34話 ゴーレム式スーパートレーニング!?
「へへ、参りました……」
アツトはスーアの強さ、そして自分の未熟さをわからされてしまった。ただ寝そべって空を見上げるだけのアツトを見て、スーアはある提案を持ちかけてきた。
「俊敏性と魔法が武器……だが、それだけでは勝てない敵も今後多く出るかもしれない。ンザカが丁度パワーを鍛えるために修行を始めるところだ、よければ一緒にやってみないか?」
「修行……ですか?」
「そうだ、ゴーレム族に伝わる秘伝の修行。体験するだけでも、何か新たな発見があるかもしれんぞ」
「新たな発見だって! やってみようよ、アツトくん!」
「そうですよ、運動は健康に良いって聞きますし!」
ルクスとルワもその秘伝の修行を勧めてくる。正直アツト自身も、今のままこれから勝ち進めるなんて考えていない。アツトの結論はすでに決まっていた。
「それでは、修行をお願いします!」
「……よし、それではついてくるのだ!」
スーアは訓練場への道を進みながら、この村の文化やゴーレム族の特徴などを教えてくれた。日本などとは違う部分がかなり多くてアツトはややちんぷんかんぷんになってしまったが、大きな特徴としては2つある。
まず1つ、この村は工業や建築が盛んに行われており、特に工業による気候制御システムはこの山周辺の地域の人々が元気に暮らすために必須のものらしい。
そして2つ、ゴーレム族は寒さに弱いということだ。物理攻撃や火や風などを受けるのは得意だが、水や氷などといった攻撃は苦手らしい。
つまり、その気候制御の調子が悪いということは、やがて自分達の首を絞めうるということになる。スーアはアツト達の鍛錬を後押しするような表情を見せているが、本当は勇者だと言い伝えられているアツト達が最後の頼りかのかもしれない。
アツトは昔から、「必要とされること」が少なかった。だから自分の価値は無いものだとこの世界に来るまでは考えることも多くあった。
だが、今はこのように人から必要とされている。また、人の力に慣れるかもしれない。
アツトにとってそれはとても嬉しいことで、同時に動くための原動力にもなっていた。アツトのモチベーションは、これまでにないほど溢れていた!
5分ほど歩いただろうか、岩肌には巨大な扉が建てつけられている場所に到着した。スーアはその重そうな扉を開いて中へと招待する。
「さぁここが訓練場! ゴーレムのような肉体を作り上げるぞ!」
「ここが、訓練場……」
中は巨大なスポーツジムといったところだ。ダンベルやバーベルのようなものもあるし、栄養補給のためか軽食を販売しているところもある。そして、何やら見たことのない機械のようなものもずらりと並んでいる。
「ここではボディトレーニングに栄養補給、そして身体組織の解析など……我らが強くなるための技術を詰め込んだ場所だっ!」
「わぁ、すごいです! 早速私もやってみまーす!」
「ん? ちょっと待て、大丈夫か?」
ルワは好奇心旺盛で、早速5kgのダンベルに手を伸ばす。しかし、巨大なカブでも抜くかのように精一杯持ち上げても全くダンベルが動かない。ルワも必死にダンベルを持ち上げようと奮闘するが……その軍配はダンベルに上がった。
「ひええ、やっぱり私達エルフは力が無いですぅ……」
「ハッハッハ、最初は自分に合う重さからやればいいさ。例えば勇者様なら……これとかっ!」
スーアはアツトに5kgのダンベルを2つ手渡してきた。普段運動をしないアツトにとって、これだけでもそこそこ重いと感じる。
「さぁ、始めるぞ! ゴーレム式、スーパートレーニングを!」




