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24話 さむ〜いギャグは氷魔法!?

「ねぇ、ルクスさん。この世界にオレみたいな人間ってどれくらいいるの?」


「うーん、かなり珍しいし、架空の存在って考える人もいるくらいだね」


「へぇ、でもその割にはオレ、周りから何も言われないけど」


「まぁ見た目似てるからね、エルフとかサキュバスとかと。他人のことをそんなにまじまじと見るわけでもないし」


 アツトとルクスは世間話をしながら駅に戻っていた。行きは無我夢中で兵隊に着いて行っていただけにそこまで気にしていなかったが、かなり距離がある。何より、暑い。


「てか、それより暑すぎない? 日本の夏みたいだよここ」


「まぁ、火山の近くだからね。それより《《アツ》》トくん、《《あつ》》がりなんだね!」


「ハハハハ! ルクスさん面白いです〜!」


 ルクスのギャグに大笑いのルワ。一方アツトは今のギャグの笑いどころが分からない。これって“ダジャレ”とか“親父ギャグ”とかだよな? 念のため、ルクスに聞いてみる。


「今のって……ウケ狙ってた?」


「え? そうだけど。最先端のギャグだと思うよ?」


「そうですよ〜。アツトさん、笑いのセンス無いんですか〜?」


 ……衝撃。どうやらこの世界では親父ギャグがかなり面白いネタ扱いらしい。世界が違うだけで、こうも笑いの形は違うのか。でもこれで面白い扱いなら、オレの方が絶対面白いぞ。アツトの顔には、そういう考えが表情として出てしまっている。ルクスもそれに気付いたようで……


「なぁに? アツトくん。自分のほうが面白いですーみたいな顔しちゃって」


「えぇっ!? まぁ、オレの世界ではさっきのギャグ、古典的と言うか、なんと言うか……」


「じゃあ見せてよ! おーい街の皆ー! 今からこの! 世にも珍しい人間、アツトくんが面白いこと言いますよー!」


「えー! 私、楽しみー! アツトさんお願いしまーす!」


「うわ、クラスに1人はいるヤツの悪ノリかよ……!」


 街中の視線がアツトに集中する。ざっと数えただけで2,30人はいる。こりゃスベったら地獄だぞ……


「え、あれってもしかして異世界の人間?」

「へぇ〜、珍しいよありゃ」

「異世界のギャグ、見てみた〜い!」


「え、やばくねこれ」


「「アーツート! アーツート! アーツート! アーツート!」」


 さ、最悪だ……。でもここまでくりゃ、やるしかない!


「……えー、それでは。ショートコント、『ピザって10回言って』」


「アツトくん! ヒューヒュー!」


「えーっと、ピザって10回言って」

「イイヨー! ピザピザピザピザピザ……」


「ヒューヒュー!」


「それじゃあここは?」

「ヒザー! ヒッカカルモンカァ!」

「ブッブー! 正解はわかめでぇーす! なぜならボクはみそ汁星人☆」

「アチャ-! マッチガッエター☆」


 やりきったぞ、オレは。しかし待っていたのは地獄だった。誰一人笑っていない。ルクスもルワも、街行く人たちも。これなら親父ギャグを適当にやっておいた方が良かったか。

 顔がひきつる。全身の体温がゾーっと引いていく感覚がする。穴があれば入りたい。


「……ヒューヒュー……アツトくんおもちろーい」


「うるっせぇ! 逆に恥ずかしいわい! 布団にブットーーーーン! ってダイブしてそのまま寝たい!」


「……アツトくん待って、中止! 見てあれ!」


「……え?」


 ルクスが指差すは街に流れる運河。ベネチアに流れているような運河だ。なんとアツトの言い放ったギャグのせいか、川が凍りついているのだ。


「えっ、あれオレがやったの? え? ……えーっと、後悔してももう遅い、オレは天才の魔法使――」


「おい、運河が凍っているぞー!」

「何だ、また事件かー!?」


 遠くからガチャンガチャンという音が響いてくる。先程と同じ、兵隊が走る音だろう。間違いなくこっちに向かってくる。このままでは運河を凍結させた悪人として処罰されるかもしれない!


「……アツトくん、ルワちゃん、逃げるよー!」

「えぇっ! 待ってください〜!」

「ワ、ワケ分かんないわああああああ!」


 アツト達は兵隊に見つからないように、急いでその場から逃げた。

 


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