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セカンドエンド  作者: 米西 ことる
第1章 禁忌への入り口
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禁書の呪い

楽しんでいただけたら嬉しいです。

 時刻は十六時、一人の女性が街路樹のある道を歩いていた。


その女性は長い茶髪に茶色の瞳をしている。


突然その女性は立ち止まった。そしてその視線の先には街路樹を見上げる小さな女の子がいた。


 その女の子は木の上から降りられなくなったおそらくペットであろう猫の名前を呼んでいるが一向に降りてくる気配は無かった。


女性は周囲に誰もいないのを確認すると、女の子に近づき「少しあっちを見ていなさい」と木とは反対の方向を指さし、女の子は不思議そうな顔でその方向を見た。


 女の子が振り向いた一瞬の間に女性は非常に高い跳躍力ちょうやくりょくで木の上につかまり、一瞬で猫を拾い上げて着地した。


 女の子が「何も無いよ」と振り返ると女性が猫を抱えて立っていた。


女の子は飛び跳ねて喜び女性の感謝の言葉を言って猫と共に走り去っていった。



「猫は苦手なのだけど......まあ、良かったかな」そう呟くと女性は再び歩き始める。


 そしてその女性が家まで着くと、三人の男女が玄関前に立っていた──


◇◇◆◆◇◇



 朝霧探偵事務所から昏の家に向かった智也たちは、朝霧のつくったゲートを抜けて深無町に着いた。


ゲートをくぐると、そこはひとけのないところで昏の家まで少し離れている。


智也は二人を案内して小さな公園までたどり着いた。疲れたと言うこともあり、三人は少し休憩することにした。


 その公園はベンチが二つあるくらいで人をほとんど見かけないが、たまにおじいさんおばあさんがベンチに腰掛けているのを見る。



「智也くんの友達と言うのは昔からの知り合いなの?」と朝霧が聞いてきた。


「はい。小学校からの付き合いで幼馴染です。僕も友達の家が魔術の研究をしているって言うのはつい最近聞いたので驚いてます」



「......気になってたんですけど、その【神の眼】っていう魔導書はどうして危険なんすか?」と咲が朝霧に言った。


 朝霧は少しの沈黙のあと話し始めた。


「その魔導書には様々な古代魔術について記述されていて、さらに周囲の人間にそれを読ませようとする魅惑チャームの力がある。そして......」


 朝霧がその次の言葉を話そうとした時、不自然に口をつぐんだ。それはまるで言えないように口を強引ごういんに閉じられたようだった。


 朝霧が言おうとしていた何かを話すのをやめると口は自然に開いた。


そして、その瞬間に智也は気づいた。


【眼】がにらむように朝霧の方を見ていたことに......


(なんだこれ、こんなこと初めてだ......もしかして朝霧さんの言おうとしたことは【眼】に関係があるのか?)智也は思考を巡らせる。


その時にふと思い当たった。あの魔導書の名前"神の【眼】"。こんな偶然があるのだろうか。


(あの魔導書は【眼】と関係している!)


智也はそれを確信した。



「ど、どうしたんすか、朝霧さん!」と咲が心配そうに言った。


「......その魔導書にはある"呪い"がかけられている。けれど、今見た通り呪いのことを他者に伝えようとすると体が勝手にそれをめようとする」と朝霧は言った。



「......朝霧さん、もしかしてその呪いって──」



 智也が【眼】について話そうとした瞬間、突然息苦しさが智也を襲った。


(息が......出来ない......)


 息を吸い込もうとしても吸えない。声も何故か出せない。自分の意思と反して行動を歪められているような感覚。


それから数分の間その状態が続き、やがて意識が暗転した──



「智也くん!」朝霧は声をかけ続けるが反応は無い。しかし息は出来ているようでしばらく安静にしていれば意識が戻るだろうとわかった。


智也をベンチの上に寝かせて二人は話をした。



「呼吸はしてていて良かったっす.......でもどうして、ともやんがこんなことに......」と咲が困惑した様子で呟いた。


「......おそらくだけど智也くんは呪いの"核心"に迫ることを話そうとしたんだろう。なぜ知っているのかはわからないけどね」と朝霧が言った。



──また、夢を見た。しかし、今回は以前の夢とは違っていた。


突然「やあ」と人の声がした。男とも女とも思えるような中性的な声だった。


体は動かないので智也はその声を聞くほかない。


(誰なんだ、この声は?)智也が心の中でそう思うと再び声がした。


「私は、そうだな.......【智慧ちえ魔女まじょ】とでも呼んでくれ」


(......心を読んでいる? こいつ、直接脳内に!)と智也は心の中で叫んだ。


「ああ、まあそうだよ」と魔女が気まずそうに言った。


(本当に聞こえてたのか......なら、どうしてあなたは僕に話しかけてきたんだ?)


