NO. 23 光と凶兆と
暗い、ひたすら暗い。視界にあるのは一面の黒、上下の感覚が失われていくのが分かる。ここは光の届かない深い海の中だ。のしかかってくる水圧で身体の動きが鈍り、果てのない暗闇は不安を掻き立てる。
機械の目でも、五十メートルから先の視界はゼロ。器用貧乏な汎用性の結果、一応取り付けられたソナーは何の役にも立たない。今も崩壊を続ける水中エレベーターのせいで、細かな反応を拾えない。ESもまた然りだ。
これでは、敵を見つけるどころか水面を目指すことすら怪しい。視覚も聴覚もダメ、センサー類は使い物にならない。頼れるのは握ったこの手だけ。俺の体を確かに捕まえたこの手だけだった。
”――少し離すよ。直ぐに戻る”
声ではなく、脳に響く声に頷き返す。何のつもりで俺とはなれたのかは分からないが、サーペントのサポートがなくても動くだけなら何とかなる。
スラスターを吹かせば、それなりの速度で移動できる。足場がないせいで打撃は無力に等しいが、逆にここでなら周囲の被害を気にして戦う必要はない。デタラメにエネルギー波をばら撒いても、精々巻き添えは名前も知らない深海動物くらいだ。
出力を引き上げると、体内にも燃え上がるような感覚が蘇る。各部から漏れ出した永久炉の光が周囲を照らし出す。少し視界もマシになった。
そこにきてようやく、敵の気配に気付いた。追ってきている。流石に頑丈だ、あの大瀑布でも全く堪えてないらしい。上等だ、正面から迎え撃つまでのこと。ここでなら好きに暴れられる。
「――!」
速い。水中にも問題なく対応できている、いやむしろ、こちらが本領のようにさえ思える。だが、向かってきているのはこっちにではない。狙いは俺じゃない。サーペントだ。
”――ああ、まったく余計なことを”
理性の制止を振り切って、感情と身体は動いた。普段なら絶対にこんなことはしない、全部何もかもアイツのせいだ。頭の中身を散々かき回されたせいで、不要な感情まで顔を出している。
アイツが俺から離れたのは敵をひきつけるため、水中では戦闘能力が低下する俺を庇うためだ。
水中で身を翻し、頭から下へと潜っていく。ただの馬鹿馬鹿しい拘りと一時の衝動に身を任せ、矢のように突き進む。アイツの死体を想像した時、どうしてもそれを容認きなかった。ただそれだけのことがどうにも我慢ができなかった。ただそれだけのことで俺はアイツを、あのサーペントを助けようとしていた。
”――-!”
少し進んだところでようやく二体の姿を捉えた。歪な姿のままの合体型とサーペントだ。
サーペントの姿は先程と大きく変わっている。背中から新しく形成された六匹の蛇は武器と追加スクリューの役割も併せ持っている。手の二本の鞭と合わせてウミグモのような異様さだ。俺のような中途半端な適応と違い、サーペントの水中適応は凄まじいものがある。加速減速、旋回反転、浮上降下、攻撃防御その全てが地上での戦闘以上にすべらかに行われている。もしかしたら、水の抵抗すら制御しているのかもしれない。
だが、敵もさるもの。二乗化した大出力での強引な加速は流れるようなサーペントの動きとはま逆ではあるものの、それでも充分脅威たり得る。生半可な攻撃では足止めも適わず、水の中では何かを盾にすることもできない。そしてなによりも、サーペントとではとにかく相性が悪い。虎の子の毒で防ごうにも、この敵には効き目が薄い。その上、奴を正面から止められるようなパワーはサーペントにはない。追いつかれれば、それでお終い。それは目に見えている。
”――今助ける。ギリギリまで引き付けろ、いいな?”
”――あ、わ、分かったよ!”
奴にしては珍しく、返事はワンテンポ遅れた。どうやら俺が援護に来たとこが、よほど予想外だったらしい。ともかく、俺の意図を一瞬で理解したのは流石だ。
幸い、合体型は俺のことに気付いていない。気付いていても眼中にないという可能性もあるが、それでも構わない。まだ理性があるのかないのも分からないが、それもどうでもいい。問題はタイミングだ、それを見極める必要がある。
目の前で行われている戦闘は一見互角に見えるが、その実攻め続けているのは合体型のほうだ。近接信管にでも切り替えたのだろう棘の槍は次々爆発し、弾幕を形成している。二つの鋏から放たれる閃光がその弾幕を彩る。
絶好のタイミングはすぐに訪れた。爆発に行く手を阻まれたサーペントの動きが一瞬止まる。その隙を付き、合体型は大出力を活かした突撃を敢行した。その速度と威力は分かっていても防げるようなものではない。大きく開かれた二つの鋏がサーペントに迫る。生体装甲を利用した鋏は容易くサーペントを両断するだろう。対するサーペントは防御しようともしない、死を享受するように攻撃を向かい入れてすらいる。心底、それこそ微塵も疑わずに俺の事を信じているからだ。
こういうのも癪だが、今はその信頼に応えてやる。決定打の瞬間、奴が振りかぶり、サーペントが身構えたその瞬間、俺は水中を跳躍した。今の最大出力を全て脚部にまわす。そのまま出力に任せて、スラスターを限界まで吹かし、水中を跳ぶ様に潜る。余剰エネルギーが光の尾を引き、まるで流星のようだった。
「――ッ!?」
直前、奴は俺に気付いたようだが、手遅れだ。もう既に奴は攻撃に移っている。防御しようにも、俺のほうが速い。
”――おおおおおおおお!!”
