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塵壺の底  作者: みみつきうさぎ
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第一話「新月」


(序)


 丑寅の峠は、将軍のお膝元、江戸より遥か遠く、「みちのく」へとつながるあづま街道のほぼ中央から分岐する笹葉街道に位置する。霊峰層雲山塊の尾根筋だが、ここは国境くにざかいではなく、山津波によって廃道になるまで青葉藩から笹場藩の銀山を経てから束稲藩へと続く古街道の一部であった。

 関は廃道になると廃れるものだが、この丑寅の関は、そこに至る沿道まで多くの青葉藩の武士たちが詰めている異様な雰囲気を醸し出していた。まるで戦に赴くような出で立ちをした侍や足軽たちのどの顔にも疲労の色が濃く浮き出ていた。

 門を隔てた遠くのさざめきが、関の近くに這い寄るに従い、泣き声や悲鳴へとその質を変えていった。



「切られたぁ!」

「右腕がぁ、わしの右腕がぁ!」

 鎧を着込んだ侍たちに抱え込まれたざんばら髪の雑兵らはうめき声をあげていたが、傷が深い者は汚れた泥の下にのぞく肌が蒼白く変色していた。

「酒で傷口を洗え」

「こいつはだめだ、助からぬ、捨て置け」

「七番組がまだ戻らぬ、誰か、誰か知っている者はいないか」

 五体の一部が欠損した男たちの太い悲鳴が錯綜する中、道のはるか奥から獣に似た叫び声が続く。

 陣前に出した床几に座ったまま、天岩戸をこじ開けるがごとく大身の明石右近は動かない。


「五の柵が破られました」

 横に控えていた老家臣の長兵衛は、間断なく飛び込む悲報にまんじりともできない様子で、右近の顔色を何度も伺っていた。

「右近様、いかがいたしましょう」

「まだだ、五の柵を抜けられたくらい、あの位置より、少しでも下げてみろ、機を見て奴らはこちらになだれ込んでくる、あと半刻だ、両の腕を無くしても最後まで引かなかった者には褒美を、傷一つ無く逃げ帰りし者には死を与えよ」

 長兵衛は右近の言葉をそのまま一語一句変えず、伝令の者に伝えた。伝令を命じられた将兵は、再び藪に延びる道を脱兎のごとく駆け下りていった。

「ここは陣が遠すぎる、これより一の柵まで我が陣を進めよ」

 異論を唱えようとした言葉をのみ込んだ長兵衛は、声をうわずらせながら周囲の将兵に陣替えを命じた。右近は黒字に梵字が箔押しされた軍配を長兵衛に押し付け、太刀持ちの兵より大刀を受け取った。

「右近様!」

「長兵衛、心配無用、奴らの尊顔を覗き見るだけよ」

「おやめください、もし、右近様に何かあれば」

「わしが死ねば、ここにいる者らもおぬしも共に死ぬるだけよ、ぬしも片倉衆ならば、九曜紋に恥じぬ働きを見せよ」

「ははぁ!」

片膝を地面に突き、顔を伏せる長兵衛を豪快に笑いながら、右近は大刀を手に、一抱えもあるほどの太い丸太で組まれた柵の扉を押し開いた。

「生あるうち、この目で黄泉の国を見ることができるとはのぅ」

 右近の高笑いは、雑兵の悲鳴のわずかな隙間に消えていった。








第一話「新月」


(一)


 戦国の時代はとうの昔に終わり、葵のご紋の将軍のお膝元、お江戸八百八町は、多くの民の活気であふれていた。


 この町でひときわ賑やかなところといえば、下町の九尺二間の長屋一帯で、井戸の周りには乳飲み子を背負った女が噂に興じ、仕事にあぶれた職人くずれたちは縁台などを出し、将棋や囲碁などを打っていた。

「おぅい、十太郎さん、遊んでおくれよぅ」

 鼻下に水鼻の汁あとを付けた男児や、子守を言い付けられている女児は、破れ障子を直す風も見せぬ一件の玄関先に集まっていた。

「うるせぇなぁ、この前、独楽こま作ってやったろう、もう無くしやがったのか」

 寝ぼけ眼のお世辞にも立派とは言えない着流し姿の青年が、頭を掻きながら障子戸を開けた。子供たちは十太郎の顔を見るや取り付くようにして喜んだ。

「竹とんぼの作り方、教えてくれるって言ってたじゃないか、おいらたち、ずぅっと十太郎さんの帰ってくるの待っていたんだぜ」

 十太郎は信濃から、帰ってきたばかりの朝であった。口入れ屋の元締に頼まれたつまらない書物などを相手方へ届けに行くことがほとんどで、どれもたいした金になる仕事ではないが、月に五回も遠方へ使いに出れば、その日暮らしの独り身の十太郎にとっては、贅沢さえしなければ十分暮らしていける給金をもらえた。

