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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第3章 狂気の月と蒼い星
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白い砂

 一方、朝霧は魔術師たちと会うため使われていない倉庫に来ていた。



そこには二人のカジュアルな格好をした男たちがおり、朝霧はその二人に近づいた。


 二人は朝霧に気がつくと「お疲れ様です!」と深々と頭を下げる。


「よしてくれ......恥ずかしい」朝霧は面倒くさそうに言った。


「いや、朝霧さんに会えるだけで光栄ですよ!」と一人が言うと、もう一人が「そうでやんす」と相槌あいずちをうった。


(語尾がやんす.....だと......)朝霧は初めて聞く語尾に少々驚いていた。



 気を取り直した三人は情報共有を始めた。初めに、朝霧はなぜ連絡がつかなくなったのかを尋ねた。


 男二人は「月食教団の奴らに捕まっていたが隙を見てどうにか逃げ出して来た」と語った。



そして、男二人は朝霧に掴んだ情報を話した。


 まず、月食教団の目的は神を招くことで、そのためにある"魔導具まどうぐ"を使用するようだが、すでに入手してしまっているということ。


 次にその魔導具を使用するためには"霊媒れいばい"と呼ばれる特殊な魔力を持つ物品が五つ必要だということ。


 そして、その物品は亜様村にあるということだった。


朝霧の方も亜様神社で神主が怪しい言動していたことなどを伝えた。



 それから、朝霧は二人の男たちの囚われていた場所、月食教団の仮拠点へ向かうことにした。


朝霧は智也たちに亜様村にある霊媒を探すようにメールを送った。



(月食教団の目的は神の召喚か......しかし、どうにも今回はきな臭い。妙な違和感、気持ち悪さを感じる......)朝霧はそんなことを考えながら男たちと共に仮拠点へ向かい始めた。



 しかし、その様子を観察する人物がいたことに朝霧は気づいていなかった。


「もうすぐ、満月の夜が来る......さて、どうなるかな?」そう呟く女の瞳はあかく染まっていた──


◇◇◆◆◇◇


 深夜二時ごろ、朝霧と男二人は月食教団の仮拠点へ着いた。


この二人が仮拠点から脱出してしまった以上、そこはすでにも抜けの殻だと朝霧は考えていたが、仮拠点にはまだ複数の人間がいるようだった。



「あれが月食教団の教徒か......見た感じ数人、魔術師がいるな」と朝霧は言った。


「見ただけで魔術師かわかるんでやんすね......流石、朝霧さんでやんす」と男の一人が言う。


「まあね......」


 朝霧は【眼】の瞳孔が開いているのかを見ていたのだ。


「ところで、もう一人は?」と朝霧は男に尋ねた。


「あいつは今トイレに行ってるでやんす」と男の一人が答えた。


「そうか......」朝霧は言った。



 しばらくするともう一人の男も戻って来たので、朝霧は月食教団の仮拠点に透明化と気配遮断の魔術を使い侵入した──



 その仮拠点はS県の港町にあるガレージの一つであり、特にこれと言った魔術的物品は見当たらなかった。



 突然、男たちが足を止めた。


「どうした?」と朝霧は小声で言った。


 男たちの様子は明らかにおかしかった。体中から冷や汗を出し、何かに怯えている様子だ。


 その瞬間、【眼】が笑い始めた。

恐ろしいことの前触れに朝霧は身構えた。


次の瞬間、ガレージに半径十メートルほどの巨大な球状の窪みができた。それはまるで球体の形にその空間が削りとられたようだった。



 仮拠点にいた十数人の教徒たちは削り取られる範囲から逃れており、削り取られた方を見て何やらニヤニヤと笑っていた。


その時、教徒たちの背後に朝霧が現れた。


 教徒の一人がそれに気づき、朝霧の方を振り向いた。しかし時すでに遅く、朝霧の放った『火球』によって仮拠点にいた教徒達は全員気絶した。



「間一髪だったよ。空間移動の魔術を即座に展開できなかったら死んでただろうね」と朝霧は呟いた。


そのそばには男二人が何が起こったのかわからないといった様子で立っている。


「あれ、俺たち生きてるでやんすか?」と男の一人が困惑した様子で言った。


 朝霧はそれに妙な違和感を感じたが、その正体には気づけなかった。



 その後、月食教団の魔術師を起こし、朝霧は尋問を始めた。


 魔術師は起きて早々に椅子に縛られていることに気づき一瞬、動揺を見せたが何かを覚悟したのか冷静に朝霧の方を見つめた。


「お、起きた。それじゃあ色々質問......は面倒くさいから......」と朝霧は言うと一冊の本を持った状態で縛っている魔術師に近づいた。



 朝霧は『記憶の(トランスファー・)転写(メモリー)』を使い、魔術師の記憶を本に移して情報を得ようとしていた。


しかしこの魔術は対象の意識がある状態で無ければ使えないので起きるのを待っていたのだ。


 朝霧は魔術師の頭に触れて魔術を発動しようとした。その時──


──不意に魔術師の頭が割れた。まるで鉱石を叩いた時のような亀裂きれつが突然魔術師の頭に入ったのだ。


 その亀裂から真っ赤な血が溢れる。その亀裂は一瞬で魔術師の体全体に広がり、そして爆散した。爆散した魔術師の血が朝霧にかかった。


しかし、その遺体が残ることはなく魔物を殺した時のように霧散した。


 朝霧にかかった血も白い砂粒のように霧散した。周りにいた他の月食教団の教徒たちも同じように爆散して死に、これもまた同じく白い砂粒となって霧散した。


「......やられたな」朝霧は腹立たしさを感じつつその場を後にした──



今日の22時にもう1話出します。

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