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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第2章 異常な日々
15/88

花束の示す場所

今回から第二章になります。

第一章は主人公の身の回りの出来事や魔術等の説明がメインでしたが、第二章は朝霧の探偵業がメインとなるため探索する部分もあります。とは言うものの、この物語はバトルものを目指しているので戦闘描写をメインにやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

[2022年 五月十五日]

 天気はあいにくの雨で空は厚い灰色の雲で覆われている。探偵事務所の外は人もまばらで閑散(かんさん)としている。


事務所のラジオを聞いていると、探偵事務所のある『金西市(かなにしし)』で二日前の深夜に銃の発砲音がした後、一人の警官が行方不明になったようで、ラジオの話題はそれでもちきりだった。


銃声と警官の失踪との関連性や拳銃を持ったまま失踪させてしまう警察側の管理の不徹底さについて話していた。



 そんな時、突然朝霧さんが奥の扉から現れてウキウキした様子で話しかけた。

「智也くん、いい知らせと悪い知らせどっちから聞きたい?」


「それ、海外の映画とかでたまに見るやつですよね......? じゃあ良いニュースからお願いします」


「まず、良いニュースだけどかなり前に言ってた『姿を見ただけで死ぬ神』の情報を手に入れてきたよ」と朝霧は言った。


「おお!」

これで災厄の正体に一歩近づくかもしれないと思い、智也は嬉しかった。


「私の調べた情報だと、"三柱の神"がそれに該当している」と朝霧は言い、その神達について説明した。



●【深淵の神(オキュラス)

この神の持つ神性しんせい(神固有の能力)は精神に干渉するものとされており、この神の姿を見た者は脳機能が停止して死ぬという記録が残っている。


●【星蝕の神(イロウ=ギャレア)

この神の神性は星を喰らい成り代わること。そしてこの神の放つ光を見る、もしくは浴びると狂い死ぬと言われている。


●【記録を映す神(アカシック)

この神には神性が無いが、次元の神の持つ万物の情報を映す存在とされており、この神の情報に触れただけで人間は脳が物理的に焼き切れて死ぬと考えられている。



──もしこの中に災厄の正体がいるとしたら、怪しいのは【深淵の神(オキュラス)】か【記録を映す神(アカシック)】という神だろうと智也は考えた。


なぜなら、未来で星蝕の神(イロウ=ギャレア)という神が現れていたなら、智也も狂い死んでいたはずだからだ。


 智也はこの二柱の神についてもっと調べてみることにした──



「それで、悪いニュースって何なんですか?」智也は尋ねた。


「悪いニュースは......依頼が来たことだ」朝霧が真剣な顔つきになって言った。


「依頼......ですか?」


「そう。依頼者はかなり珍しい魔術を知らない一般の方だよ。そして依頼内容は行方不明になった旦那さんの捜索だ」と朝霧は言った。


「......もしかしてなんですけど、その旦那さんって......警官の方ですか?」


「よくわかったね。警察の方でも探しているみたいだけど、一向に発見されないから探偵を雇うことにしたと言っていたよ......けれど、今回はこれだけじゃ無い」朝霧は言った。




「つい先ほど、魔術連からも依頼があってね、この町に"魔物"が現れた痕跡こんせきを発見したそうだ。だから行方不明者とその魔物は何か関係しているかもしれない」と朝霧は告げた。


「魔物......まだ見たことが無いですけど、どんな感じなんですか? 姿形とか......」と智也は尋ねた。


「......魔物は基本的には従来の生物が魔力の特殊な性質によって突然変異を起こしたものでね、元の生物が巨大化、奇形化したものが多いね。野生動物よりも凶暴だから早めに駆除しないと被害が大きくなる」朝霧は言った。


「一刻も早く、見つけないといけないんですね......」


「その通り。とは言え、まずはさっき言った依頼人との話があるから、捜索はその後。手がかり無しだときついからね」


 そんな話をしていると、ちょうど玄関のチャイムが鳴った──



──依頼者の女性『谷越たにこし 祥子しょうこ』が事務所の中に入り、席に座った。


 祥子の依頼は夫である『谷越 誠太せいた』の捜索だ。祥子は暗い顔をしており、不安で胸がいっぱいなのだと思えた。


 智也たちはその向かい側の席に座り、軽く挨拶をしてから話を聞いた。


大体の説明を聞いた後に、朝霧が祥子に尋ねた。

「行方不明になった旦那さんは普段と変わった様子などありましたか?」


「いいえ、特段変わった様子は無く、普段通りでした」と祥子は答えた。


「では、失踪しっそうしたことに心当たりなどありますか?」


「いいえ......旦那は真面目なので、職務放棄をするような性格でも無いですし、何か事件に巻き込まれたのでは無いかと......」と祥子は言った。


「なるほど......警察の方からは何と言われていますか?」朝霧が尋ねた。


「警察の人たちは私の主人を探しているようですが、詳しいことは伝えられないと言われました。ただ、最後に『とっちゃん』という居酒屋の近くで目撃されたと聞いています」と祥子が言った。