 当然、遠方で起きた色々な話は知っていたので、それを漫談でも聞きに来るように、子供のみならず大人たちも十太郎の狭い家にしょっちゅう押しかけてきていた。そこでまたいくばくかの野菜や魚などがもらえたので、この長屋は十太郎にとって、なかなか快適な住居でもあった。

「だめだめ、今日は信濃から帰ってきたばかりで、眠いんだ、明日、明日な」

「えぇっ!約束したじゃないか、帰ってきたらすぐに教えてくれるって!」

「約束ってぇのは、証文や相手がおぼえているからできるんであって……」

 十太郎が真顔で説明しようとしている間に、子供たちは十太郎の家に上がり込み、草紙などを手にゴロゴロとし始めた。

「ったく、しょうがねぇなぁ」

子供たちは十太郎のことをとても好いていた。何を特別なことをするということでもないが、時折、教えてくれる文字の書き方や算術の解き方を聞くのが大好きであった。十太郎が疲れていることを子供たちも知っていたので、こういう帰宅したばかりの日は、積み重なった草紙を子供同士で文字を教え合いながら静かに過ごしていた。

 そして、十太郎はその横で大いびきをかいて寝続けるのであった。

 だが、その日は安穏な時間がすぐに途切れた。

 口入れ屋の六道三右衛門の家から使いの小僧が息せき切って家の中へ飛び込んできた。

「十太郎様、手前どもの主人から急用のお呼び出しです、すぐに店まで来るようにとのことを言付かりました」

「そんなに慌てて、何かあったのかい、まだ、碓井の峠越えてきたもんで、足腰に疲れがたまっちまってるんだが」

「そこは十分、主人もご存じだと……ただ、すぐにとのことで……」

 小僧のオロオロし始めている様子から、これは急用に違いないと十太郎は思った。

「分かった、すぐに行くと伝えておくれ」

 小僧の表情はすぐに明るくなって、一礼も忘れていくほど、長屋の土間から走り出て行った。

「お前たちも、読み本の時間は終わりだ、続きが読みたかったらくれてやる」

「十太郎さん、またお使い?」

 子守の少女は、お伽草紙の写し本を十太郎の枕元に戻しながら、心配そうに聞いた。

「ああ、あの感じだと次も遠くだな」

 子供たちは、一斉にため息をついた。

「早く帰ってきておくれよ、この長屋に十太郎さんがいないと寂しいんだよ」

「お前、調子いいなぁ、そこまで言うなら留守の時、掃除くらい頼むぜ」

「まかせておけよ、小鶴ちゃんなんか、十太郎のお嫁さんになりたいっていつも言ってるんだ」

 そう言う男児の背を子守の少女は、頬を赤らめながら叩いた。

「男のおしゃべりは嫌われるぜ、それに小鶴は別嬪さんだ、お前の方こそ後で後悔すんなよ」

 男児の頭を軽く小突きながら微笑む十太郎は羽織を片手に、小僧の後を追って長屋から急ぎ足で出て行った。




(二)


 この日は、人足頭や他店の番頭がたむろする表口ではなく、裏口から案内された。大体このような時は、おおっぴらに出来ない仕事と相場が決まっていた。

 屋敷の主人、六道三右衛門は、江戸市中を束ねる口入れ屋の元締の一人であった。幕府内では各藩から依頼される土木工事や普請などの人集めにその情報力や財力を発揮し高い信頼を得ていた。当然、裏の世界にも名が知れ渡っており、殺しとご禁制の輸出入以外は、六道の息がかからない仕事はないとまで噂されていた。

 十太郎が通された強く香が焚かれた間には、先客がいた。

「よぉ九蔵、お前さんもこんな抹香くせぇ所に呼ばれたのか、こりゃ、一筋縄ではいかない仕事ってことで決まりだな」

 話しかける十太郎へ、髪を後ろ手に束んだ片眼鏡の男は静かに礼をした。

霧雨九蔵という名の青年の家は、代々、ある藩の剣術指南役であったということは十太郎自身、どこかで耳にしていた。お取りつぶしの混乱の中、仕事を求めてこの江戸に出てきたところを、腕の良さを見込んだ六道に拾われたと聞いている。

