第一層・ゴブリンの里
ゲーム内に転送されたプレイヤーたちは全員門の前に居た。
その門は大きく、中央には羽が八本の天使が掘られている。
その門を前に皆は話をしている、友人同士の者やプレミア当選者同士のコミュニティ内でいろいろ話してたのだろう。
三万の人全員が入ってたわけではないけれどそれなりに活発なコミュニティだったと友人が言っていた。
中には非当選者もいたらしいけれど。
そんなことを考えて時間が過ぎ、8時になったその時、門が光り輝き門から何かが浮き出てきた。
それは、扉に掘られていた天使。
敵かNPCかも分からないプレイヤーたちは武器を持って構えている。
それを見た天使は微笑み、言葉を発した。
「ようこそ、ここはアイアンメイデンの入り口。内部は魔物が住む鉄の牢獄。そして地獄に住まう悪魔の所有する拷問具。悪人などを入れて中の魔物が悪人をいたぶる。」
そう説明し天使は両手を広げ。
「Protect Fly」
そう呟いた、するとプレイヤーが光だして宙に浮かんだ。
「Teleport」
更に呟くと、天使と共にプレイヤーが少しずつ消えてゆく。
宙に浮く無重力感や、突然消えるなんて不思議なものだと思い下を見ると、森が広がっていた。
そこには緑色のモンスターと思われる物が多数徘徊している。
中には争っているところも。
それを見ていると天使が話し始めた。
「ここは第一層のゴブリンの里、ここにはレベル1のゴブリンと階層を支配するボスであるゴブリンキングが住んでいる。そのボスを倒すことで次の層へと進むことができる。また、この世界にある木や石を使って家を建てることも可能だ。その家を拠点に人を募りギルドなるものを立ち上げるもよし。ちなみにギルド設立の申請は第五層にあるギルドホームへ直接行かないとできない。申請するまでは只の家という扱いになり何の恩恵も受けられない。また、加入、除隊に関してはギルドホームで行う事が可能だ。」
と、更にこう言い付け加える。
「この牢獄は弱肉強食な上に住むモンスターは億を超える。さらにリアルの世界で最高峰のAIが組み込まれたプログラムによって外国語も聞くだけで意味が分かるようになっています。さて、そろそろ指定の時間になりますので、最下層を少しだけお見せします。」
最下層を見せると言った瞬間また転移したのか景色が変わった。
真っ暗な寒い場所。
偶に光る青白い焔。
戦闘音や遠吠えも聞こえる。
「ここは地獄宮、名の通り地獄を代表する魔物がここに住まう。彼らもまたレベルは全て1となります。これで伝えてくれと言われた情報は最後になります。質問が有れば答えてもよいと判断できるものであればお答えしますよ。」
「おい、最下層もレベル1ってどういうことだよ!」
や、何層あるのかなど様々な声が上がるが答えてくれる様子はない。
その時、最下層クリアすると何があるのかという声が上がり、天使がそれに反応した。
「そうですね、この地獄宮、別名Heaven’s Gateをクリアすると天国へ行く事が出来ます。その天国は何なのかは答えかねますが、その天国を見ることで答え合わせをしてください。」
そう言い終えた天使は右手でメニューを開き何か操作し話す。
「ジャスト8時30分これでゲーム開始前の説明は最後です。また、今後初めてゲームを始める人たちは私に会う事は無いでしょう。というわけでこの後、門を開けこの牢獄を彷徨いなさい。ではサヨナラ」
サヨナラと言われた後、天使の姿が消えプレイヤー達が居た場所が光だし気が付いたらアイアンメイデンの入り口の門の前に居た。
ここが始まり。
扉は今、問題なく開けられた。
門の先は新緑の森、少し目を凝らすと緑色のモンスターが歩いている。
初期説明で色々説明が流れているがほとんどの人がスキップして走って森の中へと消えていく。
ルールブックなしでこんな何があるのかわからない世界を歩くなんてありえないわ……
内心でそう思いながらルールブックを捲る。