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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第4章 忘却の彼方
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狩人

 次の日の昼、智也は『空風』の習得を終えた。


「流石だよ。たった二日で高等魔術を覚えるなんて」と朝霧がほめた。


「朝霧さんが師匠だったからこそですよ」


朝霧は少し照れた。

「......褒めても何も出ないよ............まあ飴ちゃんくらいはあげよう」


(なんか出たよ......?)


「さて、ここからは真面目な話をしよう」と朝霧は改まって告げた。


「はい」


「智也くんの『空風』の習得が完了したから、君にはこれから魔物狩猟の達人、ファング・オーガーと会ってもらう」


「ファング......それって、魔術連の幹部の人ですよね!? あの顔に傷のある人!」智也は驚いた様子で言った。


「よく覚えていたね。その通りだよ......グリフィンという男は複数もの魔物を操る魔術を持つ。故に魔物と対峙する上での技術とかを学んで来てくれ。残り五日でグリフィンと対峙する以上はそれが有効のはずだ」と朝霧は言った。


「わかりました。それで、ファングさんとはどこで会えばいいんですか?」


「ファングとは北欧にある森で会う予定だよ。とりあえず私がゲートを繋げるから、智也くんは準備して来て」


「了解です」


 

 そして一時間後、準備を終えた智也は朝霧のつくったゲートで北欧フィンランドの森へと向かった──



 ゲートの先には二人の人物がいた。


 一人は魔術連幹部ファング・オーガー。目の当たりに鋭い爪でつけられたような傷があり、体格は宇佐寺なみで百九十以上はある。髪は金色、目は灰色でトレンチコートを着ている。


 そしてもう一人は顔立ちからして日本人で、髪と目は黒色、身長は百七十ほどでファングと並ぶと小さく見える。そして智也はどこか既視感があった。


「やあ、ファング、久しぶり」と朝霧が話しかける。


「お久しぶりです。朝霧殿あさぎりどの」とファングが渋い声で話した。


「今日から三日間、智也くんに魔物の討伐方法を教えてあげてくれ」


「承知しております」とファングが言う。


「初めまして。僕は彩島 智也と言います。これからお世話になります」と智也はお辞儀をした。


「ファング・オーガーだ。私はあまり教えるのが得意では無いのでな、見て覚えてくれ。わからない時は横にいる一番弟子の遠崎に聞け」


「久しぶりだな智也。前の模擬戦以来か......」と遠崎は言った。


(久しぶり......? 確かにどこかで会った覚えはあるけど......わからない、どうしよう......!?)智也は必死に頭をフル回転させて思い出そうとした。


「ああ、あの模擬戦以来だね。久しぶり遠崎くん」と智也は返した。


「おう、純也って呼んでいいぜ」と遠崎は言った。


「わかったよ。純也」


 智也はこの瞬間思い出した。

(そうだ、遠崎 純也! 『不可視の衝撃』を覚えたての頃に一度模擬戦した人だ! あの時以来、色々あってすっかり忘れてた......)


「じゃあ、私はここで帰るね」と言って朝霧はまだ開いているゲートへととんぼ返りした。


「え、朝霧さん一緒に来ないんですか!」と智也と純也が同時に言った。


「ああ、ごめん言ってなかったか。まあ、ファングがいるから大丈夫だよ。じゃあ後はよろしくねファング」朝霧は言った。


「はい。朝霧殿もご武運を」


 朝霧は手を振った後、ゲートをくぐり探偵事務所へ戻る。その表情は何やら決意に満ちていた──




「では、早速魔物狩りへ向かう。しかしその前に智也、お前に問題だ」とファングが言った。


智也は顔を引き締めてそれを聞いた。


ファングは智也の方を見て言った。

狩猟しゅりょうとはなんだ?」


智也はその問題を少し考えた後、言った。

「糧にするために動物を殺めることですか?」


「通常の狩猟ならそう言えるな。ならば、魔物狩りとはなんだ?」ファングは言った。


 魔物は死ねば霧散し骨も血肉も残らない。故に糧にすることは出来ない。ならば魔物狩りとはなんなのかと智也は考えた。


「.......人を守るため、でしょうか? 人里に降りてきた熊や猪を殺めるのも人に危害を与えないようにするのが一番大きな理由だと思うので......」と智也は答えた。


「...... 違う。魔物狩りとは"弔い"。力を振るうことでしか快感を得られない哀れな怪物を弔うことだ」ファングは言った。


「弔い......」智也は呟いた。


その時、目の前の森が突然、ざわめいた。


何か巨大なものが一歩、また一歩と迫ってくるように地響きが周囲に轟いた。


 そして、その怪物は姿を現した。

それはファングよりも四倍は大きい熊だった。顔の半分が黒い粘液に覆われ、獲物を見つけて喜んでいるのか笑みを浮かべているようだ。


「魔物......!」智也は驚いた。


 巨大な熊は咆哮ほうこうをあげ、八十センチほどの大きさの岩のような爪で襲いかかった。その威力は地面を一メートル抉るほどだった。


智也たちは一斉に散り散りになって回避し、智也は『不可視の衝撃』で魔物を撃ち抜こうとした。しかし、それよりも早くファングは魔物の至近距離に接近していた。


 ファングは熊の魔物の巨大を駆け上り、頭のてっぺんまで一瞬にして辿り着いた。そして、彼の手のひらに水色の魔術陣ができ、そこから瞬時に大剣を取り出して魔物の頭に突き刺した。


 魔物は痛みに悶絶する間もなく刹那の間に死に、塵と化した。


「魔物狩りとは弔い、苦しみも、憎しみも無く、一撃で仕留める。これが私の流儀だ」


 霧散する魔物を背に、ファングは智也に告げた──


最近風邪をひいてしまいました...熱あるとやっぱり辛いですね。あと咳しすぎて腹筋が割れるかも(割と痛い)皆さんも体調気をつけてください。

次回は年末を予定しています。

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