「福島家の乱、以来でござるな」

「あれから何してたんだい?一緒に酒でも飲もうかとさがしてみたものの、姿、形ありゃしねぇ、都の方に行ったとは聞いちゃいたんだが」

「志明の山にこもり、百日修行の毎日」

「かぁっ、てっきり島原の芸妓としっぽりやってるんじゃないかと思っていたぜ」

「お主とは違う、だが、言付けもせず、江戸を離れていたことについては、お詫び申す」

「いいって、俺にだって人に言えねぇ事情はいくらでもあらぁ」

 十太郎は、この無愛想な男となぜか気が合っていた。九蔵の方も自分とは性格の違うこの明るさに好感をもっていた。大体、この二人で組んだ仕事は、隠密まがいの危険な仕事と決まっているのが常であり、命をも失いかねないものばかりであった。それ故に、口では言い表せない信頼関係が生じたのも不思議ではない。

「お待たせしましたな」

 二人が控える部屋に多くの手代を連れた老爺が入ってきた。背格好も小さく、仏のような微笑みをもつこの男を見て、それが江戸の元締の一人と思うものは誰もいない。

「お前たち、下がってよい、ここからは、このお二方とゆっくり話をしたい」

 手代たちは、統率された動きで部屋からすぐに退出していった。

 普段、六道から直接、仕事を依頼されることはないが、このように目の前で話すということは、それだけ口外できない、いわば幕府直々のものであることが多い。

「今朝、大切な男を亡くした……お二方にも死に目に合わせたかったのですが、あまりにも逝くのが早すぎた」

 この香は死臭を消すためのものであったことを、十太郎はようやく気付いた。

 三右衛門はすぐに立ち上がって、隣の間を隔てたふすまを開けた。香の臭気が十太郎の鼻の奥を突いた。極上の絹布団に白い打ち覆いで顔を覆われた男が寝かされていた。

「分かりますか、韋駄天の平助です」

 打ち覆いを取った男の顔は原形を留めないほど浮腫に覆われ、耳や鼻は腐り落ちていた。三右衛門は白布をかけ直した。

 十太郎と九蔵は驚愕した。

 平助と呼ばれたこの男とは何回も仕事を共に行っていたが、優しい目をした好青年であった。仕事の腕は忍の出と自称するだけあって、どのような仕事でも鮮やかな動きでこなす仲間内でも一目置かれる三右衛門の一番の懐刀であった。だが、その面影は目の前にある遺骸からは想像も出来ない。

「この屋敷に戻ってきた時、いや、関を抜けてきた時は、傷ついてはいたもののいつもの顔でした、だが、手代に連れられて屋敷に戻った頃には、ほら、この通り」

「花柳病にしちゃぁ、進行が早すぎる、はやり病でもこんなのは聞いたことがねぇ、医者は何か言っていたんですかい」

 香の中に強い死臭が漂う。

「この姿を見た瞬間、部屋から出て行きましたよ」

「元締も危険なんじゃぁ……」

 そう言いかけて十太郎は言葉を止めた。どのような姿であれ、これが彼自身の義理立てた弔いの仕方なのだと思った。

 十太郎は、枕元まで近付き、線香に火を付けた。ほのかに揺れる蝋燭の影に、一瞬、白い布が動いたように感じた。

「元締め、平助は亡くなったんですよね」

「ああ、今朝方、みまかったことに間違いはございません」

「そうです……か……」

 打ち覆いに隠れた平助の口の辺りが動き、猫が喉を鳴らすような音をたてたように聞こえた。

「平助、お前……あの世から戻って来たのか……」

 十太郎の下にいながら、三右衛門が珍しく驚いた声を上げた。平助から発せられたように聞こえるうめき声が部屋の中に広がり消えた。

(念仏?ただの屍息じゃねぇな)

 九蔵も気付いたが、その声のような音はすぐに消え、口から流れ出す膿汁が、打ち覆いの白布に大きな円状の染みをつくった。

 もう平助が動くことはなかった。

「教えてもらえませんか元締め、平助がやった仕事ってぇのを……」

 三右衛門を立たせながら、十太郎は平助の遺骸を見つめた。

「よろしいですが、聞いたとなるとそれこそ、お二方にお引き受けいただかなければなりません」

 三右衛門は顔色一つ変えず、そう言いながら自分の着衣の乱れをただし、二人に向きなおった。

「やっていただけますか」

 彼の言葉に力がこもった。

「もちろんのすけです」

 十太郎の返事は、三右衛門が拍子抜けするほど軽いものであった。

もっと話を聞いてから決めるのが普通の者の反応だが、この男らはそういうことにあまりこだわることはない。

三右衛門もそれを知っての安い芝居である。

「『桃宴とうえん』という地はご存じでしょうな、桃のうたげと書く」

(とうえん?)

