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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第4章 忘却の彼方
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ゴブリプス・アポカリプス

 ゴブリンの知能は通常、人より劣っている場合が多い。脳の構造自体は人間と同じだが、教育環境が整っていないため、教養が低くなるためだ。


しかし、ゴブリプスは違う。赤子の頃、ゴブリプスある魔術師に捕まり牢獄で捕えられていた。


魔術師はゴブリンの生態を調査していたようで、ゴブリプスは非人道的な扱いをされることもあった。


ゴブリプスはゴブリンの中でも類稀な頭脳を持って産まれていた。そして、その魔術師の話す言語を習得し、やがて魔術も理解した。


鉄格子の隙間から金色の眼を光らせて監視していた。脱走の機を伺っていたのか、はたまた復讐の機会を狙っていたのか?


どちらも違う。ゴブリプスはただ未知への好奇心に心を躍らせていたのだ。本来ならば知り得ない知識をスポンジのように吸収し続けたのだ。


 やがて、ゴブリプスは魔術で牢獄から脱走した。自身を縛る知識の檻から自らを解き放ったのだ。


そして、ゴブリプスは脱走後魔術師を殺害、その後魔術師の家にあった資料を読み漁り、習得した偽装の魔術で殺害した人間の家で暮らす生活をしながら様々な知識を身につけた。


それにより人間の科学技術を身につけた。そしてある日、ゴブリプスは同胞と遭うことを決意した。


 魔術師に捕まる前の微かな記憶を頼りに森へと出向き、ゴブリン達と接触することにした。

しかし、彼の見たものは落胆に値する者だった。


人間よりも遥かに劣った技術力に武器は石器、見すぼらしい服装、ゴブリプスは同胞に対して軽蔑した。『なんて低俗な生物なんだ』と。


 ゴブリプスは偽装の魔術で自身を人間のように誤認させてゴブリンを狩った。低俗な同胞を狩ることにゴブリプスは快楽を覚えた。


やがて森の半数のゴブリンを殺し、ある時ふとゴブリプスは思った。

『自分が、この矮小な種族を導いてやるべきなのではないか』容易く狩れるこんな生物を自分が反映させてやろうと言うあまりにも傲慢な考えで彼は一匹のゴブリンとしてゴブリン達の前に姿を現した。


彼はその知能をゴブリン達の繁栄のために使い、ゴブリン達は繁栄した。生活が急速に豊かになり、個体数も増えた。


 ある日、森に人間がやって来た。ゴブリプスは人間、特にその中にいた魔術師を警戒した。そして、ゴブリン達に人間の狩り方を教えた。



自分たちは石器しか使わず、ボロ布を纏う程度の技術力しか持たないという風に思わせ、自分たちは人間よりも思っていると思わせる。


その慢心につけ込み、奇襲をする。これによってゴブリン達は人間すらも狩りの対象となった。


そして自分たちの集落に連れて来させ、奇襲を成功させた上でゴブリンの技術力を見せつけて悔しそうな、絶望する表情を鑑賞する。これが全てのゴブリン達の娯楽になった。



 現在、智也たちが森にやって来たのを手下のゴブリンから聞いたゴブリプスは自身の元まで人間たちを連れて来させ、そこで奇襲を仕掛けた後にネタバラシをするつもりだった。


しかし、手下たちが連れて来た者たちは並の魔術師とは違った。魔物狩りのスペシャリストに魔力量が尋常では無い"前兆"と思わしき人間、もう一人も何やら危険そうな気配がする。


常に奇襲を警戒されており、今襲ったところで返り討ちに遭うだろう。だからこそ、ゴブリプスは友好的な態度をとるフリをした。しかし、耳につけていたプラスチック製の耳飾りは自らがつくったゴブリンは科学的に劣っているという認識と矛盾してしまう。