スラスターを緊急停止、身体を反転させる。エネルギー停滞させた右足で、奴の頭頂部を蹴り付けた。激突の瞬間、光を炸裂させる。眩い爆発が起き、暗い海の底に白色の太陽が出現した。
”――-!!」
見た目は派手だが、威力は見た目ほどではない。正直言って非効率的だ。普段は内部に流し込むが、今はこれでいい。ここで仕留める気はない、一時的に足止めできればそれで充分だ。
『――掴まって、さあ!』
『ああ!』
自分でも驚くほど自然に俺はサーペントの手を掴んでいた。掴んだ手は硬く、温もりなど伝わってこないはず、だが、縋りつくような強さには確かな熱が篭っていた。その強さで自分の想いと信頼伝えるようしているかのような、深くて絡みつくような感触だった。
俺の手を掴んだサーペントは掴んだ手を放さず、凄まじい速度で上昇していく。先程の最高速を軽く越えた速度だが、不思議なほど静かだ。防護フィールドが俺のほうにまで展開されているのだろう。
十秒も経たないうちに、光が見えてきた。水面から差し込んでくる日の光が、俺たちを照らす。サーペントは無傷だ。そんなどうでもいいことに俺は安心していた。
眼下では、あの合体型が猛追してきている。いくらなんでも早過ぎる、再生するたびに再生速度が上がっているのだろうか。速度と出力にしてもそうだ、ようやく復旧したESを見る限り、確実に数値が増加している。
追いつかれるよりも早く、水面を突き破るようにして地上に出る。輝く本物の太陽が俺達を照らす。その時、真の意味でサーペントは自由になったのだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
降り立ったのは最初に訪れた発着場の辺り。周囲に戦闘の痕はなし。内部に裏切り者がいる、その確信が揺るぎようのない事実へと変わった。。敵はやはりセキリティシステムを潜り抜けたらしい。
しかし、それにしては妙なことが一つ。
「封鎖領域が展開されてる? 一体誰が……」
空を見上げてようやくそれに気が付いた。内部のものを閉じ込め、被害を広げないための電磁封鎖領域が展開されている。わざわざ自分達の退路を断つことにもなるこれを”組織”の連中が展開するとは思えない。一体誰が――。
「――謎解きは後にしよう。むさい奴が追いついてきた」
サーペントのその言葉と同時に、水面から大きな影が飛び出してくる。その姿は異形のままだが、エレベーターシャフト内で見た姿とは大きく違っていた。
二本だった鋏が四本に増え、背中の棘も同じく大きくなっている。俺が蹴り飛ばした頭部は新たに生え変わり一層、禍々しい面構えだ。鋏と棘以外は元の二体の原形すら留めていない。再生と強化を繰り返した成れの果て。もはや、元の二体の意識など何処にも残ってはいないだろう。
「――アアアアアアアア!!」
天地を揺らす獣の咆哮。一切の理性を感じさせない代わりに、凄まじいまでの野生と力の奔流が吹き荒れる。所詮は獣と侮ることはできない、一方に振り切った敵はそれだけで十分な脅威だ。
「全く煩いなあ。むさ苦しくて、醜くて、煩いなんてもう最低最悪だよ、こいつ」
「――なら手伝え。アイツは此処で倒す」
この状況では俺もこいつも手加減の必要は一切ない。誰の意図かは知らないが、今はありがたい。これで好きに暴れられる。
「ふふ、君から言い出してくれるなんて嬉しいな。……それじゃ、いつも以上に張り切らせてもらおうかな」
「……後ろは任せる」
答えは聞かず、全速力で駆け抜ける。最初の一歩で音の壁を突き抜け、衝撃波と共に奴に突っ込む。正面衝突、ブレーキなど掛けない。
「ッ流石に!」
「キシャアアアア!!」
一瞬はよろめいたが、すぐさま体勢を戻される。そのまま組み付つくが、完璧にパワー負けしている。人工筋肉が悲鳴をあげ、生体装甲が軋む。このままじゃ、数秒後には挽肉だ。
「――フッ」
組み合ったまま、ほんの一瞬、力を抜く。手を離し、倒れこんでくる合体型の足の間を抜けて、背中に回りこむ。浮いた足を払い、完全に体を倒す。五メートル近い身体が倒れこみ、粉塵と瓦礫を巻き上げた。
「――サーペント!」
「分かってる!」
