NO. 32 獣達の戦い
薄緑色に輝く溶液の中から覗く世界はとても不確だ。病的な白さの壁に 天井には奇妙な模様、無数に並んだ彼女の浮かぶものと同じ形の空のポッド、そのすべて歪んだ悪趣味な彫像に見える。どちらが上なのかも下なのかも、浮いているのか沈んでいるのかも不確かになっていく景色の中、唯一動き続けるものを彼女は観察する。それが戦う以外に唯一許された彼女の自由だった。
「――、――」
届きはしないというのに絶えず何事かを口にしながら、目の前の奇妙なナニカは作業を続けている。小さな背丈に身の丈よりも大きさの甲羅、滑稽な印象を抱かせるような機敏さとまるで亀の甲のような分厚い装甲は酷くミスマッチで、造られた存在である事をこれ以上なく主張していた。
「―、――」
試作品番号、D-01385、それがこの存在の名。防御に特化して設計された試作品で、全身の積層生体装甲表面に限定異相空間を展開することで防御性能に限れば後のシリーズをすら上回るが、攻撃性に乏しくまた素体の好戦性の著しい欠如のためプランに不適合。頭の中のファイルにはそれ以上のことは記されていない。
「―――、――」
甲斐甲斐しく世話を焼いているのであろう試作品の挙動を見守りながら、彼女は好奇心を弄ぶ。一体この試作品は何を自分に話しかけているのだろうかと、与えられた知識で思考を巡らす。
しかし、すぐに諦めた。断片的な知識では断片的にしか思考を動かすことはできない。短い間に十数度答えを出して、どうやっても納得できる答えにはいたれず、結局思考そのものを放棄した。そんな事を一体幾度繰り返しただろう、それだけのこと。唯一の自由で、唯一の娯楽、何の意味もないその繰り返しが彼女の世界だった。
自我を持たない彼女はどうやっても一人では答えには辿り着けない。目の前の試作品を期待をこめて見詰めてみても、結局のところ無意味に過ぎないのだ。
「――」
唇の動きは読めない。当然だ、そんな知識は頭に刻まれてはいない。少し右足を引きずっているように見えるが、そこ以外には何の故障も見えない。他にカタログスペック以上のことは見て取れない。試験体から発する脳波は穏やかで楽しげなもので、害意や敵意の類は欠片のほども感ぜられない。いつもと同じ、何の変わりもない。自分が処分した試作品とは当然違う、マスターやあの01とも違う。
いつもこの脳波を感じているとまどろみがやってくる。冷たく肌を焼くようなこの溶液の痛みさえ、忘れられて、心地よい眠りに着く。
意識が消えると同時に、精神までもが洗い流され、不純物が消える。純粋であること、無垢であること、完璧であること、それが彼女に与えられた唯一の役割。例え僅かでも感情は許されない。
与えられた能力のすべてはそのためにあり、人格も情緒もそのために不要なすべてを削ぎ落とされた。”組織”の悲願を果たすために生み出された人造の神の御子、それが彼女だ。
「――――」
少しづつ機能の全てが停止していく。次に目覚めるときには彼女の役割を果たすそのときだ。
しかして、その時は彼女や彼女の創り主の予想よりも早く、そして鮮烈に訪れることになった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そこにあるのはただ沈黙だけだった。夜の大海原は不気味なまでの静けさを湛え、黒い水面は何も映し出しはしない。海中を泳ぐ魚影すらなければ、その痕跡すらない。ここには何一つとして生き物は存在しない。大きく抉られた海底により海流は千路に乱れ、汚染された海水がその穴から周囲へと広がっていく。十年前、この場所で炸裂したギガトン級戦略核弾頭、その影響は今も変わらずに青い海を汚していた。
ここは死の海、バミューダトライアングル。機械の獣が支配する魔の海域だった。
その静寂の中をその獣は進む。その異様を一切恥じることなく、むしろ誇るようにその獣は押し進んでいく。通常艦艇よりも遥かに鋭角な船首。巡洋艦並の大きさを持ちながら駆逐艦程度の厚みしか持たず、後部ばかりが膨らんだ船体、頼りなくすら見える船体を左右の双胴でさえも刃のような鋭さを湛えている。船舶というよりは一つの剣。海を切り裂き、彼女は進んでいく。
約80ノットで海上を駆けるその獣の名は、クテシアス。一角級対艦強襲艦、複合チタン装甲にダイヤモンドコーティングを施した船首とその規格外の速度でもって、敵艦艇の船体に体当たりを仕掛ける、そんな狂った設計思想の元に建造された艦艇、その三番艦が彼女だ。
三隻の護衛艦を引きつれ、彼女は進む。今こそ面目躍如、格納庫で埃を被るだけだった彼女は己が役目を果たそうとしていた。
