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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第3章 狂気の月と蒼い星
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流れる刃

 突如奇襲を仕掛けてきたウィンダーかや逃れた宇佐寺たちは亜様村から少し離れた山奥にいる。


「すいませんでした。もし宇佐寺さんが庇ってくれなかったら死んでいました......左肩、治りますか?」智也は弱々しい声で言った。


「このくらいは平気だ」

宇佐寺はそう言うと、【変身魔法】を使って自身の体を少し縮めた。肩の傷の分、身長を減らすことで長時間変身しても支障なく怪我を治すことが出来たのだ。



ただな、あの一瞬のスキが命取りなんだ。そこんとこ気をつけろよ」と宇佐寺は怒っているような心配しているような表情で言った。


智也は落ち込んだ声色で言った。

「はい............すいません、初めて会った時に宇佐寺さんに僕は今回の事件で役に立てるとか言ったくせにこのザマで......」


「んなこといちいち気にすんな。お前の実力はさっきの戦闘見てもわかってるからよ......まあ、逆に言えば人死に慣れてる俺みてえな奴にはならないようにしろよ」と宇佐寺は言った。


「.............そう、ですね。お気遣いありがとうございます」


 智也がそう言うと宇佐寺は腕を組みながらうっすらと笑った。




 それからしばらくして、智也たちは一度、話を整理することにした。



 亜様神社の神主はすでに吸収されて死亡しており、複製された神主と智也たちは話していた。


「神主さんが霊媒を渡したのはすでに複製されていたからですかね?」智也は尋ねた。


「どうだろうな、ただあの神主のこの村の伝統に対する怒りは本物だったと思うがな」と宇佐寺は答えた。



宇佐寺の見た黒い立方体の箱には何らかの"意思を持った"何かが入っており、それには【吸収】と【複製】の力がある。


 先ほどのウィンダーの攻撃は防御魔術を貫通して宇佐寺の左肩を削り取ったが、その攻撃の前に一瞬、空気が震えた。


 神主の話が真実ならば、ウィンダーにも【吸収】が使える可能性があるが、範囲は黒い箱の何かよりは狭く、大体半径十五センチメートルほどであろう。


また神主の話していた【真の月光】についてはわからないが、おそらくは次の満月の日、スーパームーンが何かしら関わっているだろう。



 そして、霊媒である『亜様』はすでにウィンダーたちが回収しており、現在はS県日善市にあると言う。



 朝霧がそこへ向かっているので智也達は朝霧と合流するまで少し休息を取ることにした。


「そういや、魔術教えるって話してたな」と宇佐寺が今思い出したように言った。


「あ、そう言えば」


「んじゃあ、早速教えておくか」と宇佐寺は重い腰を上げると、何も無いところから一冊の本を取り出した。


宇佐寺は言った。

「この魔術は龍岳りゅうがくとか言う五百年前の奴が作った殺傷力に全振りしたような魔術でな、日本古来の魔術だから多少術式は古いんで覚悟して覚えろよ」


「はい!」智也は言った。




──それから数時間経った頃、智也はついにその魔術を習得した。


その魔術は『流刃りゅうじん』と『流盾りゅうじゅん』と言う名で呼ばれる。


 その効果は

『流刃』が魔力を激流の如く走らせて物体を"切断"すると言うもので、『流盾』は魔術を発動した方向に円型の魔力の盾をつくり、その盾で魔力を分散させて防ぐというものだ。


 この術式は魔術陣を空中に展開するものと違い自身の腕や物などに術式を付与するものであり、今の智也の腕にはその二つの魔術の術式が付与されている。


 また発動する時以外はその術式は見えないので銭湯にも入れる。



「ありがとうございます、宇佐寺さん!」


「おう、教えたからにはちゃんと有効活用しろよ」と宇佐寺は言った。



 

 そんな時、誰かがこちらへ近づいてくる音がした。しかも一人では無い。二人はいるだろう。


智也たちが身構えていると、目の前に朝霧が現れた。その隣には見知らぬ女性がいた──


読んでいただきありがとうございます。

次回は来週土曜の22:00になると思います。

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