答えを聞くよりも早く、合体型の両足を引っ掴む。アイツはアイツで動いている、俺は俺で動くまでだ。下半身の出力を引き上げ、確かな地面にしっかりと構える。足を踏ん張り一回転、合体型の巨体を思いっきりぶん回す。そのままハンマー投げの要領で空中へ。所謂ジャイアントスイングというやつだ
錐揉み回転しながら奴の巨体が宙を舞う。このまま落ちても大したダメージにならないが、このまま落とすだけで済ませる気はさらさらない。
「――悪足掻きは良くないな、やられ役はやられ役らしく潔く死ぬべきだ」
空中で体勢を戻した奴を、サーペントの鞭と槍が二重三重に捕らえる。苦し紛れに放たれた棘の槍を、背中の六匹が打ち落とす。射出された毒液は爆発よりも早く棘の弾丸を溶かしている。それだけでなく、その飛沫だけでサーペントの足元の床が腐食していっている。この威力、巻き込まれれば俺もただではすまない。
鞭ごと振り回し、サーペントは奴を脳天から地面へと叩きつける。粉塵と瓦礫が舞ったその瞬間、俺も駆ける。瓦礫も粉塵もお構いなしに真正面から接近していく。二本、三本と飛んで来る無数の棘の槍を紙一重でかわしながらも、足を止めずに接近を続ける。そのうち一本、真正面から跳んできたそれを掴み取り、全力で投げ返す。どれだけ早くとも正面から飛んでくるのだ、捕らえるのはそう難しいことじゃない。
「ギャッ!!」
「このまま、終わらせる!」
既に赤熱化していた槍は持ち主に突き刺さり、そのまま弾けた。これで一瞬、弾幕に隙が生まれる、気に距離をつめる。苦し紛れの攻撃を全て捌き、鋏も棘も使えない白兵戦の間合いへと。
「――はああああああ!!」
威力も速度も先程までとは違う。ここなら何に遠慮する必要はない。一撃ごとに停滞させたエネルギーを炸裂させ、装甲を吹き飛ばし、内部機構を破壊していく。これで殺せるものではないが、それでいい。再生能力は凄まじいが、内部機構を壊してしまえば一時的に動きを止められる。必要なのは数秒の時間だけだ。
「ギシャアアアア!!」
「この程度!」
再生しながらの攻撃など容易くかわせる。勘と反射に任せて右側に飛ぶ。巻き添えは御免被る。
「さっすが! 最高のタイミング!」
「ギャッ!?」
掠めるような距離をサーペントが駆け抜ける。狙いは俺の砕いた腹部、あそこからなら直接毒を流し込める。毒を帯び、鋭さを増した右手の槍が合体型の腹部を容易く貫いた。
「――特別製だ、作用は身体と精神で理解するといい!」
突き刺さった槍から大量の侵食毒が分泌され、腹部から全体へと末期がんのように広がっていく。変色した部分は再生速度を上回る勢いで、崩壊をはじめた。見ているだけで、背筋が凍りつきそうになるような毒性の強さだ、特別製というのは伊達ではないらしい。
「どうにも揮発性が強くてね、至近距離でしか使いようのない困った子なんだ。まあ、癖が強い分、毒性も見てのとおりだよ」
「……まだ終わってない。次で決めるぞ、いいな?」
「ふふ、そうくると思ってたよ」
「ギシャアアアアアアアア!!」
敵は死の毒に侵されながらも、侵食部分を切り捨て、身体を新たに作り変えることでなおも戦おうとしている。その執念の源は、備え付けられた本能か、消えてしまった意志の名残か。どちらにせよ哀れですらある。
サーペントはそういうがこれで終わりとは思えない。執念は理屈を凌駕するもの、そのことをこいつを理解できていない。
出力のリミッターをもう一段階解放する。心臓から光が溢れ、血管を通って全身へと。生体装甲がエネルギーに反応して輝きを帯びていく。準備はできた、後はこれをぶつけるだけだ。
「――道を作ればいいんだろう? 任せてくれ、得意分野だ」
「それでいい、行くぞ!」
「おうともさ!」
一歩ごとに身体軋み、体内で熱が荒れ狂う。内部機構の幾つかが、オーバーヒートを起こしている。文字通り命を削り、魂を焼いて、この一瞬に全てを懸ける。
迎撃の弾幕は気にする必要がない。俺の頭上で分化したサーペントの槍が一つ残さず打ち落とす。残る脅威は過剰に巨大化し、六本に増えた鋏だが、今の俺には通用しない。
「――邪魔だ!!」
向かってきた二本の鋏を、足を止めずに向かい撃つ。掴んだ二本の鋏を出力に任せて握りつぶして、残りの二本を動き出す前に叩き潰す。赤色の破片を振り切って、一足一刀の間合いに踏み込んだ。
「ギシャアアアア!!」