 十太朗は何かの読み物でその地名を聞いたことがあったが、すぐには思い出すことができない。そこは自分の商売上、知らないとは簡単に言えない。

「えっと……うーん」

「知らぬなら、正直に知らぬと申せばよい」

 何かを少しでも話そうとする十太郎に九蔵が助け船を出した。

「これはとんだ恥をかかせてしまいました」

 申し訳なさそうに頭をはじめに下げたのは三右衛門の方であった。十太郎は顔を赤くして、三右衛門が面を上げるまで、床にひれ伏した。

 九蔵が静かに答えた。

「みちのく笹場銀山ふもと、笹場城下として栄えたところでしたな」

「その通りでございます、九藏様、よくご存じで、その名のごとく、古街道が通じていた頃は山桃の名所もあるご城下でございました、ただ、その華やいだ地も今は土の中、街道途絶えし今は、『丑寅の関』によって厳重に閉ざされております」

三右衛門は膝をそろえ二人に向き直り、ことの起こりを静かに語り出した。






(三)


 江戸を出てから十三里、十太郎と九蔵は、古桜名所の『識神の社』に道中の無事を祈願し終えた後、沿道の茶店の縁台で名物の団子と桜茶で一服していた。

二人の姿は、これから遠方まで旅に行くとは誰もが思わないほどの簡素ないでたちであった。

特に十太郎などは、小さな風呂敷包みこそぶら下げてはいるものの、それこそ隣町の風呂屋にでも行くような紬の着流し姿であった。また、腰に巻いたままの羽織の下紐には、兜割と呼ばれる短い刀を差してはいるが、これなどは十手や拵え物に近く、刃さえも付いていない代物である。

「九蔵さんや、元締めが言っていた『丑寅の関』の話は信じているのかい」

(『丑寅の関』の向こうは黄泉の国、そこから連れ出していただきたい者がおります)


 記憶の中の三右衛門は真顔であった。

 焦げた醤油団子を頬張りながら、十太郎はそう言って行き交う人の流れに目をやった。

「拙者は、自分の目で見たものしか信じぬ」

「それは場合によって信じるっつうことだな、元締めの屋敷で見た平助、イザナミの姫様に接待を受けたって、人間、急にああはなりゃしねぇ……」

「知らぬ……ところでお主は、もう気付いておるな」

「ああ、どこかのネズミだ……三匹ってぇところだな、あんな目立つ姿じゃ追手にもならねぇ」

「四匹だ、左の反物屋の前にいる商人姿の男、ただの店の者にしては動きが気になる」

「お前の目の良さは、猫以上だな、猫、そうだなぁ猫男っていうあざなはどうかい、身のこなし方からもしっくり似合う」

「断る」

「へへっ、冗の字に決まってらぁ、いざとなったら奴らに丑寅の化け猫の餌にでもなってもらおう、さっ行くか」

 遠くから傘をかぶった紋付き羽織姿の男たちは、十太郎たちが再び歩き始めると、一定の距離を空けて後を追ってきた。

 二人は本庄宿の旅籠『板東屋』に投宿した。この宿は、古くから三右衛門の息がかかっている宿である。

 常連客の十太郎は愛想の良い主人に飯盛り女をしつこく紹介されたが、長旅で疲れていることを理由に断った。そして、いくばくかの銭を握らせ、街道から一番離れた部屋をとってもらい、誰も近付くことがないよう頼んだ。

 十太郎はささくれた畳の上に、三右衛門から預かった大ざっばな墨の線で描かれた地図を広げた。

「明日はこの辺から裏に入る、何、慣れた道だ、心配あるめぇよ、明後日には、鳴滝の関を通り、あとは青葉藩のご領地までは、半月もかからずに裏街道でぶらぶら行ける、だが、そこからが問題だ、青葉牡丹のご城下だけは絶対に避けなきゃなんねぇ」

