表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第3章 狂気の月と蒼い星
36/88

先人の末路

 クロロファルはとある神と契約し、自身を【吸収】することで肉体と記憶を完全に保存し、さらに【複製】によって自分自身を増やすことすら可能にした。


それが彼の言う"永遠"なのだ。


◇◇◆◆◇◇


白狼はくろう」クロロファルはそう唱えると、魔術陣から白い結晶で覆われた狼の怪物が現れた。


「......魔法ではなく魔術で生み出しているのか」


 クロロファルが神から賜った『世界』は彼一人分を吸収して保存しておくだけの大きさしかないため、彼は自身の【魔力特性】を用いた魔術を使うことでそれを可能にしている。


【魔力特性】は先天的に持つものと、後天的に持つものがあり、後天的に持つ魔力特性とは、神との契約により自身の魂に神の世界を宿すことで契約した神の【神性】が魔力特性になるということだ。


 つまり、クロロファルは神との契約で得た、自身の魔力特性【結晶】を用いて狼型のゴーレムを造ったのだ。



(亜様村での出来事を聞いた感じ、こいつの契約している神は随分と多様な神性がある......もしかすると"上位の神格"かもしれないな)と朝霧は考えた。



「行け!」クロロファルがそう合図すると三体の狼が連携して朝霧に襲いかかった。


 しかし、次の瞬間には狼たちは熱線により倒され白い砂となって消えた。


「この程度か?」朝霧は無表情に言った。


 その言葉にクロロファルは激怒した。

「舐めるなよ! ワシの魔術は世界最高峰だ!」


 クロロファルは神と契約する前に長年研究し続けた傑作たる魔術を朝霧に放った。


白の矢(シルバー・アロー)!!」



『白の矢』この魔術は『不可視の衝撃』を矢のように鋭利にし、さらに自身の魔力特性を付与することで白い輝きを放つ魔力を放つという魔術であり、着弾すればこのビルの二階分を結晶で埋め尽くせる。


 まさしく最強の攻撃魔術だ!



 しかし、それは"百五十年前"のことである。



琥珀色の流星(アンバー・スター)」朝霧がその魔術の名を唱えると、琥珀色の熱線が放たれた『白の矢』を掻き消して四人のクロロファルの頭を射抜き、残り一人は腹を貫通させた。



「な、なぜだ......? なぜ、ワシの無敵の魔術が......」クロロファルは自身の魔術が正面から敗北したことに疑問を抱いていた。


「クロロファル......魔力特性を用いた魔術を生み出した人間の名だ。どうりで聞き覚えがあったわけだ」


「ワシの名はやはり残っているのか......」とクロロファルは嬉しそうに言った。


「......やっぱり、あなたはもう"停滞"しているんだな」朝霧は憐れむような目で言った。



『白の矢』は百五十年前、クロロファルによって開発された魔術であり、魔力特性を魔術に用いる攻撃性にも優れた魔術であった。


 しかし、時の流れとともに魔術も進化していき、現代ではその発展系である魔術が朝霧によって生み出された。故に朝霧の魔術は『白の矢』に勝ったのだ。



 一方のクロロファルは、死んで自身の優れた魔術と知識が失われることを恐れて神と契約してそれを保存することを選んだ。


しかしながら、それは永久に保存されるというだけであり、複製体が新たなことを学んだとしてもそれを保存することは出来ず、神の命令にも逆らうことは出来ない。


「クロロファル、あなたの名前は私くらいしか知らない。あなたの魔術自体それほど知られていないから」朝霧は言った。


「......そうか」クロロファルは落胆した。


「私は魔術の先人としてあなたを尊敬している。けれど、あなたは自ら"神の奴隷"になることを選んでしまった......残念です」朝霧はそう告げるとクロロファルの眉間を貫いた。


クロロファルは絶望したような表情のまま白い砂となり消滅した──


読んでいただきありがとうございます!

次回は明日の12時です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