「――破!」
再生能力の暴走で肥大化した身体を引きずりながら、合体型はなおも執念深く俺へと向かってくる。次々と襲い来る攻撃をかわしながら、奴の体を足場に上方へと跳ぶ。それと同時に全身のエネルギーを右足の一点へと収束。破壊の白光が眩い星のように輝き、限界以上の出力に右足が軋む。
「さあ、共同作業の締めだ。思いっきりを見せてくれ」
迎撃は全てサーペントが打ち落とす。数え切れないほどに分化した茨のような鞭が俺の道を形作っていく。後はこの道を全速力で駆け抜けるのみだ。
「――オオオオオオ!!」
「ギシャアアアア!!」
白銀の残光を残しながら、一直線に落ちていく。鉄槌を振り下ろすように、光と共に右足を振りぬいた。踝が奴の頭部を砕いたその瞬間、眩い光が絶対の破壊を齎した。
「――ああ、なんて綺麗な……」
誰かの声が頭に響く。何が綺麗なものか、この光は破壊しか齎さない。これだけが、俺の存在意義、俺にできる唯一のことだ。
ふと可笑しくなった。狂ってまで戦ったこの敵と俺に何の違いがあるのだろうか。結局のところ、俺達は何も変わらない。敵であるか、味方であるか、俺と奴らを分かっているのはただそれだけだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ヒュー! やっぱすげえな、アイツは」
エドガーはスポーツ観戦でもするような気軽さで快哉を挙げた。銃撃戦の挙句、どうにか取り戻した管制室で中継された映像では、キメラ型のサイボーグが白色の太陽に呑まれていく。ああなればどうにもならない、どれだけ再生力があっても、どれだけ装甲が厚くても関係ない。
その威力は五年前の戦いで何度も見たものと全く同じ。触れた大気、空間さえも削り取り、対象を消滅させる。01の必殺、彼がサイボーグとして与えられた最強の一撃は、今も変わらずおぞましいほどの破壊を齎していた。
「…………すげえ」
「……あんなに綺麗なんだ」
「……っ」
セキリティを掌握していたはずの新人達も思わずその光に見入っていた。目の前に現出した絶対の破壊を前にした彼らの反応はそれぞれだったもののの、共通しているものが一つある。
それは畏怖。圧倒的力にただ怯え、竦み、膝を屈するしかなかった。自分達だけの力でこの管制室を奪い返した自信などこれに比べれば吹けば飛ぶ様なものでしかない。
あの敵と戦ったとして、自分達に何ができる。装甲服を装備していたとして、一体何秒戦える。答えは考えるまでもない、なにもできはしない。
彼等と01、あの地上で戦っていたサイボーグたちでは次元が違う。彼らにわかったのはただそれだけ、自分達では何もできはしないという現実だけが彼らの前に立ち塞がっていた。
「まったく若いねえ。青春って言うには少し血生臭すぎるのが難点だが……問題はそこじゃねえか」
そんな新人たちの心情を見透かしながらも、エドガーはあくまで冷静に状況を見ていた。
サーペントが外に出ている。問題はその一点、おそらくは01が解放したのだろうが、正直なところ、この場所が敵に占拠されるよりも遥かにまずい事態だ。ここに収容されているどんな物品よりも危険なのがあの蛇だ。一度解き放たれてしまえば対処のしようがない。サーペントという存在はそういった類の災害といってもいい。一応は制御できるだけ剥き出しの核弾頭のほうがいくぶんか優しく思える。
「……責任取れよ、01」
少し疲れたようにそう呟く。とりあえず管制室からできる妨害工作は既に行った。支部長補佐権限で全施設を完全封鎖、すくなくとも二十四時間は誰にも何も持ち出せない。既に持ち出されたものに関してはできることは何もないが、それでも最善は尽くした。エドガーも、それに付き従った新人達も、自身の職務に恥じないだけのことは全て行った。
後は任せるだけ。自分にできる事をやりつくした以上は、戦友を信じて待つだけ。彼がその信頼を裏切ったことは一度としてない。
「――!」
その警報が鳴り響いたのはその瞬間だった。耳を劈く、不協和音の連続。何処にいようとも例え眠っていようとも必ず認識できるその音は、最大にして最悪の脅威、その来襲を告げるもの。聞き間違えようはずがない、忘れようはずがない。この警報だけは決して――。




