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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第3章 狂気の月と蒼い星
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月の意思1

[亜様村]


 智也は宇佐寺の止血を済ませ、治癒の魔導具を起動させた。宇佐寺は腹を貫かれたが、かろうじて治療できる範囲だったため一命は取り留めただろうとわかった。


(朝霧さんがこの魔導具を渡してくれていて良かった......)智也は安堵した。


しかし、ゲートなどで宇佐寺を逃がそうにも、発動するのに数分はかかる。その間に智也たちは殺されるだろう。


 つまり、ここで智也が負ければウィンダーによって宇佐寺も死ぬことになるのだ。


 宇佐寺が弱った声で言った。

「ウィンダーの体には核があったが、それは結界で守られて壊すことは出来ない。それこそ朝霧さんでもいなきゃ無理だ。お前だけでも逃げろ」


「...... 逃げませんよ。あの時、宇佐寺さんは僕を助けてくれた。だから今度は、僕が助ける番です」智也はそう言うと立ち上がった。


宇佐寺は言った。

「こんな年寄りのことはもういい......頼む、早く逃げろ......」


智也はウィンダーの方を振り向き、言った。

「......僕はやると決めたら曲げません。だから、あとは任せてください」



 宇佐寺は智也の背中が少し前よりも大きくなったように感じた。


「......ウィンダーの鳩尾に白い結晶がある。それがやつの核だ。任せたぞ、智也」


「はい!」

智也はウィンダーと対峙する覚悟を決めた。


 すでに【眼】は閉じていた。




「不可視の衝撃!!」智也はウィンダーに向けて魔術を放った。それに対し、ウィンダーは結晶の盾をつくり防いだ。



(威力はあの老人よりも高いな。ただ、ボクの"カケラ"を壊せるほどではない)とウィンダーは思った。



 智也はウィンダーの近くへ一瞬で近づくとウィンダーの腹目掛けて蒼い魔力を込めた拳で殴った。


 ウィンダーは結晶の盾でそれを防御したが、智也の放つ一撃は盾を容易く粉砕し、ウィンダーの鳩尾に当たった。


 そよ衝撃がウィンダーの核に伝わったが、結界によって傷一つつかなかった。


(動きは早いけど、ボクにダメージを与えるほどの攻撃は出来ないみたいだ......とは言え、この少年はまだ何かを隠しているかもしれない。油断せず、全力で殺す)


 突然、ウィンダーの体全体を白い結晶が覆った。それはまるで結晶の鎧のようだった。


 智也はそれに臆さず再びウィンダーを殴りに行った。蒼い魔力がウィンダーの鎧と衝突し火花のように散った。


しかし、ウィンダーの鎧の硬さは先ほどの結晶の盾を遥かに越えていた。


 智也とウィンダーはお互い距離を取った。


(なんだ、あの硬さ......今までの結晶とはレベルが違う。今までは全力じゃ無かったのか?)智也は思った。



(結晶の鎧にヒビを入れるとは、さっきの攻撃よりも威力があったように感じるし、早めに決着をつけた方がいいな)ウィンダーは鎧のヒビを修復しつつそう思った。


 

 ウィンダーの腕から鋭いダガーのような結晶が生え、そしてウィンダーは唱えた。


「流刃」ウィンダーのダガーを白色の魔力が覆った。


「どうして流刃が使えるんだ!」智也は驚き言った。


「そこの老人の魔術を見てたら出来るようになった」とウィンダーは言った。



 ウィンダーがダガーを横に一振りした。


(そこは射程範囲外のはず......)と智也は思った。


 その瞬間、白い魔力の斬撃が智也に向かって飛んだ。


智也は咄嗟に『流盾』を発動しその攻撃を受け流した。


(この斬撃、ダイヤモンドカッターみたいに細かい結晶の粒子を纏っていて切れ味が格段に上がっている......!)


 ウィンダーは畳み掛けるようにそのダガーを振るい、智也は度重なる攻撃に遂には自ら『流盾』を解き、回避をした。


 智也は斬撃を避けながら宇佐寺に当たらない方向へと走った。その間、智也の周りの木々は大根でも切るかのように切断されていった。


 その時、斬撃が智也の頬を掠め、僅かに血が流れた。


(防御魔術を貫通した......?)智也の全身に悪寒が走った。


 


(このままだと体力が持たない。ウィンダーの懐に飛び込むしか無い!)智也は斬撃の嵐を掻い潜り、ウィンダーの懐へ迫った。


 智也はウィンダーの鳩尾に手を伸ばし、蒼い魔力で打撃を加えた。鎧にヒビの入ったその部分に智也はゼロ距離で『不可視の衝撃』を放った。


 ウィンダーの鳩尾の鎧が破壊され、核が露出した。


「流刃!!」智也はウィンダーの核に向かって右手を振り下ろした。桜色の魔力の斬撃が核に命中し、結界に僅かなヒビが入った。


 その結界は本来なら魔法による攻撃で無ければ傷一つつかないものだが、宇佐寺と智也の攻撃をくらい続けたことで僅かに傷をつけた。

 


(いける!)智也は思った。


 しかし、次の瞬間ウィンダーの足元から大きな結晶が現れ、智也は吹き飛ばされた。


(もう少し......)智也は地面に着地し悔しさをあらわにした。




 智也とウィンダーの攻防の最中、"月の意思"がウィンダーに語りかけた。


(ウィンダー、私の愛しい子、さあ、もっと力を授けよう。そいつらを殺せ)──


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