29話 ゴーレムのンザカ
「助けて、くれるのですか?」
ンザカはキラキラとした目で3人の方を見てくる。どうやら本当に救世主が現れるのを心待ちにしていたようだ、ルクスは屈んで目線をンザカに合わせて笑顔で語りかける。
「うんっ、任せてよ! とっても強いんだよ〜私達!」
「っ……!」
「あれ? どうしたの?」
「……い、いえいえ、ありがとうございます! ほほほ、本当に嬉しいです!」
ンザカは顔を赤くしながらもピョンピョンと跳ね回る。どうやらかなり嬉しいようだ、その様子はとても微笑ましい。
「ンザカくん、顔赤くなっちゃってる! かわいいなぁ、アツトくんもあんな感じならよかったのに」
「オ、オレ関係ないじゃん!」
「フフフ、アツトさんも顔、負けず劣らず赤く染まってますよ!」
「や、やめてー!」
盛り上がるアツト達の周りを3周ほどを回ったところでンカザは立ち止まり、山の上の方を指差す。
「この山を少し登ったところに、ゴーレム達の村があるんです! そこまで案内いたします!」
「……おぉ、この急な山を登るのか……」
アツトが山を見上げると、大きな大きな斜面がアツト達を睨み返してきた。並程度の装備や体力では間違いなくリタイアしてしまいそうなほどである。
一方、アツト達の服装は特別登山に適したものではなく、至って普通の普段着だ。冷静に考えれば分かりそうなことだが、ここにきて自らの装備を後悔し始めた。
「やっちまったなぁ、この装備じゃかなり苦労する」
「あぁーアツトくん飛べないからねぇ……だからスーツの購入をあれほど提案してきたのに」
「アツトさん……この世界のことが分からないなら従うべきですよ、私達に」
「な、ならおんぶしてよ! ルクスさんオレを持ち上げる力あるじゃん!」
「あのねぇ、あれは魔法。一種のスタミナを削らないといけないのよ? そこは《《おんぶしてください》》、でしょ?」
「……お、おんぶを……して、くださ――」
「もー、子どもじゃないんだから歩きなさいよ、もうボク何歳?」
「じゅ、じゅうろく……って言わせないでよ! 恥ずかしい!」
アツト達が《《言い争っている》》のを見かねたのか、申し訳無さそうにンザカは間に入ってきた。
「あ、あの……よかったらだけど」
「……ん?」
「ボクの得意技、変形。これでオフロードカーになるので、それで登るのはいかがですか」
「えっ、そんなことできるんだ! 見せて〜」
「……は、はいっ! そそそ、それでは!」
(この世界にもオフロードカーってあるんだ……)
ンカザは地面に両手を突っ込むと、どんどん周りの土や石がンザカに纏わりついていく。それに合わせてンザカは大きくなっていく。
「はああああああああああああっ!」
ンザカは気合いを入れる。すると、巨大化はさらに勢いを増していく。
バキキキキキキキという音を立てながら、そこに《《誕生》》したのは、立派な1台のオフロードカーであった。
大きなタイヤに頑丈そうなボディ、アツトの世界に存在する《《それ》》と遜色ない。
「すっげぇ! マジでオフロードカーだ!」
「よし、それでは乗ってください! ボクの意志で動くので操縦は必要ありません!」
ンザカはハザードを焚き、プップとクラクションを鳴らす。自動でドアが空き、空調が作動する音がした。
「よし、じゃあ行こ! 私達の力、見せつけてやるんだから!」
「あぁ、やってやろう!」
アツト達はンザカに乗り込み、山道を走りだした。