「九曜紋の片倉だな」

「ご名答、あそこだけは、このご時世になっても、まだ、戦の香りがそこかしこからプンプンと臭ってきやがる、俺も三年前の仕事では、危うく牢にぶち込まれるところだった」

「大筒の数を調べるやつか」

「ああ、実際、俺の分を調べ終わったか終わらないうちに、別の組の連中は全員ひっ捕らわれて磔よ、どこで話が漏れたかなんぞは分からねぇが……な」

 十太郎の話を途中まで聞いていた九蔵は愛刀を引き寄せ片膝立ちの姿勢になった。十太郎は音も立てずに、壁側に背を向け、廊下を隔てたふすまの一枚に手をかけた。

「でかいネズミさんのおなりだ」

 十太郎がふすまを開けると、昼に見かけた紋付き羽織を着た侍が狭い廊下の中央にかしこまっていた。その後ろには抜き身の刀を持つ二人の侍が控えていた。

「あいや、失礼をいたした、お前たち、早く刀をしまえ、この両人、お前たちの腕ではかないそうにない」

 齢三十を過ぎたばかりの男は、血気盛る後ろの男たちに刀を鞘に収めるように命じ、頭を深く下げた。

「どうかお侍様、表を上げてくだせぇ、町人身分のものとしちゃぁ、居所が悪くなりやす、ささっ、あまり広い部屋じゃありませんが、どうぞ、お入りくだせぇ」

 殺気が消えたことに気付いた十太郎は、かしこまる三人の侍を部屋の中に招き入れた。

「そのご紋は相模国の……」

「いかにも、相模国凰おおとり藩のもので、拙者は、鷹田康三郎と申す、この者たちは、砂田実之助、もう一人は、土呂勝之進です、これまでの様々なご無礼をお許し願いたい」

「手前は……」

「影月十太郎殿と霧雨九蔵殿、六道様より聞いておりました」

「あのじじぃ、俺たちに黙っていやがったのか」

「いえ、六道様に口止めするようお頼みしていたのは拙者共の方です」

 九蔵は眉一つ動かさず、十太郎と侍の会話を聞いている。

「そのお侍様が、どうして俺たちのようなもんを」

「『丑寅の関』、その先で何が起きているのかを藩をあげて調べているのですが、多くの使者は戻らず、挙げ句の果て幕府からは、関向こうの国との往来を禁じられました」

「凰藩とその関の関係とは?」

「深くはお話しできないのですが、現当主、崇宗様の御母君は丑寅の関の向こう、笹場家の出でございます、諸国の行商に詳しい者がいるとの噂を人づてに耳にし……」

「道に迷って、行き着いた先が、六道のじじぃってぇ訳かい、ただ、俺たちは関抜けをするつもりはありませんぜ、そんなことしようものなら、獄門台に首が並んじまう」

「ごもっとも、いくら当主の命であったとしても、関抜けは重罪です、まして藩士であれば、藩お取りつぶしの良い口実にもなりかねませぬ」

 藩士が差し出した書状は三右衛門の書いたものに違いなかった。陰文で彼らを青葉領内まで案内するように書かれていた。

「で、俺たちを頼ってきたってことかい、ひい、ふう、みぃ、あれもう一人のお仲間は?」

「拙者共は、もとより三人です」

 十太郎には、この真面目を絵で描いたような藩士が嘘をついているようには見えない。

 十太郎と九蔵は目を合わせた。

 もう一人の男、いや二人以上の追跡者は、この凰藩士を観察しているのかもしれないと十太郎は思った。

「同道はかまいやしませんが、お侍様のその紋付き羽織の格好じゃ目立ちすぎる、これからここの主人に頼んですぐに用意させやしょう、それまで荷はこの宿で責任持ってお預かりしやす、丑三つ時には、ここを出るようにいたしやす」

「十太郎殿は泊まらぬのですか?」

「いえ、泊まるふりをするのです、それと殿はやめてくだせぇ、十太郎と九蔵で結構です」

 十太郎の部屋には、まだ蝋燭の灯が揺れている。

 二人と三人の藩士は、示し合わせた通り、丑三つ時の闇に紛れ、この宿場町から姿を消した。








(四)


 街道外れの刑場には、多くの人だかりができていた。竹柵の向こうには磔台が五本たっており、どの台にも、ふんどし姿の男が大の字に縛られている。

 陣笠をかぶった見届け役の若い侍は、この男らが『丑寅の関』を越えようとしたこと、領内の民家に押し入り、米、味噌の類いを盗んだ行状を朗々と読み上げた。

 傾きかけた陽の光は、辺り一帯をあかね色に染めあげ、近くの枯れた木々の枝には、黒くつややかな羽をしたカラスが五羽、六羽と騒がしく鳴いている。

「ありゃ、ありゃ」

 台上のざんばら髪姿の男らは、執行人が自分たちの目の前で槍を合わす様子を力ない視線で見ていた。執行人のかけ声を合図に、男たちの脇腹を槍が貫いた。野次馬たちの中には、手を合わせ念仏を唱える者もいたが、ほとんどはそこで繰り広げられる芝居でも見るように、やんやと喝采した。

「むむ……」

 その様子を見ていた康三郎の目は怒りに燃えている。

 手ぬぐいのかむりを頭に巻いた十太郎は、身体を震わす康三郎の肩越しから小声で話しかけた。

「旦那、お気持ちは分かりやすが、ここでバレちまう訳にゃいきませぬ、このまま黙って去りやしょう」

「しかし……あの者どもは」

「わかっておりやす、旦那のお知り合いだっていうことも、旦那たちよりも先に凰のお殿様より命を受けてたっていうことも……ただ、ここで野郎二人が騒ぎを起こしたって、すぐにあの景色の良い場所にふんどし一丁で縛られちまうのがオチでさぁ、このことはお仲間の砂田様や土呂様にゃ黙っておきやしょう、あのお二人は手前どもと同じ若すぎやすからね」

