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怪物

作者: 雛
掲載日:2021/09/04

『やあ!兄弟!今日は随分と何かを決意してここに来たって顔だなぁ?


それはそうと、死は誰にでも訪れる人生のエンディング。そうは思わないか?


すれ違った知らない人、上司、家族、恋人。


みな平等に、いずれは死ぬのだ。


ゆえに、近い未来、100年後には今生きてる全員に死因がある。当たり前だ。


さて、ここから見渡せる人たちはどんな風に死ぬと思う?


駅前、公園。歩く人々はまるで死のパレードだ。


あの疲れた顔のサラリーマンは自殺だろうか。


あの家族は、子供がお父さんを巻き添いにして川で溺死するかもしれない。


あの可愛いお嬢ちゃんは悪い人に連れ去られて……。


ああ!今まさに犬に引っ張られた女性が轢死するかも!


そうとも。死は何者にも平等に、突然やって来る。


それなのに、目の前の人がどんな風に死ぬか。


もとい、どんなエンディングを迎えるかなんて考えたこと無かっただろう?


では、本題に移ろう。


ほら、鏡だ。映っているのはもちろん君自身さ。


さあ!君は!鏡に映る自分を見てどう死ぬと思う!


君が死ぬ時、隣にいるのは誰だ!


その人は泣いているか!それとも死にゆく君を嗤うか!


君の目に!君自身はどう映る!


安らかに!穏やかに!死ねると胸を張って言えるか!


考えたことがあったか!今まさに死ぬかもしれないのに!


おっとすまない。少しばかり熱くなりすぎてしまった。


まあともかく、先輩の僕から言わせてもらうと、君の考えは極めて幼稚だね。


想像してみろ。強い衝撃。痛い。苦しい。歪んだ身体。


這いつくばる僕の顔を蹴り上げて「次は失敗するなよ」と囁く怪物の声。


さあ、僕と一緒に考えようじゃないか。怪物にはどんなエンディングがお似合いか』


「ああ、そうだね。そうすることにしよう」


その方が面白そうだ。


俺は手に持っていた遺書を破り捨てた。

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