故にそれを智也に指摘されたゴブリプスは真正面から殺す以外に手段は無いと判断した──





 戦闘開始と共に、ゴブリプスはマグナムを純也に向けて放った。その銃弾は実弾では無く魔力によって作られた青い魔弾であり、それは防御魔術を貫通する。


純也は即座に銃弾に向けて黒い槍を放ち、その魔弾を相殺そうさいした。その勢いのまま黒い槍はゴブリプスに向けて放たれた。


ゴブリプスは手に魔術陣を展開し、黒い槍の軌道を横に逸らした。

「さあ、やれ!」ゴブリプスが合図すると周囲を取り囲むゴブリン達が智也達に向けて接近した。


 ゴブリン達は猟奇的な目をしており、目の前にいる獲物を殺したい衝動で動いていた。



 一応は話が通じる相手に対して智也は少し躊躇いがあったが、もうすでに躊躇っている暇はない。智也は『流刃』を発動し、襲いかかるゴブリンたちの首を切り落とした。


それと同時にファングもまた亜空間から取り出した剣でゴブリン達を斬り殺した。


 斬られたゴブリン達は死んだことにも気づかない間に死亡し、魔物と同様に霧散した。


 三人は背中を向け合って警戒態勢をとった。


「あいつ、銃なんか使いやがって、元から騙そうって魂胆こんたんだったわけだな!」と純也が怒りながら言った。


「魔弾を照射する銃......奴は科学技術と魔術を融合させた武器を所持している。油断はするなよ」とファングが言った。


 智也は周囲のゴブリン達の【眼】を見てみたが、魔術を使えるものは数人程度だった。ゴブリンたちは金属の刃物を持つものもおり、中には中世の鎧のようなものを身につける者もいた。


ゴブリプスの姿は消えており、どこかへ逃げられたようだ。


「ゴブリプスというゴブリンがいなくなっています! 早く追わないと!」と智也が言った。


「なら、私が行く。智也は純也と共にここでゴブリン達を倒してくれ」とファングが言った。


「はい!」


 ファングは周囲の気配を探ってゴブリプスの居場所を感じ取った。

(森の奥へ逃げている......)ファングは前方のゴブリンを斬り伏せ、急いでその後を追った。



 周囲に残っているゴブリン達はこの状況に恐れを成して逃げようとした。


しかし、突如として逃走するのを辞めて向き直ると、獰猛どうもうな叫び声をあげて再び智也たちの方へ襲いかかった。


(なんだ、これ、突然凶暴化した......?)智也たちはこれを疑問に思った。


 智也と純也は迫り来るゴブリンたちを次々と倒していき、十数体ほど倒すと突然ゴブリン達は後退した。


そして二体の全身に鎧を着たゴブリンが前に出た。


「ワレラ、ゴブリンナイト。イザ、マイラン」


二体のゴブリンナイトが剣を振り下ろした。二人はそれを避けて智也は『流刃』、純也は『黒魔槍』を放った。


ゴブリンナイト達はその攻撃を防ぎ、魔力を込めた剣で攻撃した。


(この二体、周りのゴブリンと違って技がある。肉弾戦が苦手な僕には相性が悪いな)と智也は考えた。


「黒魔槍」と純也は唱え、背後から複数の黒い槍が放たれた。ゴブリンナイトは盾でそれを防ごうとしたが、槍はゴブリンに直撃することは無かった。


黒い槍はゴブリンナイトの周りを囲うように地面に突き刺さった。


 ゴブリンの腕力ならばこの黒い槍を破壊することも出来るが、それには少し時間がかかる。故に、黒い槍に阻まれて身動きの取りづらくなったゴブリンナイトは一本、放たれずに残っていた黒い槍によって頭を貫かれて絶命した。


片方がやられたゴブリンナイトは悲しむことはせず、ただ笑った。そしてナイトは剣で智也を攻撃し、智也はそれを『流盾』で防いだ。


その瞬間、剣が折れゴブリンナイトは驚愕した。

次の瞬間、ゴブリンナイトは智也の放った至近距離の『不可視の衝撃』によって即死した。



◇◆◇◆◇◆◇



 その頃、ファングは逃げたゴブリプスに追いつき、一撃でほおむった。


......はずだった。そのゴブリンはゴブリプスでは無かった。殺す寸前まではつけていたはずの装飾品は一つも無く、ただのゴブリンの死体となり、やがて霧散した。


「偽物......まさか、奴は......!」ファングは慌てた様子で村の方へと戻った。


◇◇◆◆◇◇


 ファングが村の方へ戻っている頃、銃声がした。

放たれた不可視の魔弾は智也の頭を貫いた──


   




        次回、智也死す!

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