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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第1章 禁忌への入り口
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忍び寄る影

楽しんでいただけたら嬉しいです。

 智也たち三人は屋敷の中に入った。まだ昏は帰っていないようで、屋敷の中は静かだった。


智也たちは和室に案内され座布団の上に座った。和室には家族写真が飾ってあるが、なぜか昏の父親の写真だけでは見当たらない。昔から不思議には思っているが智也は聞けないでいる。


 智也はこの家によく来ているが、今日はなんとも落ち着かない。妙な緊張感が満ちる中、紗由理は三人分のお茶を出すと向かい側に座って話を始めた。


「智也くんから大体の話を聞いたので事情はわかりましたが、結論から言うとその魔導書が家にあった理由はわかりません」


「......なら、魔導書を持ち込んだ人物に心当たりはありませんか?」と朝霧が言った。


「その魔導書はおそらく私の母が所有していたものだと思いますけど、詳しいことはわからないのです」


「なるほど......それならお母さまは今どこに?」と朝霧が聞いた。


「十三年前に亡くなっています」と紗由理が言った。


「それは申し訳ない......」


「いえ、お気になさらず」



 昏の実母であり、紗由理の義理の母であるその人物の名前は【二条にじょう はく】と言い、昏を産んでから数年で亡くなってしまった。


そのため、昏は紗由理と今は亡くなってしまった祖父母に育てられた。


紗由理は子供の頃に児童養護施設にいたのだが、その時にはくと出会い二条家に引き取られた。



「......昏と紗由理さんはその魔導書を読みましたか?」と智也は聞いた。


「私と昏は読んでいません。母は分かりませんが......」と紗由理は答えた。


(......嘘は言っていない。となると二条 白が少し気掛かりだな)と朝霧は思った。



「そうですか、それは良かった......ちなみに、お母さまは魔導書を読んでから何か変化はありましたか?」と朝霧が訊いた。


「何も............いや、あの魔導書を読んでからほんの少し、様子が変わっていたような......」と紗由理が言った。


その返答に、朝霧さんは考え込むような顔をした。


「......貴重なお時間ありがとうございました。今日は帰らせていただきます」と朝霧は言い、そのまま玄関まで向かったので智也と咲もそれについて行った。


◇◇◆◆◇◇


 朝霧は屋敷を出てから近くの公園まで戻ると智也たちに語りかけた。


「この呪いのせいで話せることは少ないけれど色々と話したいことがある。だからまず一つ質問させてくれ。智也くん、君はこの呪いに何か心当たりがあるかい?」と朝霧が言った。


「はい。おそらく」智也はそう答えた。


「......この魔導書には二つの呪いがある。その片方の呪いについて伝えられくする効果のせいでもう一つの効果は話せない。ただ、伝えられなくする呪いが発動するには条件がある」と朝霧は語った。


 仮に伝えられなくする呪いを「A」、伝えられなくされている【眼】に関係しているであろう呪いを「B」とする。


Aの発動条件とは、Bについて、もしくはそれに関係することについて話そうとした時、話そうとした人物に対して発動する。


このAの呪いはBの呪いの核心に迫るほど強くなり、智也のように呼吸が出来なくなるほど強く作用したのは智也がBの呪いの核心、つまり【眼】について伝えようとしたからだと思われる。


また、Aの呪いはBの呪いが他者に信用されるかどうかも発動条件にあるようで、もし魔術を知らない一般人にBの呪いについて伝えても本当のことだと思われなければ発動しないとのことだ。



「何というか......難しいっすね。頭から湯気が出そうっす」と咲が言った。


「実際かなり難解な呪いだからね」朝霧が言った。


「......この呪いのせいで朝霧さんに話したいことを全く話せません......」智也は言った。


「......それなら、智也くんに質問させてくれ」朝霧は少し間を空けてから言った。

「君にはこれが見えているか?」そう言って朝霧は何もないところを指差した。おそらく咲には何も見えていないだろうが、智也にはそれが見えた。


指の先にあったのは【眼】だ。


智也は「見えます」と答えた。


 しかし、息苦しさを感じてはいない。


「これ......!」智也は驚いた。


「......なるほどね。呪いの条件が少しわかったよ」朝霧は言った。


「えっ、さっきからなんの話を.....?」咲は困惑した顔でこちらを見つめていた。


「まあ、咲にはわからないかな」朝霧は冗談めいて言った。


「えー、なんかずるいっす」咲は口を尖らせた。



それから後に朝霧が話し始めた。


「あの魔導書の元凶がわかると思ったけど......残念ながらわからずじまいだった。まあ二条家の者たちが読んでいなかったのが幸いだよ」


「ですね」


あの魔導書が【眼】に関係しているとわかった以上、智也もその元凶を突き止めたいた思った。なぜなら、智也もまた【眼】について知りたいと思っているからだ。



 そして帰り際、智也はふと夢のことを思い出し、朝霧に話してみることにした。


「そう言えば、夢で聞いた話なんですけど【アルファスの短剣】って知ってますか?」と智也は聞いた。


 朝霧はその言葉に驚いた顔をした。


「なぜアルファスの短剣のことを!? ......まあいいや」朝霧は首を傾げつつも智也にその短剣の話をした。 




 かつて第一の厄災となる神が復活しこの星ごと終焉を迎える一歩手前で、第一の前兆である"アルファス=ドーム"が自身の全てを代償に"神を殺す"短剣を創りあげた。


そしてアルファスの親友であるドリストがアルファスの意思を引き継ぎ、その短剣を神に突き刺すと神は大きな絶叫を響かせ消滅した──


その短剣こそがアルファスの短剣であり、神を殺した唯一の武器なのだ。



「まさか夢で聞いたものが本当に実在するなんて......なぜか夢を鮮明に覚えていますし、あれは何だったんでしょうか」智也は言った。


「昔、前兆は夢を通じてお告げを貰ったという話を聞いたことがある.....多分、その夢をお告げか何かだろう。ちなみに、.その夢では何と言われたんだい?」と朝霧が言った。


