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お母さん、ありがとう

作者: minako

もう七年前になります。私の母は、66歳でこの世を去りました。

いつも元気で、よく怒り、でも友達のような母が急にいなくなったのです。

私は、シングルマザーで子供が二人おり、当時娘は、高校一年生、息子が中学一年生でした。

私は、仕事をしており、母の家の近くに住んでいました。息子は、母にすごくなついており、家にはあまり帰って来ず、母の家にいました。

母は、本当に働き者でした。

昔から、父の営むクリーニング屋で仕事をしていましたが、思うように行かず、他にも仕事をしてました。

そんなとき、東海豪雨に合い、店は、ぐちゃぐちゃになり、店を閉めることになりました。それからと言うもの、店の機械などのローンが残り、母は、色々と掛け持ちしていました。

私は、母の近くにいたら、負担となると思い、私は、子供たちと引っ越して、二ヶ月、兄からの一本の電話。

「母さんが倒れた」「え?お母さん?」「お父さんじゃなくて?」

私は、意味が分からず、夜電車で病院に向かいました。電車の道のりは、とても長く、いち早く現状を知りたくて、頭の中で色々考えていました。

病院に着いたら、待合室に兄がいました。

どのくらい待ったのでしょう。看護師から名前を呼ばれて救急センターの部屋に入りました。

「お母さん?どうした?」私が声をかけると、母は「わからん、なにも」「私のことわかる?」「わかるよ」しかし、名前がでてきません。

先生から、呼ばれました。

母の病名は、脳出血、治ったとしても、左半身付随になると言われました。

みんなは、何も言えませんでした。

家では、父が息子と待っていました。

兄が言うには、夜、ご飯を食べ、お風呂に入り、息子とテレビを見ていた、立ち上がろうとしたら、よろめいたが普通に歩き、お手洗いに行ったら、バタン!!と音がし、母が、泣いて「立てない」といい、救急車を呼んだようです。

先生の話を聞いてから、母の元に戻りました。母は、不安そうでしたが、「お母さん、大丈夫、すぐ治るよ」と励ますしか出来ませんでした。

次の日、母の様子を見に来ました。母とは、娘と三人でランチ、12月に南座で歌舞伎を見に行く約束をしていました。

母は、「12月行けるかな?」「大丈夫、早く元喜になって行こうね」と伝えましたが、私は、もう涙がでてきて、テラスまで行き、泣いてしまいました。

日に日に母の記憶が薄れ、母は、苛立ち、リハビリもしていましたが、うまくいかず、私に当たるようになりました。

その翌日、母は、嘔吐が止まらず、個室へと移りました。

私は、心配なので、泊まると言ったのですが、母は、「帰れ!」といい、心配でしたが、看護師に頼み、帰りました。

その夜中、私は、心配ながら、うとうとしていたとき、病院からの電話。兄の大声、「母さん、急変した」みんな飛び起き、病院へ

すると、母とは、もう、機械によって呼吸をし、ただ横になっているだけ、なんで?どうして?

先生から、「処置をしましたが、脳死の状態になりました。もって、2、3日です。」私には、なにがなんだか分からず、母を見つめていました。「お母さん?どうした?どうしたの?」反応は、ありません。母は、ICUに入り、私は、泊まりで毎日母に話しかけました。母の大好きなSMAPのCDを兄が買ってきて、毎日聴かせてました。

毎日が長く、三日くらい経った頃、先生からのお話、「これ以上延命を続けますか?」兄と私が悩んでいたとき、子供たちから臓器提供の声が、「学校でならった、臓器提供したらいいんじゃない?そしたら、おばあちゃん、誰かの中で生きてるでしょ?」そう言われ、兄と臓器提供すると決断し、日本臓器ネットワークの方からお話を聞き、母の腎臓二つを提供すると決めました。そして、臓器移植の日が、やってきました。

夜中、みんなで、ICUに行き、全員で母の最期をみとりました。

母の臓器は、二人の方に提供され、元気になられたそうです。

母が、亡くなって一年、まだ悲しみがなくならないころ、娘に、一つの命が宿りました。娘は、まだ、高校生でした。私は、産まない方がいいと、思いました。父も反対でしたが、娘は、「これは、きっとおばあちゃんの生まれ変わり、だから私は、産む」と決心し、1ヶ月半早く産まれましたが、元気な男の子が誕生しました。

その子も今は、4歳になりました。

みんな、元気に暮らしているのは、天国のお母さんが見守っててくれるからだろう。

お母さん、本当にありがとう。

これからも、みんなのこと、見守っててください。

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