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GunZ&SworD  作者: 聖庵
97/185

シーン 97 / 登場人物紹介 11

【登場人物紹介】


マオ・ルーネット


ペオが見つけてきた奴隷の女性。ただし、主人公は家族として接している。

農村の出身だが、不作が続き口減らしのために身売りにあった過去を持つ。

性格は明るく人当たりがいい。



エール・ルーネット


マオの弟。将来は料理人を志す男の子。

料理の腕はまだまだだが、勉強熱心でマジメな性格をしている。

彼も同様に主人公は家族として扱っている。




新しく二人の家族が増えました。

一応、奴隷という身分ですが、主人公の性格上、家族として扱われています。

二人は裏方なので、表で活躍するタイプではありませんが、縁の下の力持ちとしてたびたび登場する予定です。

夕食時。

早速、味噌汁を作ってみることにした。

ただ、中に入れる具材まで考えていなかったため、急遽買い出しに行き手頃な野菜を揃えてきた。

味噌汁とは言っても野菜を多く使うため、僕の場合は豚汁に近い物になる。


「レイジ様、下準備が出来ました」


ペオは指示した通り具材の下処理を終え、次の指示を待っている。

元々、手先が器用で包丁の扱いにも長けていた。

相変わらずの手際の良さに感心してしまう。


「とりあえず実際に作ってみるから、エールと一緒に見て勉強してくれ」


まずは、鍋で湯を沸かすところからだ。

実際、家では週に一、二度は作っていた。

レシピを教えてくれたのは母方の祖母だ。

祖母は鍵っ子の僕を小学校の低学年くらいまで毎日のように面倒を見ていた。

そのため、“家庭の味”と言って覚えているもののほとんどは祖母が作ったものだ。

ただ、それから体調を崩し亡くなってしまったため、当時の僕は酷く落ち込み、学校も二日間休んだことがある。

そういう意味で、味噌汁は僕が作れる料理の中でも特に思い入れの深い一品だ。

そんな思い出のレシピを思い出しながら、具材を煮込んでいく。


「レイジ様、味噌はいつ使うんですか?」

「あぁ。具材に火が通ってからだ」


ペオは見たことのないレシピに目を輝かせた。

鍋から立つ香りも前世と比べても大差はない。

味見をしてみたところ少し塩分が気になったが許容範囲だろう。

濃い味の方がご飯が進むため、僕としては悪くない出来だ。


「こうやって作るんですか。濁ってるスープは初めて見ました」

「そうか?まぁ、こんな色のスープは珍しいよな。エールはどうだ?見た感じだけど作れそうか?それほど難しくはないと思うが」

「はい。これでしたら出来ると思います」

「ペオはどうだ?」

「大丈夫です。これもお店で出す予定なんですよね?」

「あぁ、評判がよければそうするつもりだ。夕食時にみんなの意見を聞いて最終判断をしようと思う」


完成したモノをところ、見た目や香りは前世に作っていたものと変わらない。

この世界に来て初めて作ったにしては上出来だろう。


「さて、あとは盛り付けだが…」


ここで僕の思考が停止した。

そう言えば器の事を考えていなかった。

家にある器は全て洋食器なので、味噌汁をよそう食器も“椀”ではなく、底の浅いスープ皿しかない。


「レイジ様、どうしたんですか?」

「…器の事をすっかり忘れてた」

「器ですか?ウチにあるものではダメなんですか?」

「まぁ、食べる分には問題ないが、雰囲気がな」

「雰囲気…ですか。では、今までのメニューもお店の雰囲気に合う物を用意しなければなりませんね」

「そうなるな。ただ、こっちの食器と形が違うから、オーダーメイドで対応してもらえる店でもあれば…」


出来れば本格的な物を一式揃えたい。

味噌汁の器も陶器や銀製のより、味のある木製に漆を塗った物があれば文句はないのだが。

そこまでの品質を求められるとは思っていないが、可能な限り希望に添う物がいいだろう。


「ご希望の物があれば僕が探してきますよ?」

「うーん、この町に木地師なんているか?」

「キジシ…ですか?それはどういった職業の方ですか?」


物知りなペオでも知らないようだ。

そもそも“木地師”そのものが居ないのかもしれない。

彼にも分かるよう説明してやった。


「…木工職人のことをそう呼ぶんですね。勉強になりました。でしたら、お願い出来そうなお店がありますよ」

「ホントか?」

「はい。町の中はレイジ様がお留守の間にくまなく歩きましたので。亭主の方とも面識があります」

「…マジか。お前、どれだけ行動力があるんだよ」

「処世術の基本は人脈と情報ですからね。あとは少し度胸があれば大概何とかなりますよ?」


この歳にしてそこまで言い切るペオには感心するばかりだ。

一体どんな営業活動をして顔を売っているのかは分からないが、情報の収集能力は大手の新聞記者並みと言ったところだろう。

きっと彼の事だから裏の裏まで手を回し、普通では手に入らない国家機密なども握っている可能性もある。

そこまで行くともはや諜報員のレベルだ。

もちろんこれは想像なので、どこまで裏の世界に精通しているのかは未知数なのだが。

任せろと胸を張られたので、イメージを伝えて調達の依頼をしておいた。

その際、ペオも自分なりに思いつくアイデアがあるらしい。

珍しく彼から主張してきたため、内容を聞いて了承をしておいた。

今日のところは家にある物で代用するしかない。


「…えっと、これがレイジの作りたかった料理だよね」


サフラは目の前に用意された味噌汁を不思議そうに見つめている。


「まぁ、とりあえず一口食べて感想を教えてくれ。みんなの反応次第で店のメニューに入れるか決めるから」


試食の前に味見をしたが、前世の頃とほぼ遜色のない味だ。

