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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第3章 狂気の月と蒼い星
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冷酷な銃弾

最後まで読んでいってください

 深夜九時半、智也と宇佐寺は亜様村近辺の森で会話をしていた。


「宇佐寺さんの兎に変身するやつってどうやってるんですか?」と智也は尋ねた。


「ああ、あれは俺の【変身魔法へんしんまほう】だ」と宇佐寺は言った。


 少しの間に複数回も魔法を使っている宇佐寺を心配したのか、智也は変身魔法を何度も使って平気なのか尋ねた。


「それなら心配いらねえ。俺の契約した神は特殊だから何度も使う分には平気だ。ただ長時間変身したままだと変身元と同じような精神になっちまう」


 宇佐寺は昔、数時間ほど兎の状態でいた時に自分の精神が本当の兎のようになりかけたことを話した。


「そんなことがあったんですね......」智也は言った。


 智也はその話を聞いて眷属化けんぞくかについて少し考え始めた。

朝霧の話では、眷属化は肉体が神に近づくことで、体に引っ張られて精神構造が変わるということだった。


 それなら、宇佐寺も肉体に引っ張られて精神構造が変わりかけたということなのだろうか?  もし宇佐寺が魔物に変身出来たとしたら、その場合は......と智也は変なことを考えていた。




「そういや、お前はどんな魔術が使えるんだ?」と宇佐寺は智也に尋ねた。


智也は現在使える魔術を隠さずに伝えた。


「なるほどな......なら、俺が良い魔術教えてやるよ」と宇佐寺は言った。


「本当ですか!」と智也は目を輝かせて言った。


「おう。まあ、覚えるのには時間かかるだろうから、また明日にでも教えてやるよ」と宇佐寺は言った。


「今日からでもいいですよ?」と智也は宇佐寺に言った。


「もう夜の九時半過ぎだぞ? わけえんだから、とっとと帰って寝な」と宇佐寺は言った。


「でも、それは......」と智也は申し訳なさそうに言う。


「いいんだよ。どうせ今日は何も起こらないだろうしな。ま、明日の朝早くに来てくれりゃいい」と宇佐寺は言った。


「......わかりました。ありがとうございます」智也はそう言ってから宇佐寺に見送られてゲートで家に帰った──



 宇佐寺は智也が帰ったのを見届けた後、立ち上がり、兎に変身して村の様子を見に行った。


深夜とあって、静まりかえったその村は都会とは違って虫の鳴き声も聞こえる。

空を見上げると、明かりの少ない田舎ならではの美しい満天の星空が見えた。


 星空の中に浮かぶ"月"はすでに七割程度光っており、あと五日もすれば満月になるだろう。


(そういや、そろそろスーパームーンとかいう奴だったな)と宇佐寺は思い出した。



──宇佐寺は自分でも情報を収集しておくために単身亜様神社の社務所の中へ忍び込んだ。


しかし、特にめぼしいものは無かった。そんな時、突然若い神主が宇佐寺のいる場所へ近づいてくる音がした。



 扉がゆっくりと開かれ、部屋の中に若い神主が入って来た。


「あれ?」若い神主は呟いた。


しかし、そこに宇佐寺......の変身した兎の姿は無かった。


「気のせいか」若い神主はそう呟くと一冊の本を手に取って去っていった。




 宇佐寺は若い神主が部屋に入る前に近くにあったまりに変身していたのでバレなかった。


(ふう、危ねえ)宇佐寺は内心、安堵した。


 宇佐寺は先ほどの本が気になり、若い神主が眠るのを待ってからこっそりとその本を盗み見た。


──その本は"日記"だった。


人の日記を見るのは気が引けるが......そんなことは関係ない! 見てやるぜ! という気持ちで宇佐寺は日記を開いた。



 今日の日付のものから段々遡っていき、それから数日前の日記を見てみると、気になることが書かれていた。



「今日はウィンダーさんがこの神社に訪ねてきた。ウィンダーさんは霊媒れいばいとなるものを探しているらしい。もしかするとあれのことかもしれない......取引してみよう」


 それから数日の間は日記に記述が無かった。


 宇佐寺はこの日記を読んで神主への疑念が確信へと変わった。そんな時、朝霧からメールが来た。


 メールの着信音が鳴り、宇佐寺は焦る。

(まずい......着信を切り忘れた!)


しかし、幸い若い神主は起きなかった。

今日二度目の安堵を感じた宇佐寺はこっそりと亜様神社の外へ出てメールを確認した。


 そのメールは朝霧から送られて来たものだった。宇佐寺はそのメールの文の中に『霊媒』という文字があるのを見た。


(霊媒......なるほど、神の召喚に必要な霊媒をここの神主は取引の材料に使ったのか。なら、その取引の内容を吐かせるか......)宇佐寺は亜様神社に戻ろうとした。



 しかし、不可思議な出来事にその足を止めた。


亜様村の住人。その中でも老人達だけがこんな真夜中に家の外へ出て、山の方に向かって歩いているのだ。


 宇佐寺はこの村の老人たちが排他的はいたてきで古い伝統というのを守っている者たちだとは聞いていたが、どうにも様子がおかしい。


なぜなら、老人たちは皆一様みないちように不気味な笑顔を浮かべていたからだ。それはまるで能面のような笑顔で貼り付けたように笑顔を崩さなかったからだ。


 これを怪しんだ宇佐寺は老人達を追って山の中へと入った。そしてしばらくすると先頭にいる村長の師吾郎しごろうが小さな山小屋の前で止まり、その後ろから数十人の老人達が来て小屋の周りを囲った。


 師吾郎は山小屋から手のひらほどのサイズの黒い立方体の箱を取り出した。


その箱は鉱石のような材質で、見たことのない文字が刻まれている。


師吾郎はそれを円の形でひざまつく老人達の中心へ持って来て、空高く掲げた。


 すると空から降り注ぐ月光がその箱に反射して、まばゆいほどの白い光を放ち開いた......かに見えたが、開く手前でその箱は再び閉じた。


 チラリと見えたその箱の中には"白い結晶"が入ってるのが見えた。


 宇佐寺がその光景を観察していると、背後から視線を感じた。咄嗟に振り返ると、そこには例の男、ウィンダー=ジェーンがいた。

 その男は白い髪に金色の冷酷れいこくな瞳を持っており、その表情は感情が無いロボットのようだった。


 ウィンダーは手にデザートイーグルを持っていて、その銃口を宇佐寺の頭に向けている。


 宇佐寺が振り向いた次の瞬間、ウィンダーは躊躇ためらいなくその引き金を引いた──


色々考えた結果、この作品は一人称よりも三人称の方が合っているなと感じました。

申し訳ないのですが、これからは三人称で書かせてください。時間がある時に前のエピソードも随時三人称に変えるつもりです。

あと、次回は金曜になると思います。

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