第一層・チュートリアル
数秒大きな音が轟いた後、人の声が聞こえてきた。
「さて、今ボス戦が終わり、大部分の人間の感情値がマイナス方向に動いている。当然と言えば当然だが、この程度で落ち込んでもらっちゃ困る。なぜなら、ボス戦が終わった時点でチュートリアルが終了しプレイヤー保護が解除されるとともに、エネミーの進行も今以上に活発になる。そして、激動の宴が始まる。」
そう言い再び静寂が訪れた。
その言葉はプレイヤーを困惑させた。
しかし、チュートリアルが終わるってどういう意味なのだろう。
チュートリアルは普通に考えると余裕をもってクリアできるのがゲームでは普通なはずだけど。
それにプレイヤーの保護が解除されるって今どんな保護を受けているかすら分からないのに、それを感じろっていうのは何なのか。
そんなことを考えているとき、大声で泣きながらこちらに男が向かってくる。
その男の後ろにはゴブリンの群れが居て、今にも追いつかれそうだった。
ボス戦を見て思ったが、このゲームのモンスターはかなり知力が高い。
だから、敗走が成功する可能性はないだろう。
思った通り男はゴブリンの連携で背中を切られ死亡。
そこで、異変に気付いた。
男が持っていたアイテムポーチが落ちている。
そして、ゴブリンのレベルが上がった。
アイテムドロップと経験値の獲得が全生物に適用されているという事だろうか。
つまり、死んだプレイヤーが始まりの門に戻るように敵も死ぬとどこかに戻るのか。
と、考える暇は与えてくれない。
男を倒したゴブリンはこちらを標的に移し戦闘態勢に入っている。
ゴブリンのレベルは5以下、数は6体。
戦闘未経験が多いこのメンバーで勝てるのか分からないが、クロウが先陣をきってゴブリンに向かっていく。
それを見て、レッドとラトイアが追いかける。
現状で武器を持ってるのはクロウだけ。
それ以外は初期装備の木の棒で戦う。
敵は歪だが木の棍棒や斧、ナイフを持っている。
何も持っていない個体が2体、その2体を狙って周囲に落ちていた石を投げる。
連携させる可能性を減らせば何とかなると信じて、注意を引き続ける。
後衛系希望のメンバーで2体相手し、前衛職で4体相手する。
クロウを起点に隙を見て蹴りを入れたりして少しずつダメージを与えている。
そして、クロウが斬り飛ばしたゴブリンをレッドが踏みつけ撃破。
それからは数の差でゴブリンを倒し、各自経験値を獲得した。
そして、初レベルアップ報酬というものがアイテムポーチに届いており、欲しい武器が一つ選べるようになっていた。
この報酬は、俺とエルシスしか貰えていなかった。
その武器と、ゴブリンを倒した時に手に入れた歪なナイフや棍棒、斧をどうやって配分するかで話し合っていた。
話し合った結果として出た答えは、武器を持ってないラトイアに棍棒、レッドに斧残りのナイフをレアとミア。
しかし、この世界で武器を手に入れるには敵を倒すか報酬で手に入れるしかないのか。
そうなると、装備をそろえて敵と戦うには敵を倒し続けて集めるしかない。
装備ドロップや素材ドロップはあるんだろうけどボス戦をやっていた人たちでさえ、武器と防具一つしか装備していなかった。
素材を手に入れてもどうしようもないしとりあえずは敵を倒して手に入れるしかないのか……
話がつながってるかとか心配になってきた