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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第3章 狂気の月と蒼い星
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兎と前兆

 智也は兄弟子と名乗る老人、宇佐寺に出会った。彼の胸元には魔術連のバッジがあった。


「えっと、あなたが朝霧さんの言っていた人ですか?」と智也は尋ねた。


「そうだ。とりあえず今の状況を教えてくれや」と宇佐寺は言った。


 智也は現時点でわかっている情報を話した。


宇佐寺は頷き、言った。

「だいたいわかった。気になるのは亜様神社ってとこの神主ってわけだな?」


「そうです」


「そうか。なら......お前は帰れ」宇佐寺が唐突に言い放った。


智也は理由を尋ねた。


「ここはガキの来るところじゃねえってことだ」と宇佐寺は言った。


「ガキ......ですか、確かに僕はまだ高校生ですが、役に立てると思っています」


智也がそう言うと、宇佐寺は言った。

「......なら、俺に一発入れてみろ。そうしたらお前の実力を信じる」


 宇佐寺は余裕といった表情で不敵に微笑んでいた。


「......わかりました。怪我しても知りませんからね」智也はそう言ってから宇佐寺に向けて『不可視の衝撃』を放った。


 その魔力は確実に当たる軌道で放たれた。


しかし、宇佐寺は軽く横に避けた。


「こんなもんか?」宇佐寺はあおるように言った。


「そんなわけありません!」

智也は身体強化の魔術を使った後、宇佐寺を直接殴りに行った。


 智也軽く魔力を込めた拳で宇佐寺さんに接近戦を挑み、拳を交互に放ち宇佐寺を攻撃した。


しかしながら、宇佐寺はそれすらも軽く避けてしまった。


(接近戦はやり慣れて無い感じか......魔力制御も若干だが鈍いな。まあ、魔術を初めて半年も経ってねえなら上出来だが......)と宇佐寺は考えていた。


 宇佐寺は智也の攻撃が自身に当たることは無いとこの時点で確信していた。しかし、智也はむやみやたらに攻撃し続けていたわけでは無かった。


「これなら......どうですか!」


 智也は攻撃を行ないながらも宇佐寺の周囲に張り巡らせていた『魔力糸』を引っ張り、宇佐寺を魔力糸によって拘束した。


 智也は魔力量の調整によって糸を見えないレベルに細くし、拘束する時に一気に太く頑丈にするという技を使い気づかれないように宇佐寺を拘束したのだ。


(へっ、やるじゃねぇか)宇佐寺は笑った。


 智也は身動きの取れなくなった宇佐寺に向かって、すかさず『不可視の衝撃』を放った。


(当たる!)僕は当てたことを確信した。


 しかし、その瞬間、宇佐寺さんの周りに白い煙が現れて宇佐寺は姿を消した。不可視の衝撃も手応えがない。


(宇佐寺さんが消えた! どこに......)

智也はその瞬間、先ほどのことを思い出した。宇佐寺は兎に変身して体を小さくすることで魔力糸による束縛から逃れたのだ。



 すると背後から白い煙が出て、そこには宇佐寺が立っていた。智也が背後に向けて拳を放った。


 すると、最後はあっけなく智也の拳が宇佐寺に当たった。(宇佐寺は防御魔術を使っていたためケガはない)


「へっ、やるじゃねえか。俺に一発当たるとは」と宇佐寺が笑って言った。


「......どうして、避けなかったんですか? 貴方なら避けられたはずですよね?」智也は尋ねた。


「......元からお前を帰らせる気は無かったんだ。朝霧さんが弟子に選んだやつなんだから、弱い奴ではないとわかっていたからな」


「なら、どうしてあんなことを?」


「お前の実力を見ておきたかったんだ。煽った方が素の実力も出るだろ?」


「......」智也は少し不満気に宇佐寺を見つめた。


「まあ、お前の実力は十分わかった。魔術の基礎は出来ているな。まあ、体術は少しかじった程度みたいだが......」


 宇佐寺の言ったことはまさしくその通りだったので、智也は素直にその分析力をすごいと感じた。



「勘にはなるが、今回の件は危険な予感がする。最悪の場合、"神"と遭遇するかもしれん。帰るなら今のうちだぞ」と宇佐寺は言った。


 神に遭遇する可能性があると言われ、世界が滅んだあの日を再び思い出した。一瞬、智也の頭を恐怖がよぎった。


 しかし、智也は言った。

「帰りませんよ。たとえ神が相手でも、僕は乗り越えてみせます!」


 智也の目には覚悟が表れていた。


「気に入ったぜ。彩島 智也! 共に頑張ろうじゃねえか!」と宇佐寺は智也の肩を叩いて言った。


 智也は宇佐寺に認められたようで嬉しかった。

「がんばります!」



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