方もいるじゃないですか」とグリフィンは言った。


「......いや、お前が最後だ」と仮面をつけた男は言った。


「どう言うことですか......?」


グリフィンの質問に応えるように、一人の男が闇の中から現れた。

「それは、私から説明しよう」


そこに現れた男は、全身を黒い霧のような闇で覆われており、声もどこか加工されたようになっているため、背丈が185センチほどあると言うこと以外はわからない。


(いつの間に......)グリフィンは突然現れたことに驚いていた。


「おお、これは【闇の魔眼(ダーク・オクルス)】様、大幹部の貴方が我々の会議に参加しているとは......」グリフィンは驚きつつも礼儀良く言った。


「忙しいところすまないな、昨日深淵の神(オキュラス)様から神託が降ったのと、教祖様が緊急召集をすることにしたのだ......それで、お前が最後の理由はな、使徒の目が二名殺されたからだ」と男は言った。


 使徒の目とは深淵教団の幹部、十人のことであり、その一席は理由は不明だが常に空白である。

そして、その十人のうち二名が殺された。

使徒の目はそれぞれ魔術連の幹部並みの戦闘力を誇るため殺害されることなど異常事態だ。



「誰にやられたのですか?」とグリフィンは訊ねた。


「"青い狼の怪物"だ」



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