眼前には浮上しつつある一つの巨大な島、そうとしか形容しようのない巨体。その全長たるや、約60キロメートル。そのすべてを闇さえも吸い込まれそうな黒い装甲に包まれた機械の怪物がそこにはいた。
大気圏外からでも観測できる機械の大鯨、嘗て人類戦役の折、沈没したはずの第一ギガフロート、それがクテシアスが穿つべき大敵の正体だった。
「――こちらの通信にあわせてくるとは、考えたな。しかし、あんな骨董品でこのギガフロートに挑むつもりとは失望させてくれる」
無人の艦橋のモニターに映る映像を見つめながら、イワン・アルダノビッチ博士はそう侮蔑した。どうやってこの場所を知ったのか、何故この時に浮上するのを知っているのか、そんな疑問が湧いてくるが、それを噛み潰し、指示を下す。
このギガフロートはその大きさに反して、徹底的な無人化と自動化を施されている。元より人類の生存と種の保存のために造られた現在のノアの箱舟。人の手が一切介在せずとも、この船は運航することができる。
そして、それは戦闘においても同じ。迎撃に際しての判断、火器管制もすべてAIが担当する。この船に搭載された兵器の数、戦闘能力は他の艦艇などとは比較にならない。人類という種を保存するため、当時の技術の粋がこの鯨に搭載されている、通常戦力なら、世界中のありとあらゆる兵器をかき集めたところで傷つけることのできない攻撃力と防御力を兼ね備えている。
彼我の距離は一キロ弱、何故この距離に近付かれるまで感知できなかったのかは分からないが、そのからくりなどどうでもいい、叩き潰すまでだ。
「――ミサイルサイロを展開、追尾魚雷を射出準備、機雷群を撒布。再潜航まで二分」
「よろしい。飛んで火にいる夏の虫というやつだ、思い知らせてやれ」
「ミサイル及び魚雷を発射、機雷の撒布完了。偏光レーザーカノン、ロック」
船三隻にたいして過剰火力にもほどがあるが、相手が相手。用心に越したことはない。過剰なくらいが適切だ。
装甲表面の模様のようなサイロが展開し、雲霞のごときミサイルがたった一隻の船に殺到する。その一つでも当たれば、護衛艦だろうが巡洋艦だろうが簡単に轟沈できる。
けれども、油断はできない。その最強の盾を打ち破りうる矛が敵にはある。
「――ミサイルは空中で爆散、魚雷は目標に到達せず。第一目標上に膨大な熱量が発生、ミサイルを迎撃しました。データベースに照合、ゼロシリーズサイボーグ、NO.01と確認」
「……当然だな、彼がいなければ始まるまい」
先頭を行く一角獣の船上に奴はいた。震える手を押さえつけながら、画面の向こうの宿敵と睨みあう。前方に散弾銃のようにエネルギーを放射することで、ミサイル群を打ち落とし、海中の魚雷を混乱させた。さすがはあの01、見事な対応力といってもいい。
それでも、所詮は個の力。八割のミサイルは叩き落されたが、残りの二割が護衛艦に着弾した。二隻の護衛艦が炎を上げながら沈んでいく。残る二隻が遅れて反撃を行う、無数の対艦ミサイルが発射された。
「フ、あんな旧式の兵器で何ができる」
「アクティブレーザー稼動、ミサイルを迎撃」
当たったところで装甲に傷がつくわけでもないが、当たってやるほどお人よしでもない。飛来したミサイルをレーザーが焼き払う。この程度の攻撃なら百年続いたところでギガフロートに触れることすらできはしない。
「マザー、標的を先頭の艦に火力を集中。確実に破壊しろ」
「了解しました、マスター。先頭の艦を最優先対象とします。レーザーカノン、発射」
装甲からせり出したレーザーカノンの大砲塔が01に照準を合わせられる。すぐさま充填された大出力のレーザーが海水を蒸発さながら、先頭の艦へと直進していく。
「――当然防ぐか」
赤い光の奔流を白銀の輝きが引き裂く。引き裂かれたレーザーの欠片が海面に落ち、海水が蒸発していく。先端に立った01の右腕、それを覆う永久炉の光の前では大出力のレーザービームでさえ、無力に等しい。このままではあちらがこちらに打撃を与えられないように、こちらもまたあちらを沈められない。
「ミサイルロック、艦側面を狙います」
だが、いくら01が強力でも所詮は一人でしかない。防ぎきれる物量には限界がある、対してこちらは無尽蔵、すぐに限界が訪れる。撃沈は時間の問題だった。
数度続いた攻防の果て、撃ち漏らしたミサイルと魚雷が残らず護衛艦を撃沈し、残る獣も傷だらけ。今だ真っ直ぐ進んでいるのが奇跡のようなものだ。