だから、単純にこの味が受け入れられるか率直な意見を求めている。

最初に手をつけたのはニーナだ。

恐る恐る口に含み、ワインのテイスティングのように舌の上でスープを頃がしている。


「…こんなスープは飲んだことがない。これがレイジの故郷の味か」

「素直な感想を聞かせてくれ、口に合いそうか?」

「私は嫌いな味ではない。ただ、見た目のインパクトが強くてな。慣れれば問題ないとは思う」


味には問題がないらしい。

どちらかと言えば濁った色に抵抗があるようだ。

僕の場合は昔から慣れ親しんだものなので気にならないが、以前テレビで外国人が同じような反応をしていたのを思い出した。

続いてサフラとペオ、それにマオとエールも手をつけた。

四人の反応はそれぞれ微妙に違っていたが、不満を言う者はいなかった。


「みんな意見を聞かせて欲しい。この料理、店に出しても平気か?」


意志の確認は目を閉じた状態での多数決にした。

これなら家族に加わったばかりの二人も周りの意見に流されることはないだろう。

確認の結果、ある一名を除いて賛成派が多数になった。


「分かった。みんな、ありがとう。とりあえず賛成が多数だ。メニューに加える方向で調整しようと思う」


夕食が終わり、各々がくつろいでいる中、僕は唯一手を上げなかった者を呼び出しておいた。

他のみんなには知られないよう、家事の途中で部屋を抜け出せるタイミングを見計らい、僕も部屋を出た。


「…お呼びでしょうか、レイジ様」

「うん。キミに聞いておきたいことがあってね」


待ち合わせの場所に指定した裏庭でマオが待っていた。

何故声を掛けられたか大筋で理解しているらしい。


「…先ほどの件、でしょうか?」

「あぁ。キミだけが反対派だったから、どんな理由があったのか聞きたくてね」

「そうでしたか。理由…と申しましても、味に問題があるわけではありません。むしろ、私の好きな味でした」

「そうなのかい?じゃあ、何でまた…」

「これは女性としての意見になると思いますが、いささか食べにくいと感じました。ですので、もし、あのまま提供するのでしたら、あまり評判はよくならないと考えました」

「なるほどね」


彼女の言い分として、食事の提供方法に問題があるそうだ。

日本人には食器を手に持って食べる文化がある。

反対にブレイターナでは、食器には触れずに食べる文化だ。

スープでもスプーンを使ってみんな器用に食べている。

つまり、たくさんの具材が入った味噌汁はスプーンで食べ辛いとのこと。

特に気になるのは食器とスプーンが接触する音らしい。

これはこちらのマナーとして相応しくないため、マオは敬遠したようだ。


「…申し訳ありません。私のような者がこんな出過ぎたことを…」

「いや、いいんだ。むしろ、そう言う意見は貴重だよ。他にも理由はあるかい?」

「いえ、他にはございません」

「そっか。ありがとう参考になったよ。一応、それについての対応策は考えてあるからね。あとはペオの働き次第かな」

「そうなのですか?」


緊張した表情のマオはそれを聞いて少し安心したようだった。


「あぁ、ペオから事前に指摘があったからね」

「そ、そうでしたか…すみませんでした」

「謝らなくていいよ。キミはキミの意見を大切にしてくれたんだろ?自信を持っていいんだよ」

「レイジ様…ありがとうございます。やはり、ペオさんの言われた通り、レイジ様は不思議な方ですね」

「そうかな?」

「はい。レイジ様のような素晴らしい考えをお持ちの方に拾っていただき、大変感謝しております」


そういってマオは深々と頭を下げた。


「頭を上げてよ。俺はただ、みんなと仲良くやりたいだけなんだからさ。ほら、言っただろ家族だって」

「はい…」

「何か不便な事があったら遠慮なく言ってくれていいから。キミたちの幸せが僕の幸せでもあるんだからさ」


裏庭に来たついでに、彼らがこれから生活する部屋を見せてもらった。

一日で完成したという部屋は母屋と隣接していて、扉一枚で繋がっている。

中は六畳ほどあり、二人で使うのは少し狭く感じた。

それでも、彼らは自分の荷物を持っていないため、室内はスッキリとしている。

寝起きをするくらいに使うなら問題はないだろう。


「この部屋、ペオのアイデアだよね」

「はい。ペオさんが大工の方にお願いをして作ってもらいました」

「うん。この作り、ペオらしいな。もう少し贅沢にしてもよかったのに。俺に遠慮をしたのかな」

「いえ、お部屋をいただけると思っていなかったので嬉しいです」

「まぁ、家族と言ってもプライベートは大切だからね。何か困ってる物とか必要な物があれば何でも言っていいから。着替えとかはどうなってる?」

「それはこちらに引き取られた当日にペオさんがお金を渡してくれました。必要な物はそれで揃えるようにと」

「なるほど。それこそペオらしいな」


ペオは僕が彼にした通りの対応をしたらしい。

何もかも買い与えるのではなく、自主的な行動を促すという考え方を、何も教えずとも理解していた。

よく見ると部屋の隅に衣装ケース代わりの木箱が置かれ、中に衣類が収納されているそうだ。

ただ、ベッドが置いていないため、床に直接布団を敷いているらしい。

日本人の感覚ならそれでも平気だろうが、ベッドで眠る習慣のあるこちらの世界では不便だろう。

あとでペオに部屋を拡張するよう伝えて、ベッドを準備させようと思う。

今回はペオの働きに少しスポットが当たりました。“一を聞いて十を知る”の特製を持ったキャクターですが、彼が居ることで主人公はおおいに助かっています。

実際、一家に一人ペオが居たらどれだけ楽なんだろう?(笑)




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