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GunZ&SworD  作者: 聖庵
4/185

シーン 4 / 登場人物紹介 2

【登場人物紹介】



サフラ=アリアベル


本作品のヒロイン。ある晩、村を魔物に襲われ孤児になった少女。歳は今年で十四歳。赤い髪を肩まで伸ばしたショートヘアーと青い瞳が特徴の美少女。幼少期に満足な栄養が取れなかったのか、同世代の女の子より少し小柄だが元気で快活な性格をしている。

冬場だけ行商人をしていた父親の影響もあり、幼いながら経済について人並み程度の知識があり、実は料理も得意。また、護身用にと父親から簡単な短剣の使い方を学んでいるが、本格的な戦闘の経験はないため素人同然である。


特技:笑顔、上目遣い、暗算




ヒロインの簡単な説明でした。

サフラについては、今後いろいろと設定が増えていく可能性が多分にありますが、今のところ紹介できるのはここまでにしておきます。



あと、シーン1~3までで1万字程度のペース連載を続けてきましたが、書き溜めておいたストックが危うい状況です。そのため、一度に掲載する文字数を5000文字程度にして、今後の連載ペースの安定化を図ろうと思います。

よろしくお願いします。



2012/04/08 改稿済み。

帝都を中心に石畳の街道が放射状に広がっている。

もちろん今、歩いている街道も例外ではない。

行き交う人々はこの道をたどれば帝都へたどり着くため、地図がなくても行き来出来る仕組みだ。

国中を転々とする一人前の行商人ともなれば、街道沿いにあるほとんどの宿場町や村の位置を把握しているらしい。

場所さえ分かれば、突然野宿という心配は避けられる。

ただでさえ人を襲う亜人が徘徊する町の外は危険なため、知っていると知っていないでは死活問題だ。

特に、旅慣れていない貴族や豪商たちは、ハンターギルドに依頼をして彼らを専属で警護するハンターを数名連れて移動をしている。


危険を一人で退けられるハンターや旅人なら話は別だが、戦闘経験のない連れが居る場合は考え物だ。

まだサフラとは出会って幾ばくも経っていないため、次の町へ向かう道中はお互いの身の上話が中心になった。


「サフラは帝都に行ったことはあるのか?」

「はい。何度か。帝都は人がた~~~くさん集まるスゴイ町です」

「そうか、そいつは楽しみだな。そうだ、それなら隣町にも行ったことがあるんだろう?あとどれくらいかかるんだ?」

「えっと…あと一時間くらいです」


サフラは道端に目をやってそう告げた。

視線の先には土を小高く盛った盛土があり、頂点の部分には一抱えほどある大きな石が据えてある。

彼女が言うには街道沿いの道端に数キロの間隔を空けて配された『ポストストーン』と呼ばれる構造物らしい。

これは江戸時代に広く普及した“一里塚”に似た役割をしているようだ。

似たという表現なのは、道路標識の役割だけでなく、盛土の中心に置かれた石が日時計の役目も果たしている。

ちなみにこの世界では一日が約二十五時間で、暦については多少の誤差はあるものの地球とほぼ同じのようだ。

一日で一時間のズレがあると分かっても、この世界に転生して以来、時計を見る機会がなくなってしまったのでまったく実感がない。

ブレイターナにも時間の概念はあるものの、日本人特有の“電車の時刻表”のような時間に正確な習慣はないようだ。

人々は日の出と共に活動し、夜になれば眠るだけだとサフラは言った。


「そういえば、お兄ちゃんはニホンって所から来たんだよね?私、聞いたとことのない町でビックリしちゃった」

「あぁ、この国では馴染みがないみたいだな。物凄く遠い場所だから仕方ないけど」

「そうなんだ。私もいつか行けるかな?」

「どうだろうな。もしかしたら行けるかもしれないし、行けないかもしれない」

「どういうこと?」

「言葉の通りさ。もし機会があれば連れて行ってやるよ」


連れていけるものなら連れて行ってやりたいが、実際のところ僕自身も帰り方を知らないのだから、それは戻れないのと同じだ。

それを聞いて少し不思議そうな表情を浮かべたが、すぐに持ち前の笑顔で返してくれた。


街道を進むと毛足の短かった草原地帯からゴツゴツとした岩が剥き出しになった風景に変わってきた。

サフラによればウエストランドとミッドランドの境に位置する“ロックバレー”と呼ばれる地域のようだ。

その名前の通り岩石が形作った渓谷で、痩せた土地のため草木はほとんど生えていない。

岩石の多くが鉄分を多く含んだ赤錆色をしており、ロックバレーの中心地には品質のよい鉄鉱石を産出する鉱山もある。