彼我の距離は三百メートル、怪物の喉元まで迫りながら彼女に限界が訪れる。四基のエンジンのうち二つが火を噴いて停止した。両の足を奪われた獣の動きが鈍り、速さと言う強みを奪われた獣に数え切れないほどのミサイルと魚雷が喰らい付く。ここまでくれば01の抵抗ですら意味を成さない。
瞬間、海原に火柱が立ち上がった。百を越える短距離ミサイルと誘導魚雷による共演の齎す破壊の前ではたかが強襲艦など原型すらも残りはしない。
「目標の殲滅を確認。ミサイルの影響によりレーダー、及びソナーが一時的に使用不可。復旧まで三十秒。敵残存勢力を追撃開始、ドローンを射出」
敵艦の消滅を確認したマザーが追撃を開始する。ダメージを負わせること程度はできたかもしれないが、あの攻撃で01を仕留められたとは到底考えられない。逆にその程度でしとめられる相手なら、”組織”が敗れるようなことはありえない。
モニターの向こうでは、01に反応したであろう機雷が爆発し、次々と水柱が上がる。効果のほどは定かではないが、少なくとも足止めにはなっている。機雷群を抜けても無数のドローンと出撃した空戦型レギオンが足止めを担当する。沈降するまでの時間が稼げればいい、01の能力では深海を進むギガフロートを追えない。後は空間転移で、こちらのタイミングで仕掛けることができる。わざわざ守りに回る必要はない。
「標的を確認。ドローンを包囲陣形に展開、引力ネットで対象の捕縛を試みます」
もしかしたらという思いが脳裏によぎった。このまま全てが上手く運べば、あの01を捕縛することすら可能かもしれない。水中専用の機構を持たない01ならば、可能性は十分にある。現にドローンたちは01の動きを妨害できている。このまま行けばあるいは――。
「目標沈黙、このまま牽引します」
「――そ、そうか。収容後はポッド内に拘束して眠らせておけ、それと彼に回線を繋いでくれ」
捕らえた。あの彼にも、あの総統でさえも倒すことのできなかった、あの01を捕らえた。全くの想定外ではあるものの、大金星には違いない。腹の底から、踊るような歓喜と達成感が湧き上がって来る。これほどの手柄をあげれば、彼を嘲った老人たちも、あの彼でさえも自分の事を認めるに違いない。いや、10建造の功績、選定の成就、この二つの成果を合わせれば次期総統の座さえ夢ではない。このままことが進めば、この世界のすべてを手に入れることすら――。
瞬間、全能感に酔う間もなく、容易過ぎる勝利を疑う間もなく、銀色の翼が海を開いた。
「――目標が急浮上。目標の周辺に未確認の機体を確認、マッハ3.5でこちらに接近。全武装にて迎撃開始します」
「あ、あれはなんだ!? 通常のフライトユニットとは余りにも違いすぎる、あんなもの聞いていないぞ!?」
映し出された映像には彼をして把握していない兵器、その機動、速度は常識の範疇を越えていた。
絶え間なく押し寄せる無尽蔵のミサイルとレーザーを銀翼の鎧鳥は悠然と退ける。力強く羽ばたく度に、周囲のミサイルは全て標的を見失い、空中で互いを破壊してしまう。隙間なく包囲するように照射したレーザーは掠めることすら許されず、虚空を切裂くだけ。巻き起こる衝撃波にレギオンが引き裂かれ、一体残らず海面に叩き落された。
急加速に減速、上昇に下降、旋回にバレルロール、その全てがスムーズに移行し、流れるような動作には一瞬の遅延すらない。
それを実現するのは搭乗者との脊髄接続による脳波リンクとゼロシリーズに使われたものと同じナノカーボン骨格と筋繊維。親和性の高いこの二つの機構が、01の永久炉のエネルギーを100パーセント機体へと伝達する。それによって実現する機動性と追従性は既存のフライトユニットのそれとは比べ物にならない。たとえ、世界最高峰の迎撃能力を誇るギガフロートといえども、そう簡単には捉えることはできない。今この空の支配者は間違いなく、この怪鳥とその主だった。
まるで伝説に語られるルフ鳥のように堂々と機械の怪鳥は空を行く。天空の王者は背に乗せた主の意に従い、夜の空を引き裂き、一直線に突き進んだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「――A01が交戦開始。電波障害が発生、通信不能です」
「周囲の観測を継続。第二段階開始時刻に変更なし。統括官、各隊スタンバイ完了です」
「事前の計画通り高度を維持、場合によっては作戦時刻を早めることもあるから気を緩めないで」
「司令、本部から通信が――」
「無視していいわ。いっそ部隊との通信以外は遮断しなさい」
「は、はあ。しかし……」