「......第三の厄災......その元凶となる神を殺すために短剣を探せと言われました」

智也がそう言うと朝霧は困ったような表情で言った。


「残念ながら、今アルファスの短剣がある場所はわからないんだ。アルファスの子孫が持っているという話もあるけれど、その子孫がどこにいるのかもわからなくてね......」


「そうなんですか......」


「.......なら、これからの方針を決めよう」朝霧はそう言うと二つの目標を話した。


一つは第三の厄災の原因となる神の顕現を阻止すること。


二つ目は顕現を止められなかった時のためにアルファスの短剣を見つけておくこと。


「咲にも手伝ってもらうからね」と朝霧は言った。


「あいあいさー!」と咲は元気よく言った。


「よし。とりあえず今日はこれで解散。智也くんは家が近いけど気をつけて帰ってくれ。家の近くが一番事故りやすいからね」と朝霧が言った。


「はい! では、お先に失礼します」


「お疲れ」


「お疲れっす!」


智也は二人に見送られて家に帰った──


◇◇◆◆◇◇


智也を見送った後、咲が朝霧に話しかけた。

「あの紗由理って女性.....気配が人とは少し違うような気がしたんですが......」


「......ああ、おそらくは、純粋な人間では無いね。何かが混ざっている」朝霧は言った。


「それなら......」続きの言葉を言おうとした咲の口に朝霧はそっと手を当て遮った。


「それを判断するのは私たちではダメだ。彼女は"人として"生きているのだから」朝霧は言った。


咲は少し黙った後に口を開いた。

「まあ......そうっすね。見た感じ人に害を与えるような感じは無さそうだとは思いました。でも、少しでも危険があるなら......いや、なんでもないっす」


「......大丈夫だよ。彼女の近くには智也くんがいるからね」


「......そうっすね」


二人は夜道を歩いて事務所へと戻った。



◇◇◆◆◇◇


 智也は家に帰った後、昏と約束していたたこパをするために再び昏の家に行った。


「ああ、智也くん......なんと言うか、さっきは驚いたよ」と紗由理が気まずそうに言った。


「あはは......僕も驚きました.....あの魔導書がこの家にあったなんて......」


「色々と話したいけど、とりあえずたこパの後にしようか。昏は今買い出しに行っているはずなんだけど......流石に帰りが遅いよね」と紗由理が言った。


 それもそのはずで、昏は十五時くらいには出かけているのにすでに時刻は十八時になっているからだ。


紗由理は先程電話をしたらしいが繋がらなかったようで、智也からも電話をかけてみることにした。



 紗由理から少し離れたところで電話をかけ、十コールほど後に電話が繋がった。


「あ、昏? 今どこに......」智也がそう言おうとした時、電話の向こうから予想だにしない声が聞こえた。


 その声は男のものだった。

「前兆......お前の友人は預かった。返してほしければ二丁目の廃工場に一人で来い。もしこれを誰かに伝えれば、その時点でお前の友人は殺す」


「お前は誰だ? 本当に、昏は捕まってるのか?」智也は怒気どきを含んだ声で言った。


紗由理は少し反応してこちらをチラリと見るが智也は身振りで誤魔化した。


「なら、声を聞かせてやろう」男が電話の向こうで合図をすると同時に昏の大きな声が聞こえた。


「これは罠だよ! 絶対に来ちゃだめ!」そう叫ぶ昏は電話の向こうで口を塞がれたようで「んんー!」という声しか聞こえなくなった。



「必ず来い。もし誰かに話せば、すぐさまこちらに伝わるからな」男がそう言い残すと電話がプツリと切れた。


(まずいな......複数犯のようだし、朝霧さんに助けを求めるのもリスクが大き過ぎる。ここは僕がいくしかないか......)


すると「昏は電話に出た?」と紗由理が尋ねてきた。


「いやー、なんか迷子の子犬を探しているうちにこんな時間になったって言ってましたよ。僕、心配なんで迎えに行ってきます!」と言って智也は家の外に出した。


 智也は焦った表情を浮かべ、二丁目の廃工場へと向かって走った。心臓の鼓動が高まり、不安な気持ちが心を満たしている。


(絶対に助けるからな、昏!)





読んでいただきありがとうございます。

暇?なので設定解説をしようと思います。


●二条 昏

主人公の幼馴染。

母は 二条 白

姉は 二条 紗由理

父は ???

実は魔術を研究する一族の娘で現在は十五歳。

どんな人間にもある【眼】がなぜか無く、あらゆる人間が持っている魔力も無い特殊な人物。

趣味はコメディ映画を見ること。

どちらかと言えば根暗な方だが、いつも明るく振る舞おうとしている。

主人公が蒼白の化け物によって死にかけた時、昏は何をしたのだろう?

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