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捜査本部と汚れた椅子と新人捜査官

久しぶりに書きました

すこし疲れました。

鑑識が遺留品の収集を終え、遺体を司法解剖にまわすために東城医大に搬送した。

捜査員は新宿警察署へと移動し捜査本部を立ち上げた。警察署の大会議室に設けられた本部には所轄署の刑事と警視庁の刑事とで綺麗に通路を挟んで別れる様に座っていた。



本部には橘も到着しており捜査資料をぶつぶつと声を出しながら読み上げると同時にこの光景に頭を抱えていた。



「なぁーんで、こう綺麗に別れるかな?」



決して仲が悪いわけではないはずだがどこかしこりが少し残っている。


捜査一課三馬鹿トリオはそんなしこりについて知らず空いている席に座る。

しかもこの席は通路を挟んだ席で龍一と下川は警視庁の刑事が座る方へ吉野は所轄署の刑事が座る方へと座った。

吉野は所轄署員の視線を感じ取った。


「こんにちは」



所轄署の刑事の「哀れーなオーラ」が身にしみてくる。


だが、吉野は「ここは、譲れない」という変な意地を張ってどっしりと構えて席を立とうとしなかった。


「あっ。あのなお嬢ちゃん」とある古参所轄刑事に声をかけられた。



「そこ、カップ麺で汚れてるんだよ。」

吉野はお尻の違和感に覚えがあり、ゆっくりと椅子を見るとカップ麺のネギがくっついていた。

下川と李は可哀想にという目線を送った。しかし古参刑事はそんな二人に声を再びかけた

「あのな、若いの。そっちにも汁が飛んで汚れてるんだよ。 悪いけどそこ以外で座ってくれんか?若いのに椅子持って行かせるから」



李、下川は椅子に違和感を覚えゆっくりと腰をあげると椅子にチャーシューと麺の欠片がそれぞれくっついていた。

つまり、決して仲が悪いわけでわはなくその椅子を避けようとして別れて座っていて、気がつかなかった三人は、顔を見合わせてだんだんと元気をなくしていった




すまんなぁ



という顔で古参刑事と所轄署刑事は三人を見合わせて橘の顔を恐る恐る見た。

橘もウンウンと首を振り三人を哀れな目で見た。

椅子が届くまで三人は死んだ魚の目で捜査会議に臨むがそのせいで捜査本部の空気も淀んでしまった。



「えっと、警視庁捜査一課長の橘だ。今回忙しい中捜査会議に参加してくれてありがとう今回の事件の概要の説明をしてくれ。」


先ほどの古参刑事が手を上げてゆっくりと腰をあげた。


「新宿署の河野だ、先程は済まなかったね。

仏さんの名前は南宗平、52歳。歌舞伎町2丁目の路地にて惨殺死体として発見されており、両手首と両足首さらには首にそれぞれロープで縛られている。 そこまでしか今は分かっていない。以上です」



次に手を上げたのは浅野と下川だった。


「捜査一課の浅野と部下の下川です。ニューハーフの金子アンダーソン、本名は金子光によると愛犬マリリンと散歩のため店を出たすぐは死体は存在していませんが散歩から帰宅すると遺体が存在し、マリリンが発見した模様です。」



さらに、下川は英語で書かれた怪文書について説明を行った



「次に壁に書かれていた英文についてですが簡潔に訳すと

(あなたへ。あなたに小さな贈り物を贈らせて、あなたを愛するものより)と書かれていました。そこまでしかわかりませんでした。以上です」


次に手を上げたのは、いかにも肝っ玉女性鑑識官であった。



「鑑識の高田です。えーと遺留品は特に見つかりませんでした。ロープについては市販のロープでなくどちらかというとサバイバルや登山者向けの特殊なロープでした。科捜研からの鑑定は血液中に多量のアルコールと睡眠薬が検出されたみたい。ついさっき司法解剖の所見が出てね。致命傷となったのは左胸の傷心臓に達していてそれによる失血死といえるわね。司法解剖を担当した明石っていう若いの先生の話だと左胸に刃物を一回で刺した。肋骨に傷があって形状からいうと…あれなんていうやつかな?さ…さぁ…」


