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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第3章 狂気の月と蒼い星
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月の石2

 三日前の深夜、宇佐寺と朝霧は智也が帰った後に話をしていた。


 朝霧が宇佐寺に言った。

隆盛りゅうせい、肩の怪我どうした?」


「......ほんと、よく気づきますね」と宇佐寺は言った。


「そんなことはどうでも良い。どうしたんだと聞いている」と朝霧が言った。


「......昼の時に俺がちとやらかしたんですよ」と宇佐寺は言った。


「うまく怪我を隠しているようだが、お前の魔法は変身したとしても"受けた傷は残る"だろ」と朝霧は怒って言った。


「わかってますよ、だけど大した怪我じゃ無いですし、終わった後でチェテンさんの所に行きますから」と宇佐寺は言った。


「......いや、今すぐ行くぞ。明日何かあった時に困るからな」と朝霧は言った。


 

 ちなみにチェテンとは回復魔術のスペシャリストであり、チベット在住の有名な魔術師だ。


 朝霧は宇佐寺を強引に引っ張ってチベットへ向かった──


◇◇◆◆◇◇


 そして現在、宇佐寺はウィンダーに頭を掴まれた。このままでは頭を削り取られて即死するだろう。


ウィンダーが『イクリプス』を発動したその時、突然宇佐寺が消えた。


 ウィンダーはすぐさま足元を見た。一瞬、股下を"兎"が駆け抜けたのが見えた。


(そう言うことか)とウィンダーは確信した。


 宇佐寺はイクリプス発動の直前に兎に変身してそれを避け、ウィンダーの股下を抜けて窮地を脱したのだ。


 宇佐寺は変身を解いた。


(ほんと、こいつの動きは読めなくて嫌になるぜ......)と宇佐寺は心の中で呟いた。



「君はちょこまかと動くのが上手いね。でも、村の方で予想外のことが起きたみたいだから、もう終わりにするよ」ウィンダーはそう告げると体を白い砂粒に変えた。


 細かな砂粒になったウィンダーの姿を目で捉えらるのは困難だ。


(体を砂粒に変えられるのか......地下室の中に突然現れたりしたのはそう言うことか)と宇佐寺は思った。


 宇佐寺は魔力を周囲に広げて奇襲を警戒した。


(どこから来る?)宇佐寺は日本刀を構えてウィンダーが現れるのを待った。



 その時、空から白い光の矢が飛来して来た。


「白のホワイト・アロー


 ウィンダーは空中から『白の矢』を放った。その威力はこの周辺を結晶で覆い尽くすほどだ。


「おいおい、冗談じゃねえよ......」宇佐寺は強力な魔力の塊が迫り来ることに冷や汗をかいた。



魔力の矢が地上まで迫り、宇佐寺は日本刀のつかを握る力を強めた。


流刃りゅうじん黄落こうらく」宇佐寺が魔術を発動させると刀が黄色の魔力に覆われた。


そして、宇佐寺は白の矢に向かって刀を振るった。


 刀が白の矢と衝突し、宇佐寺はその力の大きさに段々と押されていった。


「智也も朝霧さんも気張ってんだ、ここで俺がやられるわけにはいかねえよな!」宇佐寺は白の矢の力を上回るほどの力で刀を振るい、そしてそれを叩き切った。


 切られた白の矢は散り消滅した。


宇佐寺は大きく息を切らして膝をついた。


 すると、ウィンダーが宇佐寺の目の前に現れた。

「あれを防げるんだ。でもあれは燃費が悪いから、君にはもう使わないよ」とウィンダーは言った。


「そりゃあ、ありがたいこった......」と宇佐寺は立ち上がって言った。



 宇佐寺は即座にウィンダーに切り掛かった。


 しかし、無意味に切り掛かったわけではない。宇佐寺には狙いがあった。月の神の複製体はガワは完全にオリジナルと同じだが、体の中心部分に白い結晶がある。


もしウィンダーに弱点があるとしたら、中心部にある"核"だろうと宇佐寺は考えていたのだ。


「無駄だって......」とウィンダーは言うが、そんなことはお構いなしに宇佐寺は刀を振り続ける。


 そして鳩尾みぞおちの辺りを狙った時、ウィンダーが一瞬、体をよじって避けた。


「なるほどな、お前の核はそこか!」宇佐寺は渾身の魔力を込めた攻撃をウィンダーの鳩尾にある核を狙って放った。


「流刃・桜雲おううん


 刀を大きな桜色の魔力が覆い、花びらのような魔力がウィンダーの体を切り裂いていく。宇佐寺はウィンダーの核に向かってその刀を振り下ろした──



──その次の瞬間、宇佐寺の刀が砕けた。


「だから、無駄って言っただろ?」ウィンダーは冷酷な瞳で宇佐寺を見た。


 宇佐寺に切られたことで、わずかにウィンダーの肉体から露出した核は五センチほどの白い結晶であり、その結晶には鏡の魔導具に張られていたものと同じ"結界"が張られていた。


 初めから、宇佐寺はウィンダーを殺すことは不可能だったことを悟った。


次の瞬間、宇佐寺の体は鋭利な形状に変化したウィンダーの腕によって貫かれた。


 変身する魔力もほとんど残っていない宇佐寺は避けることが出来なかった。


 ウィンダーは腕を引き抜き、宇佐寺は咳き込み口から血を流した。


(ここまでか......すまねえ智也、朝霧さん、あとは......)宇佐寺が倒れ、ウィンダーはトドメを刺すためダガーのような形状に変化させた。



 ウィンダーはダガーのような腕を振り下ろした──




 ウィンダーの凶刃が宇佐寺を切り裂こうとしたその寸前、宇佐寺がどこかへと消えた。ウィンダーが驚いていると、視界の端にある人物が映った。


 それは智也であった。


「宇佐寺さんすいません、遅くなりました......」智也は懐から小さな魔導具を取り出した。


 その魔導具は朝霧が智也に持たせたもので、回復魔術師チェテンの魔術が刻まれている。智也はそれを宇佐寺に使った。


(ボクでも捉えられないほどの速さで、老人を抱えたまま動いたのか?)ウィンダーは少し驚いた。



智也は宇佐寺に言った。

「宇佐寺さん、あとは任せてください!」


 智也はウィンダーの方を振り向き、立ち上がった──


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