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8:通学路?

「遅刻、遅刻!」


 朝日が差し込む通学路を、自分はスタタタと小走りで行く。

 朝食に飲んだ牛乳がまさかの賞味期限切れで、トイレに缶詰め。

 せっかく早起きしたのに、思わぬ形で遅刻の危機に陥ってしまった。


 しかし、いくら遅刻しそうだからといって、がむしゃらに全力疾走するわけにもいかない。

 なぜなら、アレックスが通学路に何かしらのトラップを仕掛けてる可能性があるからだ。

 トラップ。

 例えばトラバサミなんかを自分が通りそうな路肩に設置していて、それに引っかかっている間にアレックスの傀儡と化した連中が自分を袋叩きにして殺害。

 再び、あのおぞましい川に召喚され、異世界へ連れていかれるかもしれない。


 なので駆け足になりつつも、罠にかからないよう地面に視線を落としながら学校へ向かっていた、その時!


 ドン!


 自分は、何か壁のようなものに勢いよくぶつかった。

 視線を上げると、ダボダボのスーツのポケットに手を突っ込み、金色のネクタイを締め、頭をツルツルに剃り上げた「いかにもヤクザ」という感じのガタイのいい男が立っていた。


「ああん、こら! テメェ、なにちょーしこいて、ぶつかってきてくれてんだオラ!」

「すいません、異世界トラップに気を取られていたもんで」

「はぁ!? なに言ってんだこら! さっさと詫びの一つでも」


 そう言って、目の前のスキンヘッドは今にも殴りかかるようなテンションで自分に詰め寄る。

 だが、次の瞬間!


「痛ってえええええええ!」


 突然、スキンヘッドは情けない声を出して、右足を抱えてピョンピョンピョン。

 見ると、右足にはいた革靴の底に、大きな五寸釘が深々と突き刺さっていた。


「やはりトラップがあったか」


 もう少しタイミングがずれていたら、五寸釘の餌食になっていたのは自分だっただろう。

 深手を負ったところをアレックスの手下が強襲、あるいは傷口から異世界のウイルスが侵入して殺害。

 再び例の川に召喚され、異世界に連れていかれるところだった。


 しかし、自分の代わりに罪もないスキンヘッドの男が犠牲に。

 アレックスめ、目的のために一般人を巻き込むとは、猿の風上にも置けないやつだ。


「おじさん、この道には異世界トラップがめっちゃあるから、気をつけて! あと、その足に刺さっている釘には異世界のニュアンスを含んだ何かしらの毒やウイルスが塗られている可能性があるから、すぐに病院に行ったほうがいいよ!」


 と、自分はスキンヘッドの男に「釘を刺して」、スタスタと学校へ向かった。

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