「許せ……」

 磔台で息絶えたかつての仲間に康三郎は手を合わせ、十太郎に引かれるように刑場を後にした。


 少し山に踏み入った場所に鎮座する荒れ社では、九蔵と若い二人の商人姿の男が、町の様子を見に行った十太郎と康三郎の帰りを待っていた。

 商人姿の男たちは、なかなか戻らない二人の帰りを心配し、探しに行くかどうかを相談している。板壁に背をあて座っている九蔵は目を閉じている。

「えい!九蔵、やはり鷹田様が心配だ、拙者はこれより街道まで探しにまいる、すぐに供をせぇ」

 砂田はそう九蔵に命令し、軽挙をいさめる土呂の言葉を無視し、立ち上がった。

「砂田様、ご安心召され、十太郎はもう社のすぐ外にいる」

 九蔵が声をかけた時には、十太郎と康三郎は荒れた社殿の中に飛び込むようにしながら入ってきた。

「だめだめ、さすが、九曜片倉の青葉領内、一の宿場から先は裏道でも危ねぇ、また藪漕ぎの毎日だ」

 十太郎は仕入れてきた米や塩の入った袋を床に置いた。刑場からの帰路の間、鷹田は顔をこわばらせたままである。

「康三郎様、どうされましたか」

 砂田と土呂はすぐに鷹田の表情の暗さに気付き声をかけた。

「むむ、何でもない、少し考え事をしておった」

 十太郎はそう言う鷹田をちらりと横目で見て、九蔵の正面まで歩み寄ると大きくあぐらをかいた。

「旦那は気付いちゃいねぇが、街道沿いまで農民、町民の姿をした見張りがびっしりよ、この米を売ってくれた主人まで、よそ者にゃ手形の一枚でも見せねぇと売らねぇなどと言いやがる」

「幕府への謀反でも引き起こすつもりなのか」

「わからねぇ、だが、聞こえてくる町人共の言葉の中にゃ、消しても消し去れねぇ西国や北陸なまりが混じっている、つまり、その分、他国からの間者の数もべらぼうってもんよ、でなぁ、おまけに宿場前の沿道にゃ、たいそうな数の提灯だ」

「提灯?」

「罪人の首提灯、夜になると獄門首の上に立てられた百目蝋燭に火が灯るらしい」

「つまらぬ見せしめだ」

「ああ、古今東西、馬鹿のやることにゃ、ついていけねぇよ」

「して、康三郎殿にも何かあったな」

「つい一刻前、先客だった昔のお仲間も提灯へとあいなった、あの旦那方も軽率な真似しなきゃいいんだが……」

「武士のことわりだ、我らのような小者が口を挟むこと、はばかられる」

「ほぅ、お前さんにもそのことわりってぇもんはあるのかい」

「先代がとうの昔に塵壺へと捨てててくれた……それで、お主はいつここを立つつもりだ」

「もう少し地の筋を知りたいところだが……目立った動きを見せたらすぐにお提灯だからな、お前こそどう考える」

「任す」

「余計、間違えることができなくなっちまったなぁ……ここの神様にでもすがるかね」

 十太郎は蜘蛛の巣のかかる奥の神棚に目を向けながら腕を組み、手ぬぐいで蒸れた頭をふいた。


 その日は、フクロウの鳴き声がやけに境内に響く晩であった。

 康三郎と二人の従者は、九蔵と十太郎が寝息を立てているところを確認し、三人で荒れ社から発とうとした。

「お待ちなせぇ、旦那、そんなに死に急がねぇでください」

 呼び止める十太郎の声に、今まさに表へ足を踏み出さんとしていた康三郎は足を止めた。十太郎は背を向けたまま横になっている。

「十太郎殿、すまぬ……だが、これは当藩の問題、こちらにも……」

「武士のことわりってぇやつですかい、無理に止めやしやせんが、ズク(フクロウ)共がやけに騒がしい晩です。こんな夜に動くのは、余計に怪しまれるだけでさぁ、朝一にしなせぇ、旦那にゃ悪いですが、お三方でどうにかなるというもんじゃなく、一度、お城に戻られ手勢を増やしてからでも遅くはありやせん、それと……最後に聞かせていただけやせんか、旦那たちが『丑寅の関』を越えたい理由を……あ、いえ、話せないと言うのであればそれでも結構です」

「信頼できるお二方になら、これだけはお伝え申す、あの関の向こうは真の『地獄』、その地獄を調べること、それが我らの主命です、これ以上の子細については、お許し願いたい」

