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Tank you EveryBody 〜主を守る者〜  作者: 水矢伸
兵士編
3/12

戦闘研修

戦闘研修ということで、少しバトルっぽく書いてみました。

 次に入ってきた講師はガタイのいい兵士長だった。


「おまえらにこれから戦闘研修を受けてもらう。順番に俺に向かってこい。そして動きを封じてみろ」


 そう指示されたが、どうして良いのかさっぱりわからない。さすがに全員戸惑っていた。


 それを見かねたガタイの良い講師は、前の列の右端に指をさし、


「よ〜し、ではこっちから一人ずつかかってこい」


 そう言われ、指をさされた人が前に出た。


 それを見た俺は「おいマジか」。

 500人はいる兵士を一人一人って、どれだけ時間かかるんだ〜っと思いながらも、一人目の人が講師に向かって行った。


「うりゃ」

「わぁ〜」


 あまりにもあっけなく投げ飛ばされていた。


 それもそのはず、向かって行ったはいいものの、突進するでもなく、ただ単に腕を広げ、歩いて抱きつきにいけば、いとも簡単に返されるのは当たり前だ。


 しかし、その後も


「うりゃ」

「わぁ〜」


「うりゃ」

「わぁ〜」


 と、次から次へと投げ飛ばされていた。


 その理由は、二人目以降も、同じように向かって行ったからである。


 その後、連続再生を見ているかのごとく20人が過ぎたあたりで、


「おまえら、そんなんで捕まえられるはずがないだろう。もっと勢いをつけて、向かってこい」


「おい」っと、もっと早く言ってやれよ。と心の中で思わずツッコミを入れてしまった。


 しかし、そのアドバイスを聴き、次からの人は、走って突進していったが…


「えぃ」

「わぁ〜」


 今度は、正面に張り手をもらい、弾き飛ばされた。


 走って突っ込んだのはいいものの、相変わらず、両手を広げて行けば、「そりゃ無防備だわなぁ」と思いながらも


「えぃ」

「わぁ〜」


「えぃ」

「わぁ〜」


 またしても、連続再生がはじまった。

 そんなこんなで、50人が弾き飛ばされた後


「おまえら、ただ勢いをつければいいってもんじゃない。もっと姿勢を低くして、向かってこい」


 そのアドバイスを受け、次の人はタックルのように突っ込んでいった。


「うっん」

「わぁ」


 低くして突っ込んで行ったはいいが、今度は相撲のはたき込みのように下に押しつぶされていた。


 当然のように、また連続再生がはじまった。


 しかし、今度は講師が途中でアドバイスをするようなことはなく、100人が過ぎ、200、300人と過ぎていき、とうとう俺の番になった。


 あらためて、講師と面と向かったが、圧倒的に体格では劣っている。

 また、面と向かった相手の身動きを封じることは、かなり難しい。相手が自分よりも小さかったり、力もなく貧弱な相手であれば、出来るとは思うのだが。


 講師は、体格だけでなく、見るからに力でも負けていそうだった。俺も力についてはそれなりにある方だと思っているが、ガタイの良いプロレスラーにはとてもかないそうにないレベルの差だ。


 ただし、俺もそれなりに負けず嫌いだやるからには、なんとか動きを封じてやろうと、意気込み、講師の前に進んで行った。


 そして俺はまず、飛び込めば講師に届く位置まで、ゆっくりと進んでいき、そこで素早くしゃがみこむ。


 そのしゃがみこんだ勢いのまま、講師へタックルをかまし、相手の太ももに手をまわす。


 柔道の両手狩りの要領で、講師に尻餅をつかせた。


 そこで終わらず、俺はすぐさま、相手の脇を抜け、背後に回り込み、裸締めのように足の動きを抑える。

 そのまま腕を羽交い締めにし、講師の身動きを封じた。


 講師は振り解こうと抵抗をしたみたいだが、俺はそのまま耐えた。

 講師もあきらめたようで、


「よ〜し、終わり。はい、次」


 と何事もなかったかのようにスルーされてしまった。


 俺の後は、またはたき込みの連続再生となり、なんだかんだで500人全員が終わった。


 結局、俺以外で講師の動きを封じた奴はいなく、身体に抱きつける奴すらいなかった。


 どうもこの戦闘研修は、兵士にタックルを身に付けるための訓練だったようで、動きを封じるのは今後の害虫との戦いで必要になるものだそうだ。


 そもそも、害虫に対しては、多人数で向かっていくため、同時にタックルされれば、流石に誰かが組み付き、身動きを封じ、数でものをいわす戦略だそうだ。


 そして研修が終わり、バンダナがまた白へと近づいた。


 俺は久しぶりに一瞬とは言え、全力で動いたのだが、身体のキレが良かった。


 30代になってから、ほとんど全力で動くことがなかったため、今回の身体のキレについては、まるで別人の力のようにも感じた。

(確かに別人なのかもしれないが…)


 またあきらかに優れていた点は、力が強いということ。


 おそらくだが、あのガタイの良い講師は、俺に羽交い締めにされた時、本気で力を出していたが、俺はそんなに力を入れることもなく、相手を無効化出来ていた。


 これは、他の人たちを見ていたことと、講師の人の動き方を見て推測してみたが、俺との身体の使い方の違いだと思う。


 効果的な力を使えていない。

 つまり技術的な点が、俺との差になっている。


 普段無意識でも身体を効果的に使えるように教育を受けて来た俺と、筋力が同じでも、生まれたばかりの人では、差が出るのは当然だろう。


 そういう意味では、あのガタイの良い兵士長も、身体の使い方に無駄があり、俺に完敗することになったのだと思う。


 今までの俺の人生に感謝する。


 そして、最後の研修を迎えるのであった。



これで4つの研修が終了です。


これで最後は魔法?にいきます

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