ストマックシティ
はじめての街です。
体の中の街は…
俺は初の戦いを終え、ミルク教官と一緒に『胃』に存在するストマックシティに向かった
ストマックシティに向う途中…
「ミルク教官の初戦って、どんな感じだったんですか?」
「教官?って、そんな風に初めての呼ばれました」
「すいません、ミルク兵士長」
つい頭の中で読んでいた名称で呼んでしまい、言い直したのだが
「いいんですよ、教官でも兵士長でも。ただ兵士の人と一対一で話すのは初めてなので。でもあなたは本当に珍しい人です」
「はは」
俺は軽く笑って、それを受け流した
「それはいいにして、初戦ですよね。わたしも初めは前衛で。だけどわたしはちょっと臆病だったのか、ひたすら浄化を放っていましたね。ただひたすらに放ち続けていたら、いつの間にか戦闘が終わっていました。だけど、残っていたのはわたし一人で、茫然と立ち尽くしいるところを隊員に拾ってもらいました」
「そのときの兵士長の人は?」
「兵士長は前衛で一緒に戦っていたみたいですが、やられてしまいましたね。なのでわたしは、隊員の方にいろいろと教えてもらいました」
「どこで戦っていたんですか?」
「わたしの場合は、初め喉に配備されました。胃の海ほどではないですが、喉も同じように主が食事をするときに戦闘があります。わたしはそこで3回戦闘に参加し、その後緊急招集で『胃』に来ました。その緊急招集で運良く生き残り、兵士長に就くことになり、今に至ると言う訳です」
「じゃあ、ミルク教官は兵士長として初陣だった訳ですか?」
「はい。ちなみにわたしの上にあたるのはラウルさんという隊員の方ですので、街に着いたら、挨拶をしに行きましょう」
「はい、わかりました」
そうこう会話をしている内に…
「あそこがストマックシティです」
ミルク教官が前方のドーム型のエリアを指差す
その先には大きな山のようになっている場所で、門らしきところに二人の兵士が立っている
「門の先が街になっています…」
ミルク教官の説明では、街の中心に隊長たちが住んでいる居住区があり、そのまわりに隊員たちの居住区と隊員クラスの武器屋がある。門をくぐった先は兵士クラスが扱う宿屋と武器屋道具屋があるらしい
また武器屋にはそれぞれ前衛、中衛、後衛で別れており、そこで武器を揃えるようだ
ミルク教官は門番の兵士に軽く会釈をし、門をくぐっていく
俺もそれに続き、会釈をし門をくぐった
くぐった先には、かなり大きな街が存在していた。その中央にはお城のような建物があり、続いてまわりにポツポツと大きな家。5階建の団地が連なって立っている。目の前には、少し田舎を感じさせる古い民宿や剣のやら槍、弓があしらわれた看板が掲げられたお店が並んでいる
俺は街をキョロキョロ見渡していると
「じゃあ、まずはラウルさんに会いに行きましょう。ささこっちです」
とミルク教官が街の中心部に歩いて行ったので、俺もその後を追った
そして5階建の団地の前で
「ここの302号室がラウルさんの家です。じゃあ、行きますよ」
ミルク教官に続いて、俺も階段を上っていった
「ラウルさ〜ん、ミルクです。わたしのチームの生き残った兵士を連れてきました」
中から足音が聞こえ、玄関の扉が開く
細マッチョな人で髪型はスポーツ刈り。顔はイケメンとまではいかないが、それなりに整った容姿をしている人が出てきて
「おぉ、ミルクか。さっきの戦闘でしっかりと生き残ったか。さすがメイジだなあ。それにしても兵士まで生き残るとはなあ。うん、立派立派」
「ありがとうございます」
俺は一応初対面という事もあり、ラウル隊員にお辞儀をしておいた
「おぉ、よろしくな」
ラウルはそんあ俺を見て軽く手を挙げ応えてくれた
「まあ、お互い精々頑張りなあ」
「はい」
ミルク教官の返事の後、ラウルは家へ戻って行った
「じゃあ、次は商業区の武器屋に行きましょう。ささこっちですよ」
「ミルク教官は何か武器を持ってるんですか?」
「いえ、わたしはメイジなので特に武器は持っていません。まあ、たまに投擲武器は補充したりするんですが、前衛職の武器屋には訪れませんね」
「武器屋ってたくさんありましたけど、どこも一緒なんですか?」
「前衛の武器屋はたくさんありますが、それぞれ得意分野はあるみたいですが、剣でよかったですよね?」
「はい、えーっと、でも一応どんなのがあるのか知りたいので」
「そうですか、なら武器屋通りを案内しますので、どこか気に入ったところがあれば、そこで武器でも製作して下さい」
「はい、そうします」
俺は正直、前衛に就くことには特に疑問はないのだが、武器については少し思うところがある
そもそも俺は剣なんか使ったことがない。体育の授業で剣道を2,3時間やった程度だ。さすがに器用な俺ではあるが、2,3時間しか経験したことのない剣を使うのには不安がる。ましてや剣と竹刀では全然別物のはずだ
これから自分の身を守ろうとする大事な武器をそんな未経験のもので安心できない。
確かに剣への憧れはある。やっぱり強い戦士と言えば剣のイメージもあり、剣に関してはあらゆる点で優れているし、武器の使い勝手で言えば、剣は火力の面やリーチに関しても万能な武器だが、弱点が少ない分、特徴も少ない。
俺は昔から器用貧乏なところがあるので、ひとつに特化している物への憧れもある。だからこそ武器を慎重に選びたい思いが強い
そんなことを考えながら、ミルク教官の後を付いていく
隊員クラスの居住区から出て数分
「ここが武器屋通りです。ちなみにこの建物の裏が民宿になっていますので、あなたは明日の戦いに備えてゆっくり休んで下さい。今日と同じく明日も昼食の時の配備ですので、お昼のアナウンスのあと、今日と同じ戦場に来て下さい」
「ミルク教官はこれからどうするんですか?」
「わたしは軽く浄化のトレーニングをしたあと、休んで、明日また新米兵士の研修をし、兵士の補充をしてから戦場に向かいます」
「兵士長って、大変ですね」
「いえいえ、隊員の方に比べればまだまだですよ」
「上にいけばいくほど、やっぱり忙しくなるってことですよね」
「そうですね。でも主のためです。しっかり使命を果たさなくてはいけませんので…ではまた明日」
「はい」
ミルク教官は挨拶の後、街の中心地に向かい去っていった
ミルク教官が去った後
「さてっと、明日まではまだまだ時間あるよな。じっくり武器屋にでも行って、考えるか〜」
俺は今、頭の中でなんとなくイメージしている武器を思いながら、一番手前にあった武器屋に入っていった
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これから盛り上げていきますので、今後もよろしくお願いします。
次は武器製作です。主人公はいったいどんな武器を作るのでしょう。剣?