次の町はそんな鉱山開発のために発展した、比較的中規模な町だとサフラは言った。

鉄器の工芸品が多く生産され、特に鉄製武具は大陸でも有数の産地として知られている。

周りの景色が荒涼とした岩石の冷たい雰囲気に変わってきた頃、目指していた町が見えてきた。


「到着しましたね」

「そうだな。じゃあ、先に用事だけ済ませよう」

「はい。えっと、ギルドは町の西側にはったはずです」


場所を知っているサフラの後についてハンターギルドを目指した。

鉄工業の盛んな町というだけあり、鉄を精製する溶鉱炉から伸びた煙突は、猛烈な勢いで灰色の煙を吐き出している。

町の一画には採掘されたばかりの鉄鉱石が山積みされ、必要に応じて工房の中へと運ばれていく様子を見ることができた。

その近くには石炭も山積みにされている。

町の様子は一目見ただけだが活気があり、行き交い人の数も今までに訪れた町や村とはまるで違った。

特に行商人の姿が多くあり、遠方から工芸品を買い付けに来ているのだろう。

町のあちらこちらには露店が並び、自慢の工芸品を売ろうと店主たちは鼻息を荒くして商品の説明をしている。


そんな町中を抜けると重厚な丸太造り建物が見えてきた。

入口付近では甲冑姿の男たちが出入りしているので、ここが目的地だろう。


「サフラ、お前はここで待ってろ」

「どうして?」

「女の子が立ち寄るような場所でもないだろ?」

「平気。こういう所は慣れてるから」


どうやら彼女はハンターギルドへ来たのは初めてではないらしい。

慣れているというのであれば問題はないだろう。

もう一度確認してみたが、彼女に折れる気配はなかったため、仕方なく二人で一緒に中へと入った。

表向きの外観と同様に、ログハウスを思わせる室内は木の香りが漂い、心なしか精神的に落ち着く感じがする。

初めての場所に目を奪われていると、室内に居た強面の男たちの視線を集めた。

どうやら見慣れない服装と女の子を伴った姿は物珍しいようだ。

異世界に来て未だにジャージ姿では浮いてしまうのも無理はないが、ここは我慢するしかない。

あとで洋裁店を探して衣類を調達しよう。

あまり居心地のよい場所でもないので急いで受付を済ませることにした。

受付には初老の男性が座っている。

シワの深い顔付きをしているが、全体から感じられる雰囲気は温和な印象で近寄りがたいといった感じはない。


「どうも。えっと…この書状を見せれば分かると言われて来ました」

「…どれ、…なるほど、アンタがゴブリンを倒した旅人かい。変わった服装だったから、もしかしたらと思ったが、そうかいそうかい」

「えぇ。あの村には偶然居合わせただけです。ゴブリンを屠れたのは運が良かったからでしょう」


こういう場合は謙遜しておくに限る。

下手に目立てば動きにくくもなるし、厄介事に巻き込まれる可能性もある。

僕の対応に好感を持ったのか、男性はウンウンと頷き、事前に用意されていた書類を取り出した。

そこには倒したゴブリンとコボルトの数、討伐日時、討伐場所などが詳細に記されている。

特に気になったのは討伐数の項目だ。

そこには内訳としてゴブリン二十四体、コボルト三体とある。

どうやら事前に街道で倒したゴブリンの数も含まれているようだ。


「恐ろしい数だな。ウチから派遣していた若いのも二人亡くなった。アンタ、どうやってこの数を捌いたんだい?」


男性の目が怪しく光った。

疑心にも似た雰囲気を微かに放っているが、それは好奇心の延長のようで、決して敵意のようなものは漂っていない。

正直なところ銃の存在を他人に明かすのはあまり好ましくないが、またどこかで追求されるだろう。

一時的には逃れられるが、それでは解決にはならない。

信じて貰えるかは分からないが正直に答えることにした。


「…コレで仕留めました。銃という武器です。弓やボウガンのように金属の弾を飛ばして相手を打ち倒します」

「ほう…これが遣いの若造の言っていた異国の武器かい。小さな武器だが、これでねぇ…」


男性は一応納得したのか、銃をしまうように言った。

背後ではザワザワと屈強な男たちが何かを言い合っている。

ただ、それを気にしていては世の中をうまく渡っては行けないだろう。

障らぬ神に祟り無しとはよく言ったものだ。


「アンタ、このことは口外しない方がいい。あまり目立たぬようにな」

「えぇ、肝に銘じておきます」

「それと、これが報奨金だ、受け取んな。中身についてはこの書類の通りだ。詳しく説明するのは野暮だろう?」


そう言って悪戯っぽい笑みを浮かべながら、報奨金の入った革袋と詳細を明記した書類を渡してくれた。