大気圏の外、暗闇の宇宙をアルバトロス級空中拠点艦艇はいく。巨大な三角錐のような船体に左右に取り付けられた可変翼は大気圏の内外に関わらず大きな船体をしっかりと支える。航行速度と言う点では劣悪ともいえる性能しか持たないが、その部隊運用能力、防御能力、及び巨体に似合わぬステルス性は傑出したものがある。さらにその最大の利点はUAF開発の空中艦艇の中で唯一、宇宙空間からの地上指揮を可能にしたこと。この作戦の前線司令部としてこの船が選ばれた最大の理由も、その能力にあった。
ギガフロートの索敵範囲は広い。大気圏内であれば必ず捕捉される。だからこそ、光学迷彩で囮の艦隊と01を隠すという手の込んだ事の工作までしなければならなかった。
しかし、単艦での宙間航行を可能とするアルバトロス級艦ならばそんな小細工は必要ない。敵に捕捉されることなく、大気圏内をいく降下部隊の指揮を執ることができる。
空飛ぶ要塞とも呼ばれるその怪物の腹の中が滝原一菜にとっての戦場だ。艦橋内では忙しなく報告が上がり、艦橋正面に広がる投影作戦図の表示も同じように次々に切り変わり続けていく。艦橋の騒がしさは、止まることない戦場の変化を忠実に反映したものだ。
降下部隊の接近までの時間は01が稼いでくれる。囮の艦隊で接近し、ギガフロートの全火力をたった一人で引き受ける。そのためにできる限りの用意をした。格納庫で埃を被っていた一角級を引っ張り出し、新型の試作支援機を01専用にチューンして取り寄せた。方々に借りを作り、法に触れることもしなければならなかったが、その甲斐はあった。一つでも欠けていれば、この作戦は実行することすらできなかっただろう。
映像及び通信は途絶しているが、地上で観測されている戦闘が続く限りは01が健在であるという証左となる。降下部隊が所定の位置に到達するまで、のこり三分。残された三分間で、十重二十重の敵陣を打ち破り、針の穴を通すように突破口を開く。その一瞬を活かすためには、早すぎても遅すぎてもいけない。完璧なタイミングで、完璧な一撃を叩き込まねばならなかった。
「司令、本部の方がどうしてもと……」
「私は忙しいと伝えなさい!!」
無理からぬこととはいえ、イヤなタイミングで横槍が入る。今回の作戦日時と詳細については本部にも南米支部に対しても何一つとして通告していない。特務隊として与えられた独自裁量権の元で行われた独断だ。この政治的にデリケートな地域にあっては、抗議どころか、査問委員会にかけられてもおかしくない。
だからといって、釈明する気も説明する気もさらさらない。裏切り者が何処に潜んでいるのか分からない以上、このまま独断専攻、事後承諾で事を進めるしかなかった。ことが済んだ後それでも責任を取れといわれるのなら、そうするまでだ。
瞬間、時計の短針が十二の数字を指し示す。騒がしい艦橋をけたたましいブザー音が鳴り響き、その時を告げる。今こそ、戦端を開くそのときだ。
「――オペレーション・モビーディック第二段階に移行!! 各隊順次降下開始! 前線指揮はエドガー・ウェルソン特佐、回収時刻は05(マルゴー):00(マルマル)!」
「了解、オペレーション・モビーディック第二段階に移行します。各隊順次降下開始。A小隊からF小隊、降下どうぞ」
「――了解だ! 行くぞ、野郎共! 小便漏らすなよ!!」
力強いエドガーの発破とともに電離層で降下が始まった。まずは第一陣、01と共にギガフロート内部を制圧するAからFまでの六隊が降下する。本来なら、もっと大規模な戦力を投入すべきところだが、隊員の信頼性を鑑みればこの数が限界だった。
作戦決行その直前まで秘匿された作戦プラン、それは酷くシンプルなもの。01が開いた突破口に向けて降下部隊が降下し、一気にギガフロートの内部を制圧する。言ってしまえば、簡単で単純極まりない作戦だが、敵の能力を鑑みれば他に手段がない。そのためにすべてを用意した、あの新型のユニット、この大気圏外をいくアルバトロスも全てはあのギガフロートに接敵するため。乾坤一擲の一撃にすべてを懸ける、一歩間違えば全てを失う博打だった。
作戦の要は、01そして彼と同行するA小隊。彼らが担当するのはギガフロート内部にて待ち受けるであろう10と呼ばれるサイボーグの撃破、そして動力炉たる融合核炉心の制圧だ。これが失敗してしまえば、他部隊が任務を果たそうとも、作戦そのものが瓦解してしまう。
だが、もはや、一菜の胸中には一片の恐れも迷いもない。あるのは戦況を握っているという実感と作戦を預けた仲間たちへの比類なき信頼のみ。01ならば必ずやり遂げてくれる、何時だってそうだった。どれほど傷に塗れても、何度敗北を重ねようとも最後には必ず勝利する、それが彼という戦士だ。だから待つ、彼らが勝利するその時を――。




