第一層・ボス戦
表示されたエクスクラメーションマークを押してみると、システムメッセージと題されたメールが届いていた。
内容は……
『ボスバトルが開始した、観戦希望者は下のアイコンを押してください』
と。
ボス攻略されるかどうかも気になるし、どんな姿なのかも気になるし、他のプレイヤーの戦闘の仕方からいろいろ学ぶことができるだろうし。
という事で、パーティ内で話し合い全員で観戦することにした。
~ボス戦~
俺たちと同じ8人パーティで、前衛5人、後衛3人の安全を第一に考えた構成になっている。
更に、対峙しているのが、通常のゴブリンの3倍ほどの大きさのボスと思われるゴブリンキング。
その周囲には、ゴブリンが10体は居るように感じる。
しかも、レベルが18と恐ろしく高い。
その上、武器も各個体で違うものを持っており、ハンマー、スコップ、バール、円盾、剣、刀、のこぎりなど様々。
肝心のボスは、両手に自信の体格を大きく超えるタワーシールドを持っていて、鎧まで装備している。
タメージを与えるにはかなり苦労するだろうと考えながら見ている。
見合ったまま、数秒経ってからボスが咆哮を上げ開戦ののろしがあげられる。
その後直ぐに周囲に居たゴブリンが一斉にプレイヤーに襲い掛かる。
襲い掛かったゴブリンは前衛五体、後衛五体という編成で突っ込み、前に居るゴブリンは盾を前にしている。
よほど戦いなれているのか、編成に乱れがない。
盾を持ったゴブリンと前衛プレイヤーが衝突しつば競り合い状態になっているところに、後衛ゴブリンが前衛ゴブリンを踏み台にしてプレイヤーの頭上から襲い掛かる。
その後、ゴブリン10体と前衛の5人が戦い後衛の3人で回復をしながら戦っているが、形勢は非常に悪い。
数もそうだが、レベル差が5以上もあり回復がぎりぎり間に合っていない。
更に、キングが全く動いておらず、いつ参戦してくるのかと気にしているだろう。
観戦カメラを切り替えると、キングを中心にしたアングルになり青々とした背後の木々もくっきりと映し出された。
その映像のキングは少し笑っているように見えた。
確かに数の差やレベル差があって優勢なのは分かるけれど、回復無しのゴブリン側は体力が徐々にレッドゾーンへ近づいている。
それでもなお、笑っていられる訳は何なのか。
何か策があるのだろうか。
そう考えて、カメラを変えようとしたその時、木々に紛れて何かが動いた気がした。
それが何なのか、プレイヤーかモンスターか、プレイヤーならこの中継を見て場所を特定して奇襲を狙っているのだろうが、そういう行為ができるのか。
それが出来るという事になれば横取り行為をする輩が増える可能性があるし、何よりやられた側のプレイヤーが怒り報復なんてことになるかもしれない。
その結果プレイヤーキルなんていう行為が行われるようになる可能性もある。
戦略として奇襲を組み込むなら事前に作戦とか立ててシミュレーションした上でやらないと無意味になる……
そして、ボスの背後でまた何かが動き、動いていたものはボスの真後ろ辺りで動きを止めた。
それは、奇襲の準備ができた合図とも受け取れた。
その後動き出さないのは、合図を待っているか隙を窺っているのだろう。
そんな状況だからなのか、いつ動くのかと気になって目が離せない。
油断していそうなキングを仕留めようと行動を起こすかと予想していた私の読みは全く違っていた。
そう、動いたのはキングだった。
キングが叫び、前で戦っていたゴブリンが下がった。
それを見たプレイヤー達は追撃する人と下がる人で別れた。
バラバラになった前線はすぐに崩れる。
だが、ゴブリンはその前衛達を攻撃せずキングの前まで下がった。
追撃してきていた3人のプレイヤーは立ち止まったゴブリンを見て自分達の置かれている状況に気づき少しづつ後ろに下がっている。
そこに、矢が飛んできた。
プレイヤー達は急な襲撃に対応できず被弾する。
その襲撃によって3人のプレイヤーのHPはレッドゲージまで低下し回復をしようと5人で近づいているがそうしている間に第二射が先ほどとは別の場所から降り注ぐ。
見えない敵が何体いるかも分からず、攻撃がどこから来るかも分からない状況に後衛を守る前衛二人がパニックになりかけつつ前進する。
しかし、孤立した三人は矢の襲撃の後、最初に戦っていたゴブリンの攻撃が再開され既に瀕死、次攻撃を受けると死ぬ。
それを見たヒーラーが一人走って近づいて行くが、矢の襲撃を受け死亡。
だが、そこで疑問が出てくる、そのヒーラーは体力がMAXな状態だったはず……
にもかかわらず一瞬で死亡したのはなぜか。
そんなことを考えていられない戦闘中の残り七人のうち四人は戦っている前衛を捨て敗走し始めたがそれを見過ごされるはずもなく矢で打ち抜かれ死亡。
残った三人も、その後すぐに死亡した。
これを見ていたであろうプレイヤー達はどう思ったのだろうか。
少なくとも私たちのパーティはみな無言でうつむいている。
私たちが居るここも既に森の中、危険がないわけではないがこの雰囲気を打破する言葉が出てこない。
言葉が出てこないなら行動を起こせばという事でいざ立ち上がろうとしたとき、静かな森に大きな音が轟いた。
次話は週末か来週中に。
載せるはず……
はやく読ませろって起こってもいいよ……