革袋は初めて受け取った報奨金とは比べ物にならないほど重く、それを後ろで見ていた男たちも目を丸くしている。

さすがにこれはやり過ぎだろうとは思うが、正当な対価であれば受け取らない手はない。

中身を確認してはいないが、下手をすれば僕ら二人が一年間くらいは平気で暮らせるくらいだろうか。

突き刺さるような視線には目もくれず、サフラの手を引いてギルドを出た。


「お兄ちゃん、凄いです!私、こんなにたくさん見たことないッ」

「そうだな。これで金銭的には当面は大丈夫だろうさ」


革袋と一緒に手渡された書類に目を落とすと、討伐したゴブリンについての記載があった。

通常の場合、ギルドではゴブリンをDランクと格付けをしているが、リーダー格のゴブリンはCランクと記載がある。

説明書きによれば、複数の討伐依頼が掛けられたらお尋ね者だったらしく、ゴブリン族では稀な他種族との交流を持って人々を襲っていた。

今回はコボルトを味方に引き入れて村を襲撃していたが、確認されている限りではオークやグレムリンと行動を共にしていたらしい。

オークはゴブリンより上位の種族で、グレムリンはゴブリンと同等程度の能力を持つ怪物だ。

ただし、これは生前から引き継いだ知識なので正確なことはわからない。


二人で和気藹々と話をしながら町の中を散策していると、不意に背後から声がかかった。

振り返ると腰に長剣を差した若い男が立っている。

二の腕にはハンターの紋章を着けており、見た目の印象から歳は僕より少し年上だろうか。

細身だがバランスのよい体格は水泳選手のようで、威圧的な表情は自信の現われだろう。

ただし、纏っている雰囲気は普通ではなく、敵意すら感じる。


「アンタ、ゴブリンとコボルトを三十体近く倒したっていう旅人だろう?バウンティーハンターか何かかい?」

「…いや、そうではない。分けあって帝都を目指す旅の者だ」

「子連れで二人旅か?初めに断っておく。俺はお前がゴブリンを倒したなんて信じられないんだ。一度手合わせ願いたい」


男は不敵に笑みを浮かべながら剣の柄に手を掛けている。

人の往来のある場所だが、お構いなしといった様子だ。

サフラはジャージの裾を掴み小さく震えていた。


「大丈夫だ、サフラ。俺を信じろ」

「おいおい、ガキがブルってるぞ?泣き出すんじゃないだろうな」

「心配ない。お前を黙らせればすぐに落ち着くさ」

「言うねぇ、お前。全力で叩き潰したくなってきた」

「奇遇だな、俺もギルドのヤツらから鬱陶しい視線を向けられて気が立ってたところだ。憂さ晴らしにはちょうどいい」


男は顔をニヤリと口元を歪めて剣を抜いた。

一見どこにでも売っていそうな銀色の剣だが、刀身には何らかの文字が刻まれている。

男はそのまま剣を振り上げ駆けてきた。

足はあまり速くないが、切っ先が間合に入るのだけは避けたい。

僕は素早く銃を抜き、振り上げられている男の剣に向けて弾を放った。

乾いた発砲音と同時に、弾は狙い通りに刀身を捉え、金属の甲高い音が鳴り響いた。

その反動で剣は後方へと押し戻され、男はバランスを崩して尻餅をついた。


「…貴様、一体何を…」

「たった一発、その剣に向けて弾を撃っただけさ。お前には見えなかったのだろう?先に断っておくが、人の頭程度ならザクロのように砕けるぞ」


何が起こったのか分からないがといった男に対し、蔑むように見下げ、出来る限り低い声で脅しをかけた。

男は刀身には微かに弾痕が残り、それに目をやると剣と僕とを交互に見た。

よく見ると少し陥没しているようだ。

男はゆっくりと立ち上がり剣を鞘に収めた。


「…噂通り奇っ怪な武器を使うようだな。分かった、今日のところは退こう」

「何だ、もう終わりか?虚勢の割には潔いんだな」

「…人間、引き際が肝心だろう?」

「同感だ。お前の仲間にもよく伝えておけ、次は警告では済まさない」


出来る限りの殺意を込めた視線を投げかけると、男は一瞬身震いして背を向け、雑踏の中に消えていった。

命を奪おうとは思っていないが、仮に逃げる背中を狙おうにも一般人に当たってしまう。

逃走ルートを見る限り、勢いだけのバカというわけではないようだ。

腐ってもハンターといったところか。


事が終わりサフラの頭を撫でてやった。

ずっと裾を掴んだままだったので少し生地が伸びている。

それだけ力が入るほど緊張していたといことだろう。

だから僕ができる限り優しく接して肩を抱くと、サフラを支配していた緊張はゆっくりと解けていった。

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