「なるほど......ありがとうございます。ちなみに電話でお話しした旦那さんの私物などは持ってきてくださいましたか?」と朝霧が言った。


 すると祥子さんがカバンからジップロックに入れられたくつ下を渡した。


「犬を使って捜索をするというお話しでしたが、これで大丈夫ですか?」


「これで大丈夫です。ありがとうございます」と朝霧は言った。



 そこで朝霧はあらかじめ録音しておいた犬の鳴き声を再生した。


「......本当に犬がいらっしゃるのでですね......探偵さん、夫は本当に見つかるでしょうか?」祥子は心配に満ちた声色でこちらに尋ねた。


「必ず見つけ出します」朝霧は祥子の目をみて答えた。


「よろしく、お願いします......」涙ぐみながら祥子は深々と頭を下げた。



 祥子は不安な顔のまま事務所を後にした──



「......行方不明になった旦那さんはもう亡くなっていると思いますか?」と祥子が事務所から離れたのを見届けた智也は朝霧に尋ねた。


「正直、その可能性の方が高いと思っている。けれど遺体が無いのは事実。まだ生きている可能性もある」朝霧は言った。



「............僕は身近な大切な人を助けられればそれで良いと思っていました.....でも、やっぱり違うなって今思いました」



「祥子さんの不安な気持ちはよくわかります。行方不明って生死がわからないからずっと不安が続いてしまう......だから、悲しむ時間を少しでも減らせるように解決してみせます」智也は朝霧に覚悟を持って言った。



(......本当に、君の目は真っ直ぐだね)朝霧は心の中で呟いた。


「そうだね。魔物も発見されているわけだし、この依頼は完遂する必要がある。必ず、解決しよう」朝霧は言った。


「はい!!」



──その一時間後、探偵事務所に咲がやって来た。


「あ、朝霧さん......人使い荒いっすよ......今日の早朝にやっと家帰れたばっかりなんですよ......」咲はかなり疲弊ひへいしている様子だった。


(魔術師って相当、ブラックだな......)智也は内心思った。


「ごめんごめん、今度パフェおごるから許してくれ」朝霧が言った。


「ふっ、もう仕方ないっすね〜」と咲は少し機嫌が治った様子で言った。


(チョロい......)と智也は一瞬思った。


 その後、早速捜査を開始することになり、咲は祥子から提供して貰ったくつ下を使い、その持ち主である誠太を探し始めた。


その間に智也と朝霧は市内に捜索に行き、誠太と魔物の痕跡を探した。


 まずは手がかりを探して居酒屋『とっちゃん』を訪れた。


しかしながら、その店はまだ準備中のようで聞き込みは出来なさそうだった。しかし、ちょうどお店の中から渋めの中年男性が現れた。


「ああ、まだ準備中なもんで悪いが十八時過ぎにまた来てくれや」と男性は言った。


「いえ、そう言った要件では無く、谷越さんの行方を捜索しに来たんです。最後にこの近くで目撃されていますが、何か知っていませんか?」朝霧は尋ねた。


「ああ、谷越さんの件か......その人なら知ってるよ。いつも深夜一時くらいにこの近くを通るからな。二日前もここの前を通ってあっちの方向に行ったのをみたぜ」と男性は右を指差しながら答えてくれた。


「ご協力感謝します。では」朝霧は言った。


「おう! 誠太さん見つけてくれよな!」


「はい。必ず見つけてみせます」朝霧さんはそう答えると右に向かって歩き始めた。智也もお礼を述べてからその後を追った──



 少し歩くと街の繁華街から一変して静かな田園風景が広がっている。人通りも少なく、ここだけ見れば市というよりは町や村に近いだろう。


智也と朝霧はそんな道を歩いていた。少し歩いていると突然、朝霧が立ち止まった。


「どうしたんですか?」と智也は尋ねた。


「この電柱......」と朝霧は呟いた。


電柱を見てみると、そこには黄色の花束が供えてあった。


「これって......献花けんかですよね......?」智也は尋ねた。


 電柱の下には月桂樹げっけいじゅの花束が置かれていた。しかし、少し花びらが散っていたり、誰かに踏まれたような痕が残っており乱雑に扱われた印象がある。


「おそらくそうだろうね。でもこの献花が怪しいんじゃ無くてね、ここに魔物のいた痕跡が残っているんだよ」と朝霧は言った。


「魔物......!」


朝霧はそう言うと周りを見渡した後に魔術を発動させた。


その瞬間、地面に赤色のオーラが見えるようになった。そのオーラは電柱の近くでははっきりと見えたが、少し歩いたところからは見えなくなっていた。


「これが魔物の痕跡を可視化したものだよ。でもおかしいね、痕跡が途絶えている......空中には痕跡が無いから飛行型の魔物という訳ではないし、知性の無い魔物には出来ない芸当だ」朝霧は言った。


「それってつまり......知性のある魔物、もしくは魔物を操っている黒幕みたいなのがいるってことですか......?」


「その可能性が高いだろうね.....とりあえず、一度帰って対策を立てみよう」


 二人は探偵事務所へ戻った。


探偵事務所に戻るとずいぶんと疲労したのかソファに横たわった咲がいた。


「お、お帰りっす......とりあえず二日前にどこでいなくなったのかはわかりました。その後が辿れないのでもしかしたら......」と咲は言った。


「わかった.....ありがとう、咲」朝霧が言った。


「あとは頼みますっす......」と言うと咲は死んだように眠りについた。


「任せてくれ」朝霧はそう呟くと咲にそっと毛布をかけた。



 二人が咲の調べた二日前に誠太がいた最後の場所を見た。


そこは献花の置かれていたあの場所だった──


読んでいただきありがとうございました。

なるべくわかりやすく出来るように頑張ります。

それでは設定解説をします。

●魔術

魔術は【予言の神】の神によって伝えられた魔力を用いて超常現象を起こすという技術で、使う際には精神力も少し削られます。と言っても疲労感を感じる程度なので大きなデメリットという訳ではありませんが、魔術によって魔力、もしくは精神力を完全に使い切ってしまった場合...ゲームで言うとMPが0になった場合は魔物化してしまい、思考のない化け物になってしまいます。

                   以上です!

良ければ次回以降も読んでいってください。

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