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2話
「お前名前は?」
「はい?」
こぶができた頭をさすりながら、少年はききかえした。
二人は税関所の近くの大きな町に来ていた。
市場でもやっているのだろうか、多くの人でにぎわっている。
まだ昼過ぎで、相変わらず気温は高い。だというのに、多くの人が肩を
すり合わせるようにしていきかうので当然湿気も高い。
彼らは混雑している通りから外れようと必死にかき分けかき分け
進もうとするだが、黒い汗にまみれるだけでなかなか出られない。
「だ、か、ら、名前だよ名前!」
市場の喧騒に負けじと青年も声を張り上げる。