なんだっけかなとぶつぶつ呟く女性鑑識官に向かって三馬鹿は「サバイバルナイフ、サバイバルナイフ、サバイバルナイフ、survivalknife、survivalknife、さばいばるないふ、さばいばるないふ」と小声で伝えようとしたのだがなかなかわかってくれない。


ため息が立ち始めた頃一人の男性が声をだしたのだ。




「サバイバルナイフの事でしょうか?」



しかし、その声は聞き覚えがなく皆後ろの入り口をみた。


上下黒のスーツでネクタイ、白いシャツだがネクタイはしていない。

背筋が良く髪は黒色で短髪でワックスで軽く固めており爽やかな好青年がそこに立っていた。


「申し訳ありません。警備課より配属されました、島津隆久と申します。警視庁捜査一課に連絡したら笹野さんにここにいると言われたもので来たのですが、いきなり入ってきてしまい申し訳ありません。」



李はこの時「こん人右人差し指裏にタコがあるな。射撃に精通しちょっな」と瞬時に見抜いた。


下川は「背丈は179くらいかな?二重だし目はぱっちりおおきめで筋肉質。腹筋割れまくってんのかな。俺なんかシックスパック手前だしいいなぁ」と自分の腹を軽く撫でた。


吉野はアホのため、「この人が橘主任が言ってたSATの人かな?このイケメンっぷりはまさか同性愛の事案発生するんじゃね?やるんじゃね?」と脳内お花畑になる。



この状況を浅野は見抜き島津の顔をみた。



「先輩?」


島津も浅野をじっと見つめた後目を見開いた


「もとじゃん!久しぶりだな」


二人は急に話し始め盛り上がっていった。


「もと!元気だったか?まさかお前捜査一課にいたなんて思わなかったよ。」


「先輩こそ!警備課にいらっしゃったのですか?!また会えるなんて思いませんでしたよ!」


ワイワイと盛り上がったが、橘が声をだした


「同窓会終了!捜査会議に戻るぞ!」


すいませんと二人は苦笑いをし島津は三馬鹿の横に立った。

三人は島津の顔をそっと見て、それに気がついた島津も三人を見て四人は微笑みを浮かべて挨拶をした。


女性鑑識官の話を再び聞き入った、その時吉野は「コレクターかな犯人は?」と呟いたのだ。

それを聞いた古参刑事の河野は聞き返した。


「コレクター?なんだそれ?」


他の捜査員も吉野の方を見た。


「これは憶測なんですけど、犯人は殺人事件で使われた凶器を持ち帰ってコレクションしていると言えます。それ以外にも過去の事件で使われた凶器と同じタイプのものを購入していているのも考えられると思います。」


捜査員も吉野の話を聞いて口々に話し始めた

女性鑑識官も付け加えるように話し始めた。



「確かに、その線はありえそうね。現にナイフは犯行現場になかったし、致命傷の肋骨の傷もサバイバルナイフの傷の形と一致しそうだし」

橘がゆっくりと腰を上げると捜査員に号令をだした。


「よし!所轄署とこっちでペア組んで各自サバイバルナイフの出処、ロープの店を探してくれ。今回は以上とする」


捜査員が一斉に立ち上がる時に李が思い出した様に声をだした。


「あの!()ちゃ南宗平のことなんじゃっどん、どうやらあの路地の所に店を構えて違法風俗バーを経営しちょったそうです。そこでは毎夜のごとく行為をやっちょって犯人もそこで働いていて南に(うら)んを覚えちょったのではないじゃんそか?」



橘はその発言に対して怒りを露わにした


「それを早くに言わんか!ばかもん!」


「すいもはんでした!」


「よーし!李!下川!吉野!その線を当たれ絶対だからな!」


その三人はショボーンとした顔でゆっくりと会議室からでていった。

この、聞き込みに向かうと同時刻に不穏が目を覚ますのだった。


ようやく島津が出ました。

次は不穏が動き出します。


「ユウコチャン、キミノシアワセハボクガカナエテミセルカラ」

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