 鷹田は十太郎の問いに正直に答えた。

(元締めが『黄泉の国』と言ったのも間違いじゃなさそうだ)

 フクロウの声が止んだ。

(気付かれたか……)

 十太郎は少し警戒しながらも話を続けた。

「ありがとうごぜぇやす、その答えだけでも十分でさぁ、外には草がはびこっていやす、それも夜になるとやけにうごめく草でさぁ、このご領内にいる間だけは、決してお侍様の体を見せてはなりませぬ、今、旦那は旅籠代を浮かそうとしている行商見習いというお役目、そこだけはくれぐれもお忘れなきよう……」

「かたじけない」

 十太郎が心配していた何者かの動きはこの晩見られなかった。凰藩士らは十太郎の言われた通り、朝霧の中、いずこかへと消えた。

「九蔵さん、どう思う」

「武士は信念を曲げるようなことはしない、特に若い二人、あの者らには死相が見える」

「阿呆ばかりの今の侍の中にしちゃぁ、あの旦那は随分とできたお方だ、何とか相模まで戻ってほしいもんだが」

十太郎と九蔵は三人を見送った後、境内奥の裏山の杣道へと足を向けた。

 次の日の朝、砂田と土呂の真新しい首が、街道沿いの獄門台の上に整然と並べられていたことを二人は知らない。

(五)


連銭葦毛の馬上には、鎧姿の青年が多くの足軽や武具を載せた車を引き連れ、街道筋を下っていた。足軽はそれぞれ長い槍や種子島(鉄砲)を携え、その数たるや、見る者すべてが、すぐに戦が始まるのではないかと思うほどのものであった。

一番先頭を進む巨漢の青年に、後ろから同じく鎧姿をした初老の男の騎乗する馬が近付いた。

気配に気付いた青年は、手綱を操り、自分の馬をその男の馬に併走させた。

「遅かったな、長兵衛、昨日の者らは?」

「二人は捕らえましたが、一人は取り逃しました、もう一組の二人連れの男どもも目を離した隙に、層雲山の奥へと……取り逃がした捕り手頭には切腹を申しつけました」

 その言葉に青年は、にやりと笑った。

「介錯は」

「ありませぬ、臆病者ゆえ切り口が浅く、亡くなるまでたいそう苦しんだとのこと」

「当然、これで他の者も一層気を引き締めるであろう、我らの事に失敗は許されぬ、して、その者らはどこの間者だ……」

「石を抱かせても口を割りませんでした、そうそう手もかけられないゆえ始末いたしましたが」

「『丑寅の関』の向こうに宝の山があるとでも思っているのであろう、馬鹿な奴らよ」

 青年と男の向こうには緑深い山々が連なる。その奥に笠雲のかかる一際急峻な山塊があった。

「見えてきましたな層雲山が、天下無双の右近様が、参るとなると関守共も両手を挙げて喜びましょう」

「楽しみだ、あそこならば心おきなく血を見ることができるからのぅ、我が太刀『玄武切り』も疼いておるわ」

「心強きお言葉でござる」

 そう言い、長兵衛は馬の位置を右近より下げた。沿道には農作業の手を止めた領民たちがひれ伏している。右近は馬を進めながら若い娘の前で馬を止めた。

「娘、表を上げい」

 家族と並ぶ娘は震えながら顔を上げた。

「長兵衛、この娘に今宵の伽を命ずる」

 怯え、いやがる娘を家来たちは抱え、すぐに犬のように娘の首に荒縄を巻いた。

 止めることができない父母の前に、長兵衛は小判を一枚放り投げた。

「ありがたく頂戴するがよい、我が主人は初物が好みなものでな」

 小判を餓鬼のように地面から拾い上げた農民の両親は大喜びし、連れて行かれる娘の哀しむ顔を無視するように、長兵衛へ深々と頭を下げた。



(六)


 笹の茂みをかき分けながらの縦断は、悪路に慣れている十太郎たちにとっても、重労働であった。

ここ青葉領内の警備網が、想像していたよりも厳重に張り巡らされていたことに二人は驚いた。人間用の罠や鳴子がこんな山奥にまでと思うような場所にまで、四方八方に仕掛けられていた。