「うーん、何となく? まあ、せっかくだしヒントでもあげようと思ってね」


(ヒント?)


「そうだよ。君の目的である未来を改変するヒントさ」と魔女は言う。


(何でそのことを......!)智也は一気に真剣な気持ちになった。


「そう言うのはいいから。さあ、好きな質問を"一つだけ"していいよ。そうしたら私が答えてあげるから」


智慧の魔女の言うことはあまりにも疑わしい話だったため、智也は信用出来なかった。


「信用してくれていい。私は事実だけを話すから」と魔女が言った。


心を読んでいるのだろうか? どちらにせよ隠し事は通じなさそうなので智也はヒントを貰うことにした。


(なら、未来で現れる神は何なんだ?)智也がそう聞くと魔女は答えた。


「それは言えないなー、もっと後半じゃないと面白く無い」


智也はその意味のわからない回答に苛立ちを覚えた。


「怒らないでよー、次はちゃんと答えてあげるから」


 智也は少しの間考えた。


先程の質問では未来で世界が終わる原因を直接的に聞いてしまった。だからこそ智慧の魔女は答えなかった......ということかもしれない。それなら......



(......元凶となる神はどうすれば止められる?)智也がそう聞くと魔女はクスッと笑って答えた。


「神を殺せ」


(神を殺す......? そんなことが出来るのか?)


「うーん......ならさっきのお詫びに追加で教えてあげよう。神を殺すために【アルファスの短剣】を探せ」


(それってどこに......)


 魔女はその問いには答えず「ヒントはここまで。そろそろ起きる時間だ」と言った。


すると智也の周囲が光り始める。


夢がめ始まる最中さなか「また会おう」と魔女の声が聞こえると智也の意識は戻った。




 智也は目を覚まし起き上がった。どうやらベンチの上に寝かされていたようだった。そして周りを見ると二人もベンチに座っていた。


 妙な夢を見た。起きてなお鮮明に覚えている。あれは本当に夢だったのだろうか?



「目を覚まして良かったよ。起きて早々に悪いけど屋敷に向かおう。もうじきに日が暮れてしまうからね」と朝霧が言った。


 智也はベンチから立ち上がり昏の家に再び向かった。元から近くまでは来ていたので昏の家にはすぐ着いた──


「この表式の名前......二条家にじょうけであの魔導書が保管されていたのか」と朝霧が驚いた様子で言った。


「知ってるんですか?」と智也は尋ねた。


「ああ、魔術連の中でも有名だからね。確か【変形魔術へんけいまじゅつ】の研究をしているとか......」



それから玄関先のチャイムを鳴らして誰かが出るのを待っていると後ろから足音がした。


三人が振り向くとそこには茶髪に茶色の瞳をした女性がいた。


「あ、紗由理さゆりさん!」智也はその女性に向かって声をかけた。


 紗由理は昏の義理の姉であり、義理とは言っても本当の姉妹よりも仲が良いほどだ。身体能力がかなり高く、50メートル六秒台だ。



「智也くん、その二人は誰? 見たところ魔術連の人のようだけど.......」と紗由理が言った。


「この人たちは......」智也は紗由理に事情を話した。


「なるほどね......まあ、家に上がって」と紗由理は言い、智也たちは家に入った──


この話から設定解説をしようと思います。

●彩島 智也

物語の主人公【眼】が見えている。

五つの災厄の前に現れる前兆であり、人よりも魔力が非常に高い。

数年前に両親が突然いなくなり、現在も行方不明。

昏とは幼馴染であり家族ぐるみの付き合いがある。

未来で次元の神と契約してタイムリープの魔法を得ており、それによって一年半前に戻っている。

実はもう......



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