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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第4章 忘却の彼方
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素晴らしい贈り物

 第三の厄災の元凶が深淵の神オキュラスだと聞かされた智也は驚愕した。


「それってつまり、深淵教団を倒せれば第三の厄災は回避できるってことですか!」

智也は興奮して尋ねた。


「......おっと、答える質問は一つまでですよ。そろそろあちら側の会議も終わったようなので貴方達を元の世界へ返しますね」リディアロスがそう言うと、智也は音の神の世界から強制的に外に出された。


元の場所に帰される寸前、音の神は智也に告げた。


「......貴方も憐れですね」



◇◇◆◆◇◇


 気がつくと、智也は元いた魔術連の地下に戻っていた。そしてそばには朝霧がいた。


「智也くん、音の神と話をした?」朝霧は尋ねた。


「はい......それで、深淵の神について尋ねたんですけど、音の神は第三の厄災の元凶はオキュラスだと言っていました。もしかしたら深淵の神の召喚が第三の厄災の原因になるのかもしれません」と智也は朝霧に言った。


「あの神がそんなことを......あの神は嘘はつかないはずだから実際そうなんだろうが......」朝霧は悩んでいる様子だった。


「朝霧さん達にもオキュラスが元凶となるという情報を音の神は話していなかったんですか?」と智也は尋ねた。


「ああ、そこなんだよ。あの神は正直なところ何を考えているのかわからない。元凶が深淵の神と語ったのもこれが初めてだ......かなり怪しい。何か言葉に裏がありそうだ」朝霧は音の神を訝しんでいた。


「なら、深淵の神やそのカルトを警戒しつつ別の元凶となる神を探せばいいってことですね」


「......まあ、そうだね。でも、現状一番危険なのは深淵教団で間違いないだろうし、要警戒だ。じゃあ、今日のところは仕事は終わりだ。と言うことで、明日あたりに事務所へ来てくれ」朝霧は言った。


「了解です。それじゃあ失礼します」


「おつかれ」朝霧が言い、智也はゲートで家へと帰った──



◇◇◆◆◇◇


 あれから十日ほど経ち、智也の高校も夏休みに入った頃。もう夕暮れ時のことだった。突然電話がかかって来た。それは流楽るらからだった。


「もしもし?」と智也が電話に出た。


すると焦った様子で流楽が言った。

「おじいちゃんが、突然倒れちゃって、血が......! どうしよう! 救急車は呼んだんだけど......どうすれば.....!」


「え、爺ちゃんが.....落ち着いてください。すぐに行きますから!」


智也は急いで家を出た。すると、扉の前にニッコリと笑った一人の配達員が立っていた


「お届け物です!」


「すいませんが、今急いでいるんです! どいてください!」


「お届け物です!!」


「そこに置いておいてください」


「お届け物です!!!」


配達員は同じ言葉を繰り返した。まるで同じことしか言えないおもちゃのようだった。その貼り付けられたような笑顔を不気味に感じた。


「お届け物です!!!!」


智也は配達員の【眼】を見ようとした。しかし、その配達員に【眼】は無かった。


「お届け物です!!!!!」


 智也はこの配達員を無視して行こうとした。


しかし、その時突然、首に何かが巻きついて智也の歩みを止めた。


「お届け物です!!!!!!」


智也は首に巻きついているものを取ろうとあがいた。その間も配達員は顔色ひとつ変えずにただ笑ってこちらを見ている。


「お届け物です!!!!!!!」


智也は腕に蒼い魔力を纏わせて首に巻きついているものを強引に引きちぎり、そのまま配達員の男を殴った。


 配達員の男が「お届け完了!」と言った直後に男の首が百八十度回転して死んだ。それは何か見えない力によって強引に首を捻じ曲げられたように見えた。


 配達員がばたりと地面に倒れると、その死体は蒸気のようになって消えた。そして、そこには一つのエンブレムが残されていた。


そのエンブレムは【眼】と同じ模様をしており、黒目にあたる部分には真っ赤な宝石がめられていた。



 するとダンボールが一人でに開き、中の物が見えてしまった。その中には大人二人分の頭蓋骨と見たことの無い機械が入っていた。


 するとその機械が起動して、智也の頭の中に直接、言葉が伝えられた。

「初めまして。我々は深淵教団と申します。本日、貴方に送らせていただいたのは貴方の"ご両親"でございます。素晴らしい感動の再会で胸が痛いところですが、これより我々は貴方の命を頂戴いたしますので人の少ないところへ行くべきでござまいますよ」



「......は?」三年前から行方不明になっていた両親が突然、その頭蓋骨だけが送られ、さらに自分自身の命を狙われているこの状況に智也は理解が追いつかなかった。


しかし、そうこう考えている暇は無かった。突然智也の体は中を浮いた。まるで何かに巻きつかれて、持ち上げられているようだった。


「......配達員がやっていたわけでは無かったのか!」


 防御魔術を発動したがすでに密着されているため遅く、振り払うことは出来なかった。


智也は全身の魔力を蒼く輝かせて巻きついている透明な何かを破壊して急いで家の外へ出た。


(......どうする、紗由理さんに助けを求めるか? でも、もし本当に二人が殺されているなら、こいらはヤバい。だめだ、危険な目には合わせられない!)


