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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第4章 忘却の彼方
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青き呪狼

 ゴブリン達が狂ったように叫び、飢えた狂犬のような目つきで智也たちを睨む。瞬間、数体のゴブリンが跳びかかった。


ゴブリンは鋭い爪を智也に向かって振り下ろすが、それは空を切った。次の瞬間、そのゴブリンの首が落ちた。


周囲のゴブリンは恐れを知らない狂戦士の如く、仲間の死にも怯まず次々と襲いかかった。


 智也は純也をのフォローをしつつゴブリン達を倒し続けた。しかし数が多いためかキリがない。


(ゴブリンは繁殖力が高いってファングさんが言ってたけど......それにしても多すぎる)智也は怯まないゴブリンに対して苦戦を強いられていた。




 純也は不気味な気配のする一つの小屋の方へと走り、その扉を強引にこじ開けた。その瞬間、純也は何かに引っ張られて小屋の奥へと引きり込まれた。



 視界が真っ暗になったが、それは一瞬のことで、目の前には薄暗い部屋が広がっていた。

しかし、小屋の外観よりも部屋の中はかなり広く純也は奇妙に感じた。


突然、誰もいない空間にしわがれた声が響いた。

「人間、しかも妙な呪い持ちか......興味深いわい」


 その声が聞こえた途端、純也は壁に叩きつけられた。

「なんだ......!?」


その時、暗い物陰の中から一匹の老いたゴブリンが現れた。魔力量も、肉体も普通のゴブリンと大差ないと言うのに、そのゴブリンからは異質で不気味な気配を感じた。



「ふむ、お前はどうやら魔術師としてはそこそこ強いみたいだな。とは言え、あの化け物どもとはレベルが違う。しかし、お前についている呪いには興味があるぞ」とゴブリンはニヤニヤと笑いながら言った。


「お前は、何なんだ、他のゴブリンとは、何かが、違う」


「ほお、わかるもんなんだな。まあ、言うつもりは無いがな......ふむ、青い狼のような魔物......いや、これは眷属か? また奇怪なものだ......」とそのゴブリンは顎に手をつけて思考していた。


純也はその隙をついて『黒魔槍』を発動させ、ゴブリンに向かって放った。かなりの速度で放たれた槍はゴブリンの体を貫くように見えたが、突然軌道が逸れて当たることは無かった。


「ははは、その程度の魔術でワシを殺せるわけが無いじゃろ。さて、お前の呪いは孤立することによって発動するんじゃな。では、試してみるか」ゴブリンがそう言うと、純也の周りが突然真っ黒になった。


先程まで感じていた不気味な気配も何も感じず、純也はただ困惑するばかりだった。その時、純也の背後から青く光が現れ、それは狼の形を成した。




 青い陽炎かげろうのような魔力を纏い、その周囲の空間が荒ぶる波のように揺れ、その虹色の憎悪に満ちた眼光が純也を見下ろしている。


人間の背丈を優に超えた巨大な狼の怪物が目の前に顕現したのだ。その怪物からは体の芯を震わせるほどの恐ろしい憎悪の感情が伝わってきた。



 

 次の瞬間、純也は先程の空間に戻っていた。


「ほお、それが呪いの怪物。まさしく神に近しい存在と言ったところか、見れただけで満足だ。お前にもう用は無い。そいつはお前だけを狙うみたいだし、勝手に食われておれ」とゴブリンは言った。


青い呪狼じゅろうは純也に向かって突進し、その衝撃によって純也の体は鞠のように吹き飛んだ。


 一撃で純也の防御魔術が破られ、口から吐血した。


(ちくしょう、なんで俺はこんなに弱いんだ......もっと、力があれば......)

純也は叫んだ。どうせ死ぬならば、最後まで足掻いてやろうと叫んだ。


滅茶苦茶に『黒魔槍』を乱射して狼の怪物に向けて放った。しかし、それは全て怪物の体をすり抜けて傷一つつけることが出来なかった。


「ははははは! これは滑稽こっけいだな! はははははは!」とゴブリンは必死に足掻く純也を見て大笑いした。


 しかし、その大笑いも長くは続かなかった。


その空間内に一人の大男が侵入してきた。それはファング・オーガーであった。


ファングは流血する純也を見て即座に判断し、自身が入ってきた空間を繋ぐ魔術陣へ純也を投げ飛ばそうとした。


狼の怪物は当然それを阻止しようと攻撃を仕掛けるが、ファングはそれを華麗に避けて純也を魔術陣へ投げ飛ばすことに成功した。


魔術陣によって元の小屋へ戻った純也を追ってか狼の怪物も消えた。


「ははは、投げ飛ばしたところであの狼は消えないだろう、無意味なことを」とゴブリンが笑った。


「あいにくだが、あっちでは頼れる奴が待機している」とファングが言った。


「......前兆か......ワシはあれが大嫌いなんじゃ。お前を殺した後で確実に仕留めてやる」とゴブリンが苛立ったように言った。


ファングは顔色を変えず淡々と言った。

「ごたくはいいだろう。我々は共に狩る者と狩られる者、それ以上は必要のないことだ」


「そうか、なら始めるとするか、殺し合いをな」ゴブリンは不気味な笑みを浮かべた──



思いの外早く出せましたが、遅れて申し訳ない。

四章完結までどれくらいかかるかはわかりませんが、四月前には終わらせる予定ですのでよろしくおねがいします。

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