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36話 温泉

「ハァ、ハァ、もうダメだ……もう動けない……」


「私もこんなに運動したの、久しぶりだわ……」


 アツト、ルクス、ルワの3人はなんとか過酷なトレーニングを終え、床にバタリと倒れ込んでいた。するとスーアが水とタオルを持ってきてくれた。


「おう、お疲れ様! これは差し入れだ、あと休んだら着いてきてくれ、イイものがあるんだ」


「イイもの……? まさか、次のトレーニングとかですか……」


「ハハハ、違う違う。疲れを一瞬にしてとることができる、我ら秘伝のスポットさ」


 秘伝のスポット……! その言葉に惹かれた3人は、すぐにその場所へ案内してもらうことにした。このトレーニング場を出て、歩くこと3分。小さなものではあるが、もくもくと湯気が立ち込める温泉があったのだ。


「この感じの匂い……ガチの温泉だ!」


「ハハハ、ここがパーカノヒモの湯。これまでは観光客も多かったんだが……最近はあの出来事のせいで客足も遠のいていてな。まぁ逆にゆっくりできるだろう」


「へへへ、じゃあ早速……って! あの……」


「ん? どうした?」


「ここってもしや、こ、混……混浴ですか?」


「ん? 混浴って何だ?」


「……えっ!?」


 男子風呂、女子風呂、混浴。聞くところ、アツトの世界にあるこれらの概念はこの世界にそもそも存在していないらしい。だが、周りに別の温泉のようなものは存在せず、入浴可能な場所は目の前にある、軽トラック程度の大きさのもの1つだけだ。

 アツトは理解が追いつかない。男女で分かれている、または混浴のどちらかなら全然分かるのだが、帰ってきた答えは「混浴って何?」である。温泉は1つ、しかも男女別に用意されているワケではないのに。


「あの……どういうことですか?」


「え? あぁ、ここの温泉は普通の温泉じゃない、特別仕様なんだ。というのも……」


 スーアは手で温泉の水をすくい、頭にかけてワシャワシャと自分の頭を揉み始めたのだ。

 そして今度は腕、次は胸、最後に足のマッサージを終えると、スーアは高らかに笑い始めた。


「ここは直接入るのではない。こうやって少しずつ体にかけるだけでいいのさ。あ、ちゃんと風呂に入るのと同等に清潔にもなれるからな」


「す、すごいや異世界……」


「アツトくん、『ここの温泉は特別だ』って言ってたでしょ。もー」


「あ、そっか……」


 アツト達は独特の入浴を楽しみ、疲れをリフレッシュしたのであった。




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