智也は昏の家から逆方向へ逃げた。


 透明な何かは走る智也の背を追っているようで、不気味な気配を感じた。


(爺ちゃんは無事なのか? でもこいつを爺ちゃんの元に連れていく訳にもいかない......とにかく、人のいない方へ......そうだ、あの廃教会に行こう!)


智也はかつて蒼白の化け物に破壊された廃教会へと向かった。


 すると流楽から再び電話がかかってきた。智也は急いで電話に出た。


「流楽さん!」


「智也くん、お爺ちゃんが少し意識を取り戻したよ! でも、このままだと......」流楽が話していた時、智也の祖父は言った。


「智也、すまない、わしの力が及ばないばっかりに、お前の両親は......」智也の祖父がそう言いかけた時、彼は大きく咳き込んだ。


「お爺ちゃん!」流楽が心配そうに叫んだ。


(......爺ちゃん、二人の失踪について何か知っているのか?)


智也は電話越しに流楽へ言った。

「今、いろいろあって流楽さんの元へ行くことが出来ません。だから、爺ちゃんを頼みます」


「わ、わかったよ。でも、何があっ......」通話中であったが、透明な何かが飛ばしてきた攻撃によって智也のスマホが壊されてしまった。


(こうなったら、こいつを倒すしか無い!)

 そして走ること五分、ついに智也は目的の廃教会跡地へと辿り着いた。


「さあ、やっと着いたぞ」智也が背後を振り返ると透明な浮遊する何かが近づいていた。


(姿は見えないけど、魔力を広げて感知すればいいだけだ)

智也は魔力を広げて周囲を察知した。そして透明な何かが浮遊する触手の塊のようなものであるとわかった。


「こんな奴に巻き付かれてたのかよ......悪いけど、急いでいるんだ」


 透明な化け物は不可視の触手を伸ばして攻撃してきた。その触手は魔力を纏っていて、まるで槍のようだった。


身体強化と魔力感知を使って智也は触手の軌道を読み、回避した。しかし、触手は直進するだけでは無く、曲がった軌道を描いてホーミングのように攻撃をしてきた。


流刃りゅうじん!」

智也は魔力の斬撃で根元近くの触手を切り裂き、切り離された触手は消滅した。


 そして続けさまに智也は「流刃」を放とうとしたが、突如として化け物の体からヒトデの胃袋のようなものが射出された。


智也はそれが体に触れる寸前に「流刃」をやめて「不可視の衝撃」の術式を発動させた。放たれた不可視の魔力による攻撃は柔軟なその化け物には効果が薄かったが、化け物は吹き飛ばされた。


 吹き飛ばされる魔物を囲うように智也は「魔力糸」を張り、吹き飛ばされる化け物は張られていた魔力糸の網によって切り刻まれた。


 地面に落ちた透明な化け物の残骸は消滅し、不気味な気配も完全に消えて智也は一息ついた。


「ふう......」


 しかし、気を緩めるわけにはいかない。


 自分が狙われている以上は今、祖父の元へ向かうのは危険であるし、現状はこの人のいない場所に留まっているのがベストなので智也は辺りを警戒しつつ立っていた。



「あの程度では歯が立ちませんか......実に素晴らしい!」拍手と共にうるさい声が聞こえた。


「......深淵教団の奴か?」智也は静かな怒りを感じさせる声で尋ねた。


「いかにも! わたくしは深淵教団大司教の一人【魔の目(イビルアイ)】グリフィン! 私の名を聞いたものは貴方で444人目です! ああ、ゾロ目! 素晴らしい!」


 グリフィンは目の焦点があっておらず、体には一目見るだけでも複数の引っ掻き傷や焼けただれた痕があり、髪と目は灰色だった。


「答えろ、僕の両親は本当に死んだのか?」智也はあの頭蓋骨がフェイクであると言う淡い期待にかけて言った。


「え? ああ、あの贈り物のことですね! まさしくあれは本物! 正真正銘、貴方のご両親のものです! ああ、感動の再会を果たさせてしまった私、素晴らしい!」


 その言葉を聞いた智也はもう一つ尋ねた。

「......だったら、僕の両親を殺したのは、お前か?」


「はい。そうです! 私が、やりました!」グリフィンは誇らしげに語った。


 その瞬間、切れかけていた智也の何かが切れた。人間と化け物の境が曖昧になりつつあった智也に、この人間の姿をした化け物は決定的な衝撃を与えてしまったのだ。


「殺す」

 普段の彼とはまるで違う、殺意に満ち溢れたその言葉は常人ならば震えてしまうだろう。しかし、目の前にいるのはそんなもの、もろともしない狂人だ。


「ほう! 私を殺すと! やってみてください! 出来たならば、貴方は素晴らしい存在になれますとも!」グリフィンは不気味に笑っていた──


次回は明日の十二時です。


投稿から時間が空いているので設定を書いておきます。


・流楽

智也のいとこで今は黒戸神社に住んでいる。また智慧の魔女が中に入っているが、智也が赫い宝玉を持っている間は流楽の体を乗っ取らない。


・智也の祖父

黒戸神社の神主で時空門伝説について知っている。智也の両親の失踪から一年ほど智也と一緒に過ごしているため仲が良い。

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