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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第4章 忘却の彼方
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魔物になった男


「まさか、ミスティファどのがあんな簡単に敗北するとは......流石は前兆、素晴らしい!」グリフィンは余裕の笑みで拍手をした。


「随分と余裕そうだな。もし僕が『蒼星の雫』を使えば、お前を殺すのは簡単だぞ」智也は脅すように言った。


「いいえ、貴方はその魔術を使いません。先程までの冷静でない貴方ならば使っていたでしょうが、今は違う。ここで貴方がその魔術を使えばこの周辺が蒼い閃光と共に吹き飛ぶでしょう。そんなことになれば魔術の存在が知られかねない」グリフィンは言った。


「.......冷静か......僕が、冷静に見えているのか?」


「ええ」


「なら、それは大間違いだ。さっさとお前を殺して、爺ちゃんを治療しなきゃならないからな!」


「なるほど。それは素晴らしい家族愛ですね。復讐という強い思いに駆られた貴方が、どのような魔物になるのか、私は興味しかありませんよ!」グリフィンは笑った。



 突如として青トカゲが動き出し、巨大な前脚を使って攻撃する。図体に見合わない俊敏な動きに智也も回避に専念した。


突然、連続攻撃を行なっていた青トカゲの動きが止まり、口から大きく息を吸った。


(何か来る......!)智也は身構えた。


その瞬間、青トカゲの口から青い霧状のガスが放たれた。


(......これはガスか......? なら息を吸っちゃダメだ)


するとカチン、カチン、と言う音の後に青いガスが炎のブレスとなって智也に襲いかかった。


(防御魔術でも、熱は防げない......!)智也はたまらず上へと飛び上がって逃げた。


 ちょうどそのタイミングで息が続かなくなったのか、青トカゲは炎のブレスを吐かなくなった。


(今のカチンという音、あれはきっとあのトカゲが歯を火打石みたいに使って火花をたてた音だ。だとすると、あのガス自体に可燃性があるのか)


 再び青トカゲは大きく息を吸った。


(またブレス攻撃か.......だったら、逆に利用させてもらおう)


青トカゲがブレスを吐く準備をするなか、智也はトカゲの周囲を縦横無尽に動き回った。


(......何の意味が......?)グリフィンはその行動を不思議に思っていた。


 青トカゲがガスを放ち始めるのと同時に、智也は手にある魔力糸の束を思い切り引っ張った。


すると青トカゲの口に複数本の魔力糸が巻きつき、かなりの速度を保ったままトカゲの口が閉じた。


 一瞬のことだったため、ガスの噴出を止められなかった青トカゲの口が閉じた瞬間、口内で火花が発生し、口を閉じた状態の青トカゲの口内でガスが爆発を起こした。


火炎に耐性のある青トカゲの構内でも内部爆発には耐えられなかったようで、青トカゲはそのまま絶命して霧散した。


「あ、青トカゲくんが......! 私の大切な青トカゲくんが......だが、美しい。消える刹那の瞬間が最も美しい! 素晴らしい!」グリフィンは感動で涙を流した。


「いちいち、うるさいな。もうお前を守る魔物はいないぞ」


 智也は青トカゲが消滅した直後にグリフィンに向かって『不可視の衝撃』を放った。その威力は大岩に穴を開けるほどであり、殺意のこもった一撃だった。


 そして、その一撃は的確にグリフィンの心臓を貫いた──



「ほお、まさか、私の心臓を貫くとは......素晴らしいですよ!」グリフィンは笑った。


「どうして、笑えるんだ?」智也には死ぬ寸前に笑う男が理解できなかった。


「......オキュラス様は、信奉者の願いを叶えてくださる......私は魔物になりたかった。しかし、魔物になってしまえばこの感情を忘れてしまう。高揚を、感動を、感じられ無くなってしまう。だからこそ、私は願った。"思考を保持した状態で魔物になる"ことを──」


「......まさか!」


 男の肉体が変化していった。骨や肉が変形しているのか気味の悪い音があたりに響き渡る。


「これが、私の真の姿。魔物化とは願望によって姿が変わるもの。少し恥ずかしので、見たものは全員殺すのですが......貴方は魔物化させるまできちんと生かしておきますよ」


グリフィンの背中から、無数の触手が生え、その触手の先端部は手の形をしている。足には複数本の触手が生えてまるでクラゲのようで、顔は単眼の怪物のようだった。


「ああ、私は今、解放されている! 素晴らしい!」


 グリフィンは空中に浮かんた。


「......それが、お前の成りたかった姿なのか?」


「ええ、そうですとも。素晴らしいでしょう?」


「その姿の良さは、僕にはわからないな。でも、その姿の方がやりやすい」智也は依然として殺意を下げることはなかった。


すると突如としてグリフィンが動きを止めた。


「......ああ、我が神よ、そんな............残念ながら今回はここまでのようですね。非常に残念ですが私はこれで失礼いたします」


「逃がすわけが無いだろう!」智也はグリフィンに向かって飛び上がり、空を駆け上った。


「くははは、再び貴方に会いに行きます。その時まで、さようなら」グリフィンは笑っているような声で言った。


智也がグリフィンの体を掴む直前、突如としてグリフィンの体は消失し夜闇に溶け込んだ。


 智也は無言で地面に着地し、空を見上げたが、やはり仇敵はそこにいなかった。


「......くそ!」智也は行き場のない怒りを地面にぶつけた。


 どうやら【炎の目】という女もいなくなっており、深淵教団に関する痕跡は途絶えていた。



 智也は急いで黒戸神社に向かい、境内へ入った──



今日はもう一度出します。

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