 百丈もの崖下に流れる赤水の沢沿いに広がるマタギさえ寄せ付けない樹海に立ち入ること六刻、足下と頭上を交互に見ながら慎重に歩を進めていく二人。

陽はもう既に西に大きく傾きかけており、緑の葉を神無月の紅葉の如く朱色に染め上げていた。

「今日は新月だ、明るいうちに距離を稼ぎたいが難儀だなぁ、平助は本当にこの道を抜けたのか」

「あの者が入ったのはもう一年も前のこと、その頃はここまでひどくあるまい」

 二人の声をかき消すように、仙人が遊ぶと噂される『十段の滝』の轟きが深山の谷間にこだまする。


 笹藪をかき分けた先にわずかに足跡がある杣道が見えた。

「九蔵さん……道が手招きで呼んでる、だが、罠ってぇ名のうわばみに呑まれるのが目に見えらぁ」

「ああ、丁寧すぎる」

 罠を警戒した二人は一度、藪の中に戻り、少し離れた所を道に沿うように歩いた。

「これだけの守りってぇことは異国のご禁制の品にでも手を染めているのか、それとも『阿芙蓉(阿片の意)』の宴でも繰り広げているのか」

「だが、拙者は鷹田殿が言った『地獄』という語が気になる、平助は骸であって骸ではなかった」

「死んでいて生きているのか、生きていて死んでいるのかって、その答えを平助に聞き忘れたな、何にしても、俺たちは鬼退治の『桃太郎』か『大江山』ってぇ芝居をしなくちゃなんねぇってことか、どうせなら『竹取』の方が好みなんだがなぁ」

 十太郎が一歩踏み出したとき、鳴子が揺れ、乾いた音を立てた。

「すまねぇ『テグス』だ、裏をかかれちまった」

「いつものこと」

 わずかな夕日の光が、十太郎の足首にかかる山繭蛾の幼虫の腹からとれる細い透明な糸を照らした。

「こんなことなりゃ、裏の裏をかいて、楽な道を歩けば良かった」

 ぼやきながら十太郎は、かかった糸を近くの笹に結び付けた。

「どちらにしても、捕り物が始まる、拙者が前になろう」

 九蔵は周囲の様子に気を配りつつ、藪の中を進んでいく。

「すまないねぇ」

「今に始まったことではなかろう」

 二人は互いに目で合図しながら、山の稜線を目指し藪の中を野ネズミのように駆けた。



(七)


「あの『赤水の沢』を抜けたのか」

 川田長兵衛は、下人からの報告に舌を巻いたが、すぐに落ち着き、質問した。

「して奴らは」

「我らがたどり着いた時は、『十段の峰』を越えておりました」

「すると、既に丑寅の地に踏み入れたということか」

「はっ、申し訳ございません」

「良い、どうせ越えたところで、骸共がいる、下がって良い」

 下人は音を立てずに、頭を低くしたまま後ろに下がり、そのまま庭の闇に消えた。

 長兵衛はすぐに着替え、右近のいる部屋と向かった。

 右近にとって村の娘の身体を苛むことは、畦に鳴く雨蛙を踏みつぶすことと大差なかった。

「何用だ、長兵衛」

 離れた廊下から声をかけようとする前に、障子の向こうにいる右近が声を上げた。

「昼に話した二人の男、『十段の峰』を越えました」

「ほう、あの峰を越えるとは、幕府の手練れに違いあるまい、まぁ、抜けたところで、生きては帰ってこれぬ、丑寅の地とはそういうところじゃ、放っておけ」

 娘の中で果てた右近は、吸い付くようにかい抱いていた娘の身体を疊の上に突き飛ばし、体液で濡れる身体に夜着をはおった。

「この娘に褒美を与え下がらせよ」

 長兵衛は、懐から小さな鈴を出し、一度だけ短く鳴らした。

 闇から現れた下人たちは、右近の部屋からぐったりとうなだれた裸の娘を軽々と運び出した。

「もう、どれだけ死んだ」

 大蛇の頭のような逸物を出したまま、右近はそう言って、寝具の上にあぐらをかき、キセルを手元に寄せた。

「二百と七人、腕自慢の浪人たちを多く集めたはいいが、あまりにもあっけなく討たれております、ご家老衆は、ご公儀に謀反の疑いをかけられるのではないかと、気にして膳のものも喉を通らぬとか」

「馬鹿馬鹿しい、そのようなことを気にしていたら、我が藩がお取りつぶしになる前に、つぶれてしまうわ、浪人たちの死骸を沿道に順にさらしておけば良い、公儀の犬共がしっかり数えてくれるわ、明日の討ち入りは巳の刻だな」

「順次、腕利き揃いのマシラの七番組に先陣を命じました」

「お前の勝算は」

「まず負けることはないかと」

 自信ありげに答える長兵衛の答えを右近は一笑に付した。

「逆よ、七番組くらいの腕ならば奴らの良い獲物だ、皆に伝えておけ、死処に向かう侍ならば相手を二人討ち取ってから死ねと」

「恐れ入ります」

 月のない天を仰ぐ右近の鬼のような形相に長兵衛はひれ伏した。


 そして右近は今、丑寅の地、黄泉の中にいる。



つづく



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